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爪なき鷹1  作者: 与太郎の与太話
幻想期
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2.03 湖畔に生きる

 明晰夢を操れると知ったのは湖の周辺で50人規模の人間集団と暮らしている夢の最中だった。視覚が明けると湖の水面にいてこの時はまだ通常の夢のようで明晰夢でないが五感があった。私は裸のまま陸に上がった。温暖な気候であり遠距離から観察すると人々は簡素な動物の毛皮や植物でできた緑色や褐色の服を着ていて、食料は主に森の山菜採り、湖で漁、というより手掴みで捕らえる魚や貝※淡水にも貝はいる、であることが分かった。なので私も湖で沢山漁・山菜採りをすればいいと思ったので落ちている枝を持って湖に突ったんだ。そして気付いた、私の自由意思で動けていると。そして魚を取ろうとしたが逃げていくのでハシビロコウのようにじっとしていると近くに来るのでそれを突き刺すようにした。そのようにしても魚が来ないので泳いで漁をしてようやく取れた。陸に戻り、調理するための火を付ける。乾いていそうな木材の角同士を接地点にし、体重をかけて全力で圧力をかけつつ前後に摩擦することで発生した木くずの着火点に達する。火種を枯れた葉に移し息を吹きかけ、無炎燃焼から有炎燃焼へ発達した。魚を焼いている時、見渡すと広大な湖の南側に小規模のカバの群れを見つけた。もしこれが明晰夢ではなく、現実世界ではここはアフリカ大陸ということだ。確かに、明晰夢にしては感覚や事象が現実的すぎる。カバは草食だが非常に危険な生き物で、襲われたら命を落としかねない。痛覚は存在し、凶暴な野生動物たちがいる現状に私は不安を覚えた。水面を観察してもワニは発見できなかった。私は無造作に魚を簎で取って焼いている訳だが、確率的にはカバの縄張りを侵し襲われている自分もいると考えると自分のとった行動が気味悪くなった。 全ての生物は暴力におびえ、すべての生物は死をおそれる。全ての生物にとって生命は愛しい。已が身をひきくらぺて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。そう思い今度からは湖畔に自生するイネ科の植物を食べようと思う。あと、水面に映る自分の顔をナルキッソスの様に確認したが相変わらず私の顔だ。遠くから見ると現地の人は私のような顔立ちでなく中東系の顔に似ていて、爪がとても長いように見える。私は集団に馴染むために獲ってきた調理済みの魚を仲良くなれそうだと感じた同年代の青年に渡そうと思ったが言語が通じないのと服を持っていないので怖気付きながら渡した。青年は人格的に良い人間だったのか、近親交配を防ぐ風習として受け入れたのか分からなかったが、私をコミュニティの一員として受け入れた様である。

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