表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/38

第12話「ぼろ儲け」


 魔人族の女剣士、ルシア・プリメイラは衝撃を受けていた。


 バリエッタの軍人家系に生まれたルシアは幼少の頃から父の厳しい訓練を受けて育った。


 時には軍の訓練に参加し、相当な実力者達に揉まれることもあった。


 その甲斐もあり、若干18歳にして〔雷魔法使い〕〔剣士〕の2つを修職し、現在〔魔法剣士(雷)〕を中級まで上げるに至った。


 単に〔職業〕のレベルだけではない。

 

 幼い頃から鍛えた剣術、戦闘技術、軍隊知識。


 今やルシアは、相当な実力を身につけたと自負していた。



 だから、自信があったのだ。

 大抵の相手ならば驚かない自信が。



 実際、より良い待遇で軍に入隊するためのアピールの場として参加した闘技場(コロシアム)も、大した事はなかった。


 A級闘士と呼ばれる者達はそこそこやるが、ルシアが勝てないほどではない。


 この日の【銀狼】という男も、獣人族特有の不規則なリズムや、スピードに気をつけ、油断せずにやれば勝てる自信があった。


 そして、それ以外の敵は相手にすらならないだろう、と。


 

 だが、一体あれは何だ?

 あの鬼人族は何者なのだ…?

 

 赤と黒の髪をたなびかせ、

 闘技場を縦横無尽に駆け回り、

 走った後の風圧で闘士達を吹き飛ばしている。


 槍はまるで自分の体の一部のようで、

 自由自在に振り回し、

 的確に闘士達の急所を捉えている。


 誰一人動きを捉えることが出来ていないが、

 運良く、彼の槍と撃ち合う事ができたと

 思ったら、力でそのまま弾き飛ばされている。


 あんなものは、軍人の中にさえ見たことがなかった。



 だが、しかし。


 同時に高揚感もあった。



 まだまだ、世界には上がいると。

 まだ、知らない世界があると。



 目の前で暴れる怪物のあまりの衝撃に、ルシアの高くなっていた鼻っ柱は木っ端微塵に叩き折られた。



 だが、あまりにも実力差があっからだろうか。

 それは爽快な気分だった。



 剣術道場で敵がいなくなって、初めて軍人の訓練に参加させて貰った時の感動。


 自分はまだまだ強くなれると言う期待感。



 それと同じものを感じていた。



 だから、魔人族の女魔法剣士は、美しい桜色の髪をかき揚げ、気合を入れ直した。


 

