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漫才「カニとサンタとブルジョワジー」

作者: 空猫

先駆者様に習わせて頂き、


ボケ  (標準語)  →ボ

ツッコミ(エセ関西弁) →ツ


と表記しております!


駄文ですが、読んでくださると嬉しいです!

ボ「最近ね、善い行いをしてるんだ」


ツ「おー、いいことやん。具体的にはどんなことをしてるんや?」


ボ「山田くんの代わりに、牛乳を飲んであげてる」


ツ「小学校か。ただの給食やん」


ボ「年間3000本」


ツ「飲み過ぎや。山田くんは業者なんか?」


ボ「仕事で誤発注したのが、買い取りになったらしい」


ツ「業者やった」


ボ「お腹は痛いけど、飲むたびに徳が貯まってる感じがするんだ」


ツ「それは徳でも何でもない。ただのカルシウムや」


ボ「よーし。明日からペース上げて1日50本飲んでいくぞー」


ツ「軽めの修行僧やん。どうしてそこまでして徳を積みたいねん?」


ボ「いい子にしてたら、サンタさんにプレゼント貰えるかなって」


ツ「サンタさん信じてるんや。純粋やなぁ」


ボ「むしろそのために、今まで徳を積んできたところはある」


ツ「純粋な割に現金やなぁ」


ボ「疲れたよ、仮初めの偽善行為を続けるの」


ツ「終盤で裏切る悪役のセリフやん」


ボ「それでね、サンタさんにお願いするんだ。富と権力が欲しいって」


ツ「強欲さが純粋さを上回ってんねん」


ボ「あわよくばこの世界も欲しい」


ツ「魔王の三大欲求やん。残念やけど、世界はあげられへんで」


ボ「無理かー。じゃあ、北海道で我慢するよ」


ツ「何も我慢できてないやん。北海道も無理や」


ボ「そんなぁ。カニいっぱい食べたかったのに」


ツ「動機が薄っぺらいなぁ。スケールが北海道に見合ってないねん」


ボ「でも、今のところ、自分がちゃんと徳を積めているかどうか、分からないんだよね」


ツ「煩悩のせいで、プラマイゼロまである」


ボ「そこで、宝くじを買ってきました」


ツ「いきなり宝くじ?なんでなん?」


ボ「それはね、日頃良い行いをしてる人には、幸運が舞い込むって言うでしょ?」


ツ「まぁ、情けは人の為ならず言うしな」


ボ「当然、徳の高い私は、宝くじだって当たるワケ」


ツ「おごりがすごいなぁ。でも、宝くじを当てることで、逆説的に徳が積めていることを証明するわけね」


ボ「そう。徳さえあれば、この世の森羅万象から恵みを得ることができるんだよ」


ツ「イズムが濃すぎるやろ」


ボ「徳を積むためなら、私はどんな手段も厭わない」


ツ「厭え、厭え。そんな奴に宝くじは当たらんて」


ボ「うるせぇ!素人は黙っとれ!」


ツ「急にスイッチ入るやん。感情のギアチェンジ下手すぎるやろ」


ボ「ごめん、心機一転しちゃったわ」


ツ「悪い方に心入れ替えるな」


ボ「にしても、大金を手にすると性格が変わるとか言うけどさ、私は変わらず、ありのままの自分でありたいよね」


ツ「バラード曲の歌詞みたいなこと言うやん。思い出を思い出(たからもの)って読んでそう」


ボ「じゃあ、当選番号確認していくぜぇぇ!お前らァ、準備はいいかぁ!」


ツ「バラード歌手はそんな煽りせえへん。せめての手拍子や」


ボ「あー、緊張してきた。ねぇ、代わりに当たってるか確認してよ」


ツ「ええけど。どれどれ、番号は025133……。嘘!?当たってる!一等、一億やで!」


ボ「ままま、マジか……!と、とりあえず跪いてもらっていい?」


ツ「いいわけないやろ。大金当てたからって、大きな賭けに出るな」


ボ「反抗的な一般庶民だな!頭が高いぞ!」


ツ「ごっそり性格変わっとるやん。ありのままの自分はどうした」


ボ「ごめん。ワンランク上のステージに行ってしまった」


ツ「人間としては格下げや」


ボ「どうしよ。この大金、何に使おうかな」


ツ「やっぱり徳を積んでるなら、お世話になった人への恩返しとかに使ったら?」


ボ「人様にやる金なんぞ一銭もないわ!」


ツ「なんでこんなヤツに宝くじが当たるねん。報いを受けるべきや」


ボ「うっ……」


ツ「えっ?どうした?急にうずくまって」


ボ「痛い……痛い」


ツ「まさか、本当に報いを受けたんか!?」


ボ「痛い、助け……て」


ツ「ごめん!本気やなかったのに!大丈夫か?どこや、どこが痛いんや!」


ボ「……おなか」


ツ「牛乳の飲み過ぎや!はよ、そこのコンビニでトイレ借りてこい」


ボ「駄目だよ!コンビニは庶民の建物。ブルジョアの私が入ることは許されてないんだよ?」


ツ「なんやその逆ドレスコード。バッグとか預かっとくから、はよ行ってきなって」


ボ「でも、コンビニの店員が私の当たりくじを狙う悪党かもしれないでしょ」


ツ「金持ちすぎて疑心暗鬼になっとるやん。ほら、宝くじも預かっといてやるから」


ボ「そう言ってお前も、私の当たりくじを盗む気だろ!」


ツ「価値観歪みすぎや。絶大なトラウマを抱えたドラマ主人公みたいになっとるやん」


ボ「……もう、誰も信じられないよ」


ツ「俺ら親友やろ?」


ボ「……分かった。この当たりくじ、君に預けるよ」


ツ「おう、受け取ったで。……って、よく見たらこれ、去年の宝くじやん。期限切れてるで」


ボ「……」


ツ「……」


ボ「まじか」


ツ「慰めに、カニでも食べ行こうか?」


ボ「奢ってくれ」


ツ「ブルジョアなら自分で払いなさい」

お読み頂きありがとうございました!

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