生活魔法を覚えよう
シンはリュックから見つけた魔法の本を読んでいたのであった。
「え〜と、生活魔法には適性は関係無く誰でも使える魔法として神様が作られました。
そして生活魔法には、火を起こす種火のイグナイト・汚れを落とすクリーン・服や髪を乾かしたり物を乾燥させるドライ・水を作るウォーターの四種類の魔法がありますと。」
「イグナイトとウォーターそしてドライは、火・水・風の属性を持つ魔法ではある。
最下位の魔法故に魔力消費も極僅かな為、本来の属性魔法特有の威力が無い為に魔法を使う練習に適していたのである。」
「なるほど。」
「火はイグナイト・汚れを落とすのはクリーン・乾燥させるのはドライ・水を作り出すのはウォーターと。」
「そろそろ暗くなってきたから、先ず初めにイグナイトを枯れ枝に向けて撃ってみよう。」
シンは魔法の本を読み、生活魔法の一つイグナイトを使う為に魔力を手に集中させたのであった。
「イメージもして、イグナイト!」
シンの手から小さな炎が飛び出して、枯れ枝へと向かい枯れ枝に火が着いたのであった。
「初めて魔法が使えた。
それにきちんと枯れ枝に火が着いたから、暖かく感じる。」
「近くの木を背もたれにして、母さんが作ってくれた弁当を食べよう。」
シンは近くの木に背を預けて、弁当を食べながら火を消さない様に焚き火に枝を入れていくのであった。
「ふぁ〜、ご飯を食べたら眠くなってきた。
残りの枯れ枝を焚き火に入れて、消えたら消えたで良いからさっき見つけた大きな木の枝で寝よう。」
シンは大きな木の枝へ行き、そこに背を幹に預けてスヤスヤと寝たのであった。
そして太陽が登り始めた頃に、シンも目を覚ましたのである。
「ふぁ〜、もう朝か。
今日中には街に着きたいな〜、木から降りて顔を洗うか。
ウォーターの魔法なら顔も洗えるかも知れないから降りたら早速使ってみよう。」
シンは大きな木を降りて、昨日の焚き火をした場所まで戻って来たのである。
「焚き火の火は消えていると思うけど、何かあると行けないからきちんと消火しておこう。」
シンは焚き火の跡の前で、魔力を手に集めてウォーターの魔法を使うのであった。
「よし、ウォーター!」
シンは焚き火の跡にウォーターの魔法を使い焚き火を消火したのであった。
「なるほど。
片手だと、片手分の水の量しか出ないのか。
それに、少し滞空してから自然に落ちて行くと。
面白いね、魔法って。
次は、両手で受け止める様に使ってみよう。」
「ウォーター!」
「うん、成功成功。
今のうちに、顔を洗おう。」
シンはウォーターの魔法を使い、魔法が発動した後の状態を見極めながらウォーターの魔法を使って顔を洗うのであった。
「ふぅ〜、サッパリした〜。
ドライを使うのは少し危険な気がするから、クリーンを使ってみよう。
クリーンなら、今の顔に付いている水滴も綺麗に無くなるはずだし。」
「クリーン!」
「おお!
服も綺麗になったし、全身サッパリしたよ。
ウォーターで顔を洗わなくても良かったかな?
でも顔を洗うとサッパリするから、やっぱり続けようっと。」
「それじゃご飯を食べた後、街に向かって行こう。」
シンは木に寄り掛かりながら弁当を食べた後、街へとまた歩み始めたのであった。
それから数時間かけて歩いていると、街の城壁らしき物が遠くに見えてきたのである。
「あっ、街の城壁らしき物が遠くに見えてきた。
この調子で行くと夜になるかもしれないから、途中まで走って行こう。」
シンは街の城壁が遠目から見えた場所から一度止まり、その後街へ着く為に走り出したのであった。