 【桜雷剣】ルシア・プリメイラは、『挑戦者』として、目の前の怪物【黒焔槍鬼】に向かって行った———












 残りが3人に搾られてから、しばらくの間、膠着状態が続いていた。



 1人は逆立った銀髪の狼人。

 大柄な体格に、鍛え抜かれた肉体。

 大きな斧を両手で構え、いつでも動けるように、

 隙のない構えで静止している。



 1人は桜色の髪をした女流魔剣士。

 小柄だが、溢れる闘志は随一。

 両刃の長剣を正面に構え、

 鬼人族の方に意識を向けている。


 1人は黒髪の中に赤髪が混じった鬼人族。

 2メートルはあろうかという体格で、

 長槍の感覚を確かめるように、

 右に左に持ち替え、

 2人の様子を伺っている。



 3人はグラウンドの中央から5メートルくらいずつ離れた正三角形の状態で睨み合っていた。



 しかし、戦場を支配しているのは明らかにベイムラスだった。


 残る2人、銀狼と桜雷剣は、敵の実力が測れないほど愚かじゃないらしい。


 黒焔槍鬼とまともにやり合えばやられると分かっているのだ。


 だから、黒焔槍鬼がどちらかと戦い始めた時に生まれる隙を狙おうとして、タイミングを測っている。



 しかし、その黒焔槍鬼も、タイマンでやれば問題なく勝てるとは言え、流石に実力者の2人が揃って自分の隙を狙っているとなれば、迂闊には動けずにいた。




 ———ところが。



 突然に、桜雷剣が黒焔槍鬼に向かって走り出した。



 体から迸る稲妻が髪色に反射して桜色に光っている。


 彼女は自身の剣も、黒焔槍鬼の槍も、まだ届きそうにない距離で中腰の体勢を取ると、右手の剣で横薙ぎの一閃を放った。 



「…んっ!」



 腹から搾り出す声。

 それは、全身の筋肉をしっかりと使って剣を振っている証拠だ。


 放たれた剣閃からは眩い光が発し、桜色の雷となって、剣が通った軌道上に伸びてゆく。



 その軌道上には2人の人物。


 桜雷剣の一撃は黒焔槍鬼だけではなく、三角形のもう一つの頂点である銀狼にも襲いかかった。



「…ちぃっ!」



 黒焔槍鬼の隙を伺っていた銀狼は、思わぬ方向からの攻撃に舌打ちをしつつ両手で斧を振るい、発生させた衝撃派で、雷を相殺した。



 ところが、既に桜雷剣の攻撃を回避済みだった黒焔槍鬼は、銀狼が斧を振るっている間に、後ろに回り込んでいた。


 斧をスイングしたフォロースルーで、回避の体勢の取れない銀狼に、黒焔槍鬼は背後からの一撃を繰り出そうとする。



 ところが、さらにその後ろから桜雷剣が、黒焔槍鬼を狙っていた。


 初めから黒焔槍鬼の動きを誘導するための、一撃だったのだ。


 黒焔槍鬼の背後から、女剣士による不可避の一撃が放たれる。



 ところが———。



 鬼の背中を断ち切るはずだったその剣は、()()()()()()()()()によって受け止められた。



 黒焔槍鬼は、左手の槍で正面の銀狼を仕留め、右腕で背後からの剣を受け止めたのだ。


 咄嗟に、桜雷剣は距離を取る。



『——な、なんと!?

 桜雷剣に死角を取られ、

 快進撃もこれまでかに思われた黒焔槍鬼!

 前後2人の敵に同時に対応して見せました!!

 そ、それも、生身の腕で

 剣を受けて見せたのです!

 これで、優勝候補筆頭だった

 1番人気の【銀狼】が脱落!!

 残るは【桜雷剣】と【黒焔槍鬼】の

 一騎打ちとなりました!!』



 

 会場に鳴り響く実況の声。



 しかし、戦場に残された2人には、そんな雑音など一切入ってこない。


 ただ、目の前の敵が、次の一手をどう出るか。


 その情報を得るためだけに必要なものを適切に取捨選択し、余計な情報を脳から追い出していく。



 次は、鬼人の方から動いた。



 地を蹴り、凄まじい勢いで間合いを詰める黒焔槍鬼。


 何の小細工もない、あまりにも単純な直進。


 しかし、それ故に、受け手に考える時間を与えない。


 圧倒的な実力を持つ者がその一手を取る時、受け手は必然的に追い詰められ、逃げの一手しか取れなくなっていく。


 だがしかし、桜雷剣は逃げなかった。



 彼女は本能で悟ったのだ。


 ここで立ち向かわなければ、さらなる高みには到達できないと——



 そして、彼女はこの僅かな戦いの間に、黒焔槍鬼の違和感に気がついていた。



 それは、体力や俊敏性などの圧倒的な身体能力と、まるで体の一部のように操る槍の操作技術には、あまりに不釣り合いな()()()()である。

 

 

 戦闘は、体が強く、武器の扱いが上手いだけでは不十分だ。

 

 どのように動き、攻撃し、回避して、防ぐか。

 そして、その一つ一つの行動をいかに次の攻撃に繋げ、連動させるか。


 その中で、敵の動きを読み、誘導し、より有利な状況になるように行動していく。


 肉体、技術、作戦、経験。


 そういった、あらゆる要素が合わさって強い戦士は生まれるのだ。



 だが、この鬼人族は、圧倒的な身体能力と槍の操作技術の割に、行動の選択や受ける時の反応があまりにも無計画で、行き当たりばったりなのだ。


 

