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  作者: 雪
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朝ごはんを食べた後、部屋に戻り出かける準備をする。といってもリナが用意してくれたくしで髪をとかし、もう使わないと言ってくれた肩にかける小さなバッグを持ち階段を下りる。

出かけると言っても宿を後にするのでなくただの買い物だ。服を買いに行こうとリナに言われた。さっきも食堂で視線をたくさん感じていたのでとてもありがたかった。リナの服が切れれば問題無かったのだが、そういうわけにもいかない体だそうだ。


玄関の方へ行くとリナはもう靴を履いて私を待っていた。ワンピースに麦わら帽子をかぶって、小さいリュックを背負って準備満タンとばかりの顔で笑っている。


「おそいですよーアオイさーん」


「リナさんが早いんだよ」


そっかぁ、とやけに嬉しそうに子どもみたいにはしゃいでいる。

「サンダルどーぞー」と足元に置いてくれてすぐ宿の人に「行ってきます!」と言って外にでる。

背中にいってらっしゃいと届き、リナが好かれているのがわかる。

朝ごはんの時も気軽に話してくれてとてもいい人たちだった。ちょっと胸に空洞を感じた。


***


「んーどれにしようかなぁ」


「アオイさんならなんでも似合いますよー」


視線の斜め下からひょこっと顔を出しにこにこしている。ほんとに小さいなぁ。

頭を撫でてやると猫みたいに懐いてくる。


「それはそうと、これどうですー?」


手に何か持っていっていたのはわかっていたがじゃーんと出したのは赤のすけすけのブラとパンツだった。

自分が付けれないから他人のつけてるの見て楽しむ、なんて言いたげな顔をしている。

「買わないよ」と興味なさげな返事をして本命の服の方を体に当てて鏡で見るを繰り返す。

いいなと思う服3着とパンツ2着、スカート1着、下着も上下2つずつ近くのカゴに入れてレジと思われるところに行った。


「そういえばアオイさん、お金あるんですか?」


「お金? そりゃあるでしょ」


「どこに?」


「いつもバッグに入れてるよ」


「それ私のですけど…」


あ…。

気づいたら足はレジとは逆に、服などがあった場所に向かっていた。

そういえば死んだ時の服は宿だしあの時手ぶらだったような…じゃなかったような…。無一文で買い物来たんか私!?


「あー! あー! 払う! 私が払いますってー!」


服を次々返すアオイの肩を持ち静止させカゴに残っている数点を見て「買えそうです」なんて渋い顔で言うから申し訳なくなってしまった。


「ほんとにいいの? リナさん…」


「嫌って言ったら嫌でしょ?」


立場として嫌とは言えないが少し嫌です…。

カゴを奪い取りそそくさに買いに行ってしまう。私も後ろからついて行く。


「年下に奢られるなんて…」


「アオイさん何歳なんですか?」


「18だよ」


「じゃあ同じですね!」


「えっ、うそぉ」


ご、合法ロリってやつかな…? 異世界パねぇ…。

驚いていると会計も終わったようで、払ってくれている。

通過は円らしい。私が財布持って死んだら買えていたわけだ。

同い年とわかっても周りから見れば年下に見えるであろう子に奢らせているなんて少し気が引けた。


「はい、どうぞー」


「ありがとうーございます! いつかお礼します!」


買ってくれたのは服2着とズボン、スカート1着ずつ。あと下着。

十分すぎる買い物だ。

それにしてもいつかなんて我ながらひどいことを言ったと思う。

宿屋で泊まらせてくれたけど長居する訳にもいかないだろう。

お礼はしたいが追い出されるのが先で―――


「じゃあ宿屋で働いてください」


…え?


「それがお礼ってことで」


こうして宿屋で働くことになってしまった。













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