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爪なき鷹1  作者: 与太郎の与太話
発明期
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1.   肩をすくめる巨人の肩の上に立つ

「複雑高度化した問題に直面した社会の構成員は不合理な思い込みを優先するようになり、問題への対処を誤り続けることによって、事態を悪化させてしまう。この状態が何世代も継続してしまうと、必ず社会が崩壊する。このような状態を克服しうるのは、精緻な論理の積み上げではなく、大胆な「ひらめき」である。」―『文明はなぜ崩壊するのか』より

 ここ5年近く夏休みの様な生活をして、中央図書館の本を読み漁っていた私は、現に今の社会の様相が文明が崩壊していないにしろ、本に書いてある文章と一致しているように感じ、人生の進路に関する思考が沸いた。

 日常的に使っている道具の中で、原理や仕組みを全く理解しないまま科学と魔法の見分けのつかなくなって久しい物も少なくない。18世紀半ばに起こった一連の工業化と理工学の発達による著しい文明の発展により、もはや人間にとって理解が追い付かなくなり始める複雑度と成長度になっている。

 問題の対処を誤ることは、下記の例が挙げられる

・批判という現象論だけで思考が止まり、改善案を挙げる方法論など様々な推論をしない

・確率論で考えるべきところを因果論で強引に考える

・怪しげな因果関係に飛びつく

・物事の原因が不明でも何か一つにこじつける

・問題を細分化してより複雑にしてしまう

・細分化して考えるべきものを同一視する

など極端な思考や臨機応変に欠ける思考をして失敗することは、現代より単純だったであろう古代においても記されているので古代より複雑な現代ではより深刻に受け止め、失敗学を学ぶ気になった。

 私たちは、先人達の積み重なった思考・知識に恩恵を受けており、また、現代の新しい思考・知識も未来に恩恵を与えている。理解の追い付かなくなり始め、思考・知識が十分に継承されない状態を、それでも私は継承者としての自覚と意志を持ち、積み重なる重みによって肩をすくめ、崩れかかったこの巨人たちの上に立つことが出来るとは思えない。崩壊しかかった状態で、私がその上に乗り、負荷を与え、世代が経つにつれ自分の肩に負荷がかかっていくのは到底受け入れがたい。

 これは、人間の知識の継承だけにとどまらず、汎用性AIに於いても同様だと考えた。知識の継承は、データを送り、記憶することで損失無く継承できるだろうが、思考方法はマイナーチェンジを繰り返すと、「改良する前のほうが高性能でした」という可能性が考えられる。

 せめて、自分だけは積み重なる重みや理解の追い付かないまま継承することはないような方法をひらめかなくては…

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