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 風で髪の毛が右へ左へと流される。絡まる自分の髪を見ながら、昴君の髪の毛を思い出して恨めしく思った。

 うざったさから逃れるように、顔ごと澄んだ空を見上げた。空色。透き通る青を見つめ、先程までの教室での事を振り返る。

 授業の合間合間の休み時間に質問の嵐だった。転校生なのだから少しは仕方がないと思えるけれど、あれは異常だった。

 最初に訊かれたのは、私と昴君の関係。偶然だと言い張ることもできなくもなかったけれど、昴君がクラスの連中に遠い親戚だと言い放った。その拍子に私が西園寺に居候してる事も知れ渡ってしまった。それがその後の質問攻めを酷くした原因だ。

 ほとんどの人間が『昴君は家ではどんな格好をしてる』だの『苦手な食べ物はある』だのと、昴君に関する質問ばかりだ。それも女の子ばかりではなく、男の子からも多かった。

 どうしてそんなに昴君のことばかり訊くのかと、逆に訊き返したら、

「あ、別に詩織ちゃんに興味がないわけじゃないの。ただ、昴君ってあまりにも完璧すぎるから、家ではどうなんだろうと思って……」

 と、一人の女の子が言った。言い方から察するに、私が自分への質問じゃない事に拗ねてると感じたらしい。それもなかったわけじゃないが、それよりも純粋に昴君という人間がどんな人なのか気になった。

 結果、なんと昴君はこの高校の生徒会長だと言うのだ。成績優秀で運動神経も抜群。さらにはあの容姿だ。完璧な人間っていうのは居る所には居るんだと、つくづく思った。

 本人は生徒会の用事だとかで昼休みになると、早々に教室を出ていってしまった。残された私は、ついに質問攻めに耐えきれなくなり、トイレに行くと嘘をついて教室を抜けた。

 屋上が立ち入り禁止じゃないのが幸いだった。人気のない方へ人気のない方へと、進んできたら自然と屋上への階段を見つけた。

 特に施錠もしていないあたり、立ち入り禁止ではないのだろう。

 風を全身に感じながら私は、んーっと伸びをした。

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