 おそらく、戦闘の経験が乏しいのだろう。



 しかし、それなら何故、これほどに槍を上手く扱えるのか…


 対人戦は経験せず、ひたすらに型だけ練習していたのか…



 分からないが、そこに勝機がある。



 桜雷剣はそう判断し、迫ってくる黒焔槍鬼に己の持てる全てを持って対抗した。



 まず、後手に回らず自らアクションを起こす。


 リアクションではなく、こちらのアクションによって、敵の行動を誘導するのだ。



 桜雷剣は、向かってくる鬼人の首めがけて左から右へ横薙ぎの一閃を放つ。



 すると、黒焔槍鬼は右腕を上げて首をガードし剣を受け止めた。


 さらに、左の槍を桜雷剣に繰り出す。



 しかし、これは彼女の作戦どおりの展開だった。


 先程の戦いから、黒焔槍鬼ならば避けずに腕で防ぐだろうと読んでいた。



 そして、鬼の槍が自らを襲うより一瞬早く最後の一手を打つ。



「うぁああぁああ!!!」



 桜雷剣は、叫び声と共に、全魔力を剣に注ぎ込んだ。

 黒焔槍鬼の右腕に直接触れている剣に。



 バチバチィッ、と。

 自らの髪色を反射させ桜色の稲妻は、眩い光と共に黒焔槍鬼を襲った。



 しかし。



 鬼人族の化け物は、彼女の全力の雷撃によっても止まらなかった。



 ドスンッ、と。



 槍の刺突とは思えないような鈍い音と共に、桜雷剣の体が吹き飛んだ。


 その突きは、槍の穂先ではなく柄によって駆り出され、桜雷剣の胸、すなわち急所を直撃していた。




 ———試合終了。



 黒焔槍鬼の特勝(一人勝ち)である。



 











『だっぺー♪

 だっぺー♪

 ぼっろもうけー♪

 だっぺー!

 だっぺー!

 ぼっろもうけーぃ!!』



 ベイムラスの圧勝劇によって、ぼろ儲けを果たした俺とダッペオヤジは、2人揃って肩を組み、訳の分からない歌を大声で歌っていた。



「いやー、しかし、

 宿無し(ホームレス)のダッペオヤジも賭ける金持ってたんだな!

 ガッハッハッハ!!」

「んだ!

 家はねぇけど、

 賭けんための、金ぁあんだっぺえ!!

 闇金行って調達したっぺぇ!!」

「なに!?

 アンタ、そこまで俺と同じじゃねぇか!!

 ガッハッハッハッハァ!!!」

「へぇ?!

 兄ちゃんも闇金行ったっぺか?!

 だあーッペッペッペェエ!!」

『だっぺー♪

 だっぺー♪

 ぼっろもうけー♪

 だっぺー!

 だっぺー!

 ぼっろもうけーぃ!!』

「うるせーぞ、テメーラ!!

 こちとら、あの鬼人族のせいで、

 大損こいとんじゃ!!

 周りの空気を読めやボケェ?!」



 うむ。

 怒るのも無理はない。


 賭けに外れた上、当たった奴が、目の前で大騒ぎしている。

 さぞ、イラつくだろう。


 可哀想に。


 せめて、俺がお前の分も喜んでやろう。



「だぁーっぺっぺっぺっぺぇえええ!!!」

「んお?

 兄ちゃんも、だっぺが移ってきたっぺ?

 オラ達、どんどん同じになってくなぁ!

 オラ、嬉しいっぺ!」

「うっせえっつってんだろ!!」

「…。

 分かる、分かるぞ。

 キサマらの気持ち。

 普段、馬鹿にして蔑んでいる

 鬼人族に圧倒的な力を見せつけられて、

 賭けを外した気分…心中お察しする。

 すまない。少々、騒ぎすぎたようだ。」

「…お?

 な、なんだ、分かればいいんだよ。

 別に、俺たちも当たった時は

 騒ぎすぎちまうしなあ?」

「ああ、そうだな。

 …ところで、一つ聞いてもいいか?」

「あ?なんだ??」

「ねぇ!どんな気持ち?!

 今どんな気持ち?!!

 昼間っから博打打つしか脳がないのに、

 外した挙句、目の前で当てた奴に騒がれるの

 どんな気持ち?!

 おせーてぇえ??!!」

「テメー、このクソヤロー!!! 

