愛とか、恋とか、君だとか。3話
第3話です!
この世界を見渡せば、必ず陰はできる。
その陰役を、自分が引き受けていることも自覚している。
そこでだ、朝から考えている、
”優しい”
とは、なんなのだろうか。
陰にも日を当ててやる君は、優しいのだろうか。
いや、こちらからすれば、良い迷惑だ。
“優しい”とは違う。
放課後、なんとなく教室に残ってみる。
いつもはそそくさと帰るが、
今日は”優しい”を探すため、この喧騒の中に足を止めてみる。
「珍しいじゃん」
君は驚いた顔をしている。
「なぁ、”優しい”って何?」
君はあっけらかんとしている。
「はぁ?」
「いやさ、今朝”優しい”って言ったでしょ。その意味が分からなくて。」
「それはぁ、、、”優しい”って思ったからそう言っただけだよ、」
君は、少し笑みを浮かべる。
「その”優しい”がよく分からないんだ。」
「なるほどね。言葉にするのが難しいから、少し待ってて。」
君は、呆れたように見える。
君が頭を悩ませている間、
じっと、何かをするでも無く、待つ。
「たぶんね。あなたは考えすぎてる。」
君は、穏やかに口を開く。
「”優しさ”ってね、感じたらもう”優しさ”なんだよ。与えたと自覚して無くても、相手がそう感じたなら、それは”優しい”って事になる。」
心の中の、取っ掛かりが外れたような、気がする。
だけど、優しいと感じたことは、まだ無い。
「君が”優しい”と感じた理由は分かったけれど、”優しい”と感じる基準は分からないな。」
「じゃあさ、私と探してみない?その”優しさ”ってやつ!」
「いいけど、どうやって?」
「これから毎日、今日みたいに放課後ここで話をするの。“優しさ”以外の何かも分かるようになるかもよ?」
「それはありがたい。そうしようか。」
面倒臭いが、仕方無い。
ひとまずは、君と探していこうと思う。
その、“優しさ”ってやつを。
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