永遠の孤独
「昴君、君はもっと幽霊について勉強するべきです。――いいですか、幽霊が消えることには二通りあります。まず一つ目、めでたく未練を晴らし、この世に一部の気持ちも残さないで成仏するということ」
昴君はいちさんに抗議の声を上げようとしたが、いちさんがそれをさせないよう、目で制した。
私が二つ目は? と促すと、いちさんは軽くうなずいて再び口を開いた。
「二つ目は、この世に思いを残したまま、魂だけがこの世に残る、というものです」
「成仏とどこが違うのさ」
「全然違います。魂のみがずっとこの世に留まるという事は、未来永劫転生することもなく、決して叶うことのない望みを抱き続けるということです」
どういうことか分かりますか? と、付け足されたが正直ピンとこない。私がフルフルと首を振ると、いちさんは説明を続ける。
「魂だけがこの世に残るという事は、誰にも気付かれることも、話す事も出来ず、ただただ人間の生きる様子を見ているだけということです。――簡単に言えば、クラスで苛められていて、話し掛けても誰も答えてくれないというようなものです」
「それって……!」
「えぇ。すごく恐ろしいことです。人間と言うのは他人が居てはじめて、自分という存在を認識できるものですからね。誰にも見てもらえないとなると、存在そのものがないように感じるでしょう」
体の温度が引いて行くような感覚にとらわれた。
私には見えているのに、相手には見えていない。無視とかいうレベルではなく、本気で私の存在に気付かないということ。なんという孤独。
「も、もし――」
私はのどのつかえを無理矢理押しやり、口を開いた。
「もしそんな状態になったとして、それはいつまで続くの?」
「いつまでも、です」
そう言った後、いちさんの口は意地悪く弧を描いた。
私は初めて自分の置かれた状況に恐怖した。




