魂の向かった先
シンの魂は、肉体から離れて天へ向かって行くのだった。
そしてシンの魂が辿り着いた場所は、輪廻転生の輪ではなく神界と云う神様達の住まう場所であった。
「ここは何処?
パパー、ママー、何処にいるのー。
うわぁーん。」
一人の人物が泣いているシンの魂の所へ近付いて来たのであった。
「あらあら〜、こんな処へ幼い子供の魂が辿り着くなんて珍しいですね。」
シンの魂を見つけた人物は女性であった。
女性はシンの魂に近付いて来たのであった。
「僕、どうしたの?」
「お姉さん、だれ?」
「私は、豊穣の女神です。」
「女神様?」
「はい、女神様ですよ。
貴方のお名前は。」
「僕の名前はほうりゅうし しん、5歳だよ。」
「では、シンくんと呼ばせて貰いますね。」
「うん、いいよ。」
「ありがとうございます。
ではシンくんは、何故ここへ来たのか分かりますか。」
「ううん、わからない?」
「わからないのですね。」
「うん。」
「ではシンくん、少しだけ貴方の記憶を見せて貰っても構わないですか。」
「僕の記憶を?」
「はい。
シンくんの記憶を見せて貰い、どうしてここへ貴方が来たのかを確認する為ですね。」
「わかった、いいよ〜女神様。」
「それではシンくん、おでことおでこを少しだけくっつけますから楽にしていて下さいね。」
「わかった。」
女神様は、シンの記憶を見る為に額と額を付けてシンの記憶を覗くのであった。
そしてシンの魂が何故この神界へと辿り着いたのか調べていたのであった。
「シンくん、何故貴方がここへ来たのか分かりましたよ。」
「ほんとう、女神様。」
「はい。
今から説明しますから、最後まで頑張って聞いていて下さいね。」
「うん、がんばる。」
「シンくん、貴方は病気だった事は分かりますか。」
「うん、わかるよ。
苦しくて、しんどかったよ。」
「今はどうですか。」
「いま?」
「はい。」
「今は、苦しくもないし、しんどくもないよ。
あれ、病気が治ったの?」
「いいえ。
シンくんは、死んでしまいました。」
「僕は死んでしまったの?」
「はい。」
「じゃあ、ここは何処なの?」
「ここは、神界といって私達神が住んでいる場所です。」
「じゃあ僕は、何故神様がいる場所へ来たの?」
「それはですね。
シンくんの魂が神界に辿り着いたのは、シンくんのご両親の祈りがここへ導いたのです。」
「パパやママの祈り?」
「はい。
そして本来なら、輪廻転生の輪へ行き同じ世界で新たな生を授かるものなのです。」
「そうなんだ。」
「そして稀にですが、この神が住まう神界へ魂が辿り着く事があります。
それが、今回はシンくんだっただけですけどね。」
「そうなんだ〜。」
「はい。」
「それでシンくんには、三通りの選択があります。」
「三通りの選択?」
「はい。」
「一つ目は、シンくんの魂を異世界の女性へ宿して新たな人として転生して貰います。」
「転生?」
「そうです。
シンくんに分かりやすく説明すると、異世界で新しく両親の子供として生まれて来ます。
その時は、名前は別の名前になり性別は選べません。」
「名前が変わるの。」
「はい、確実に変わると思います。」
「名前は、このままが良いな〜。」
「では、一つ目は無しで良いですかシンくん。」
「うん。」
「では、二つ目と三っ目はほぼ同じ内容ですが二つ目と三っ目は工程が違います。」
「同じだけど違うの?」
「はい。
まずは、説明をしますねシンくん。」
「うん。」
「二つ目と三っ目は、私がシンくんに新しい身体を授けて異世界へ移転して貰います。
この時は、性別や名前もシンくんが決めれるので大丈夫ですよ。」
「うん。」
「二つ目と三っ目の違いは、新しい身体をシンくんが授かってからすぐに異世界へ行くか行かないかですね。」
「どう違うの〜?」
「二つ目は私がシンくんに新しい身体を与えたら、今の年齢ですぐに異世界へ移転して貰います。」
「三っ目は二つ目と重なる所は有りますが、こちらは新しい身体を与えた後にしばらくの間ここに住んである程度大きく成長したら異世界へ行って貰います。」
「二つ目と三っ目は、すぐに異世界へ行くか行かないかの違いしかありませんが三っ目は色々な知識が得られるのでオススメですね。」
「難しい事は分からないけれど、女神様がオススメするのなら大丈夫だよね?」
「大丈夫ですよ。」
「それじゃ、三っ目にする〜。」
「わかりました。」
シンは豊穣の女神から勧められた三っ目を選び、女神様から新たに身体を貰ったシンは女神様と一緒に女神様が住んでいる場所へと向かうのであった。