プロローグ
一人の幼い男の子が病気で病院の病室で亡くなった。
「ああ、シンくんごめんね。
ママがこの様な身体に産んでしまったばっかりに。」
「蛍さん、自分を責めてはいけないよ。」
「だって凱さん、シンくんがこんなに早く亡くなるなんて思いもしなかったもの。」
「僕はね蛍さん、シンくんが僕達の処へ生まれて来てくれた事にありがとうって言ってあげないといけない様な気がしてるんだよ。」
「私達の処へ?」
「そうだよ、蛍さん。
シンくんは、短い間だが僕達の処へ生まれて来てくれた。」
「そして短い間だが、僕達に幸せを運んで来てくれたんだと思ってる。」
「私達に幸せを。」
「そうだよ。
だからこそ、シンくんもそうだが神様にも感謝しよう。」
「そうよね、一番辛かったのはシンくんだもの。
私達がシンくんに沢山のありがとうって言わないと、何の為にシンくんが生まれて来てくれたのか分からないわよ。」
「そうだよ蛍さん。
シンくんにありがとうって伝えよう。」
「はい、凱さん。」
「シンくん、僕達の処へ生まれて来てくれてありがとう。
生まれ変わったら、長生きしてね。」
「シンくん、ママ達の処へ生まれて来てくれてありがとう。
生まれ変わったら、健康な身体で生まれてね。」
シンの両親は、亡くなった自分達の子供に感謝の言葉を伝えながら涙を流すのであった。
そして両親は、シンが生まれ変わったなら健康な身体と長生きして欲しいと神様に祈りながら見送るのであった。