表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 雪
10/16

10

「言うのが恥ずかしくて…」


 顔を手で隠し頬を赤くする。


「だ、だって! 女の子は男の子のことを好きになるんでしょ!? こんなの恥ずかしくて言えないよ…」


 風邪を引いて寝てたとは思えないほど元気にあたふた動いている。

 ワンピースの裾を掴んだり、布団を叩いたり、髪をくしゃくしゃしたり慌てているリナを横目に言ってやる。


「イオさんから聞いたのその話じゃない…」


 ぴたりと動きが止まる。数秒の硬直の後リナがしゃべり出した。


「え、え、じゃあイオさんと出会ったのが風俗だってことも? そのままワンナイトしたことも? 私が道行く人襲わないように男が来るの宿屋で働かせたことも? アオイが寝てる時何度も襲おうとしたことも?」


「全部知らない。てか何最後の」


「えぇぇぇ!」


「私が聞いたのはリナに親がいないってこと…だけ」


 内容が内容だからオブラートに包んで言おうと思っていたことを言ってしまった。するとリナの目はぱちくり開いて見つめ合う。


 え? 襲われる?


「親か…いないよ。うん、いない。でもいいんだ。アオイがいるしイオさんもいるし気にしてない!」


「そっか」


 ぎこちない笑顔になってしまった。それをリナも察した。


「あ、アオイ! 一緒にお風呂入ろ!」


「なんで!? 襲うの!?」


「違うよー入ろかなって思っただけ。そういう時あるでしょー」


「んーまあねぇ」


「じゃあいこっ」


 手を引っ張られ階段をおり、いつも入る小さいお風呂じゃなくて大浴場の方に行く。今日は誰も入らないらしい。


 脱衣所で服を脱ぎ、置いてあるタオルを風呂の扉の前にかけておき入る。

 リナは自分のトリートメントと洗顔クリームを持ってきていた。


「それどこで買ったの?」


「いつも行くお店があるんだ。明日一緒に買いに行く?」


「うん! 給料入ったしね〜」


 扉を開けると熱気が顔にかかる。それと同時に温泉とわかるにおいがしてきた。

 熱い空気と冷たいタイルがちょうどいい。


 体を洗うためシャワーの元へ向かうと誰かが1つシャワーを使っている。

 後ろ姿からわかるセクシーさ、胸が腹のラインをはみ出している。


「あれー?」


 リナが口を開く。


「イオさんじゃないですかー? その体」


「あら? 2人ともお揃いで。アオイちゃんはさっきぶり」


「さっきぶりですね…」


 なんでいるのー!? リナは体で判断しないでー!?

 この状況、体を重ねたものが2人、そこに交わる未経験な私。

 襲われるのでは…?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