6.08 グレイ・赤い星の人
???「目が覚めたようだな」
私は周囲に木々・草が茂る屋外のような場所にいて、胡坐で座っていた。しかし、そこは地球とは違っていた。太陽は赤黒く、植物は黒い。周囲の状況に躊躇いながら、私は赤色矮星の惑星にいるのだと考えることにした。目の前には、アルビノで性別が判別できない中性的な、コーカソイドの様な顔立ちの、異様に目がでかく、髪を結った若者が植物を採取していた。私に近づき、小指の爪程の大きさの楕円形のカプセルを手のひらに載せ、私に見せた。
???「君の右腕には、このカプセルが埋められている」
私は右腕に、しこりを確認するために何か埋められていないか皮膚を揉んで確認した。すると、腕橈骨筋が最も膨れた部分にしこりを確認した。
???「この機械は君の脳機能を歪ませ、グレイの容姿を人間の様に認識させ、言葉を同時通訳させる。月面の住人の中にはグレイが紛れ込んでいる」
私「私はなぜここにいる?あなたは何者なんだ?なぜ日本語を話せる?」
???→カイル「僕の名前はカイル。この惑星の名前はテハラザル。我々はグレイから月面人を救い出した。君をここに連れてきたのは呪いと罪を浄化するためさ。日本語は話していない。カプセルが日本語に翻訳してるんだ」
そう言って、カイルは採った植物の一つを私の右腕のしこりの部分にこびりつけた。その植物は皮膚に浸み込み、皮膚をジュクジュクにした。皮膚の結合力が弱くなったので簡単に、しこりを揉み出せた、あまり出血しないのと痛みがないことを不思議に思いながら。カプセルは神経につながっていたらしく、取る時引き千切った感があった。
カイル「イゼアンプランダセオ」
残念なことに、このカプセルが私とカイルの通訳をしていたが、カプセルを取ってしまったので言葉が通じないのだろう。悲しい
私「もう、意思の疎通は出来ないようだな…」
カイル「嘘だよ。ほんとは日本語喋れるよ。ほら、この植物食べて」
私はカイルから植物を手渡され、食した。呪いと罪を浄化するためにこのテハラザルという星に私を連れて来たのなら、この植物は呪いと罪を浄化するものか。私は、この星の植物については何も知らない。そもそも、カイルと私では生物的に異なるので異なる作用が起きそうだけど。どうかぁ、変な薬草じゃありませんようにぃ。
私は食べた瞬間に、全身麻酔をかけられた様に意識が飛んでしまった。呪いと罪を浄化するとは、死ぬことだったのだろうか。グレイは人型のトロオドンがサングラスの様なものをかけ、灰色のスーツを着ているのではないか、だから緑色と灰色のグレイがいるのだろう。自問は続く。