 ぶっ殺してやる!!!」

「や、やめるんだっぺー!!」


 ボコン。


 ダッペオヤジは俺の犠牲にぶん殴られ、ぶっ倒れた。



「…だ、だっぺおやじ。

 …うっ。…お、お前の配当金は……ひっく…。

 俺が…もらってや……」

「だめだっぺー!!

 オラのだっぺー!!」

「ガァーハッハッハッハッハ!!!」

『だっぺー♪

 だっぺー♪

 ぼっろもうけー♪

 だっぺー!

 だっぺー!

 ぼっろもうけーぃ!!』



 と、まあ、俺たち2人は浮かれに浮かれていた。

 

 まあ、単勝でも87倍。

 単特なら100倍を超えるんだ。


 浮かれるのも無理はないというもの。


 いやあ、しかし。

 元の世界でギャンブルをやったことはないが、これが賭けに勝つという奴か。


 うん、ちょっとハマる人の気持ちがわかるな。



 今回だけ。

 う…うん……。

 今回だけだ。


 ハマったら怖いから…な?



 ま、まあ、でも?


 今回のように必ず勝つような事が分かりきっている時くらいは??


 いいよな?


 な??



 と、まあ、賭けに勝って気分上々の俺は、ダッペオヤジと共に、投票券を持って配当金の受取所へ向かうのだった。












 単特の賭け率(オッズ)は105.84倍だったらしく、俺が賭けた金貨800枚は、800×105.84=84,672枚になった。


 日本円の価値に直すと8億4672万円相当の価値である。


 さすがに、それだけの金貨を手渡しで貰うことは出来ず、会場に備え付けの銀行にそのまま預けられることになった。


 大穴が出た時の対応なのだろう。

 手慣れたものだった。



 ちなみにダッペオヤジは闇金で借りた金貨10枚をベイムラスの単勝に賭けたらしく、倍率87.55倍で875枚の金貨を貰っていた。


 だが、金貨1000枚以上の借金があるらしい。


 ところが、ダッペオヤジは「いんだっぺ!これを元手に稼ぐっぺ!!そしたら、全部返済できるっぺ!!」と言って、稼いだ金貨は再び賭博に注ぎ込むらしい。


 うむ。

 好きにしたらいいさ。


 自分の人生だものな。



 俺はとりあえず、手持ち用として金貨10枚と、ベイムラスへの感謝として1000枚を受け取っておくことにした。


 かなりの重量である。




 と、そんなこんなで配当金を受け取った俺は、闘技場(コロシアム)の外でベイムラスと落ち合ったのだった。




 時は夕刻。


 快晴だった空は赤く染まり、夕日が街を照らしている。

 ただでさえ幻想的な異世界の街並みは、ますます情緒的なものとなっていた。



「ベイムラス、よくやってくれた!

 お陰で俺はぼろ儲けだ!!

 これは、お前の取り分だ。

 受け取ってくれ。」



 俺は金貨1000枚が入った重たい袋をベイムラスに渡した。



「……こんなに?

 本当にいいのか?」

「ああ!当然だ。

 俺はその何倍も

 稼がせて貰ったからな。」

「…わかった。

 有り難く頂いておこう。」

「あぁ、そうしとけ。

 帰ったら家族にサービス

 してやるんだな。」



 俺がそう言うと、ベイムラスの顔が僅かに綻んだ。


 

