1.03 新しい推進機・乗り物
筋肉機関と発電器官は実用化したがそれを活かす物を作ろうと思う。
まず、筋肉機関で発生した動力を効率的に活用するために推進機を作る。プロペラ・スクリューは回転運動を推力にする典型だが、プロペラ後流といって渦状の乱流が発生し、推力だけでなく回転力も流体へ変換され、流体を裂くのにもエネルギーが消費されるため効率が良いのは薄い一枚羽プロペラになるが重心が回転軸から外れるので振動が問題になる。このようにプロペラ・スクリューは最適な推進機ではない。まして非常にプロペラ枚数が多いタービンやターボファンエンジンは効率的ではない。最も効率的な推進機はテスラタービンであるが高回転でないと円周から円心に向かって渦状の軌道にならないので高効率を発揮できない課題がある。この課題に魅せられた私はアルキメディアン・スクリューを円盤の代わりに利用するという解決策を思いついた。テスラタービンとアルキメディアン・スクリューを折衷したのでATタービン(アルキメデス・テスラタービン)と称しよう。ATタービンを3DCGで設計し3Dプリンターで試作した。
次に、推進機で発生した推力を効率的に活用するための乗り物を作る。一番効率の良い乗り物は航空機だと示唆される。なぜなら航空機は空気抵抗しか抵抗がないが、その他の乗り物は空気抵抗の他に路面抵抗や水面抵抗を受けるためである。空気抵抗を受けないハイパーループなるものがあるが、個人で運用できるものではないので却下する。航空機の中で合理的な設計は全体翼機である。また昇降舵は尾翼ではなく機首側にあるほうが効率の良いピッチングができる。作るものは決まった。ナウシカのメーヴェのように全体翼で、しかし昇降舵は前方にある機体を作る。機体素材は全てCNFを使用し、発動機は筋肉機関、推進機はATタービンを使用する。翼形状は薄くカラスの羽根のように翼端にいくほど仰角が上がる形状にすることにより、失速状態で翼根に向かっていく気流を利用して低速での着陸を容易にする狙いがある。また、昇降舵は前方にあることで着陸時フラップに似た効果が期待できることを踏まえ、飛行特性からくる着陸性能は高く、翼面荷重は並のハンググライダーの6.3kg/m^2より重くてもよいだろう。筋肉機関は筋肉自体のパワーウェイトレシオが1000倍ありそのトルクにさらに回転数が乗算されるから垂直離着陸が可能かもしれない。何れにしろ試験飛行してみようか。試験飛行した結果、まあ飛行特性はメーヴェと同じでした。燃料は糖だが。