「…あぁ、そうだな。

 長年、辛い思いをさせて来た。

 この金で、少しはその埋め合わせを

 させて貰うとしよう。」



 自分は何も悪くないにも関わらず、まるで自分の責任であるかのように、鬼人族の男はそう言った。


 やはり、この男は鬼王の器に相応しい高潔な心を持っているようだ。



 一転、ベイムラスは、神妙な顔つきで言い出した。



「…ソージ、といったか。

 この恩は一生忘れん。

 いつか必ず報いてみせる。」

「ふん。気にするな。

 さっきも言ったように、

 お前のおかげでガッポリ稼げたんだ。

 既にお前からの報いは受け取ってるよ。」



 これは事実だ。

 しかし、鬼王の血を継ぐ者は引き下がらない。



「いや、それでは俺の気が済まん。

 お前の助けが必要な時、

 俺は必ず駆けつけよう。」



 俺に流されない頑固さ。

 恩に報いようとする意志。


 それも、ある意味で断固たる意志を持った王の器に相応しいところなのかも知れない。


 俺は、そんなことを思いながら返答した。



「…まあ、俺も自分のために

 ベイムラスを奴隷から買い取ったんだ。

 お前も好きにしたらいいさ。」

「ああ、俺自身のために

 そうさせて貰う。」



 ベイムラスはスッキリとした表情でそう言った。



「…ところで、

 ソージは何者なのだ?」



 うむ。

 当然の疑問だな。


 突然、現れてベイムラスを買い取り、

 戦ったこともないのに、

 闘技場に連れて行かれ、

 言われるままに槍を使ったら、

 自分でも信じられないような

 圧勝劇を演じてしまった。



 ベイムラスから見たら、目の前の俺は不思議でしょうがないだろう。



 さて、なんて答えるかな…


 と、俺が思案していると、ベイムラスの方が返答を聞く前に言い出した。



「…いや、いい。

 人には言いたくないこともあるだろう。

 余計なことを聞いた。

 すまん。」



 …なんと、謝って来やがった。

 こいつ、なんていい奴なんだ。


 くそう!

 家族のことがなければ、仲間になってほしいぜ!



 と、そんなことを思い、ベイムラスのことをますます気に入った俺は、お節介を焼くことにした。



「おい、ベイムラス。

 分かってると思うが、

 お前には戦いの才能がある。

 冒険者とか、軍人とか、

 何でもいいが、

 そういう仕事をしたら才能を活かせるぞ。」

「…ああ、そうだな。

 今回、俺も痛感した。」



 そうだろう。

 初めて槍を握って、あれほどの凄まじい武力。

 1番驚いたのは本人かも知れない。



「…それからもう一つ。

 より多くの鬼人族と繋がれ。

 そして、何かをする時は、

 1人でも多く鬼人族を仲間に引き入れろ。

 そうすれば、きっと上手くいく。」

「……?

 ……ふっ。

 わかった、俺は何も聞くまい。

 お前の言う通りにしよう。」

「ああ、そうしとけ。」



 一瞬、俺の言ったことの意味が分からずに訝しげな表情をしたベイムラスだったが、すぐに納得した。



 ベイムラスに流れる鬼王の血は、鬼人族の仲間が増えるほどに真価を発揮するだろう。


 いざという時、その力が彼と家族を守るかも知れない。



「そして、最後に一つ。

 もしも、お前が今以上の力が

 必要になった時は、信頼できる仲間と共に

 【鬼王(アグル)の洞窟】に行くといい。」

「…な!?

 鬼王(アグル)の洞窟だと?!」

「ああ、そうだ。」

「…わかった。

 本当に必要になったら行くとしよう。」



 鬼王(アグル)の洞窟。


 そこは鬼人ではなく、()()()()()が徘徊する恐るべき場所。


 奴らは知性を持たず、見るもの全てに問答無用で襲いかかる。


 しかし、彼らは洞窟の最奥にある、とある物を守っているだけなのだ。


 そして、一度鬼王が舞い戻る時、鬼達は彼に付き従う最強の軍隊となる。


 その最奥にある物とは、鬼の王にしか手にすることが許されていない【鬼王武具】。


 それを手にしたなら、ベイムラスの力は一気に跳ね上がることになるだろう。


 本来の歴史のベイムラスを遥かに超えて。



 ある意味、そんなもの必要にならない方がいいのかもしれないが……



 やっぱり見てみたいよな!

 何たって俺は厨二だから!!



 ぐふふふふ、ベイムラスが鬼王武具を身につけて戦うところを想像したらニヤケが止まらん。



「…そ、ソージ?

 どうした??」

「…オホンッ!

 いや、なんでもない。

 とにかく、ベイムラスよ!

 達者でやれ!!

 また、いつか会おう!!」

「ああ、ソージも達者でな。

 本当に感謝する。

 また会おう!」




 こうして、ベイムラスと別れ、俺はアデルフォス孤児院へと帰るのだった。

 

 

 

 



 つづく





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 12話まで読みましたが面白かったです! 特に時折中二病を発症する主人公が見ていて楽しく、 コミカルだったことがよかったです! [気になる点] 少し文章が読みずらかったのが気になりました。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