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私の名前はアオイ、18歳、LJKというものです。先程、死にました。車の中で人を待っていたらトラックが突っ込んできました。親は無事です。いなかったので。私だけ死にました。
即死じゃないので覚えています。骨の碎ける音や持っていた携帯に反射して映る歪んだ自分の顔。駆け寄ってくる人、粉砕した扉をこじ開けようとする男、運転手の男、私が好きなブランドのカバンを持った通行人、携帯をかざす若い人…やがて意識が遠のいてしまったことも。
死んでしまったら考えるはずです。こんな死に方じゃと悲しんだり、もっとなにかしたらよかったと後悔したり、欲しいものあったのになんて…年頃の女の子なので彼氏の1人2人欲しかったものです。
私ももっと―――普通にいきたかった。なんて。
***
「ごきげんよう」
どこかのお偉いお嬢様のような落ち着いた声で、きらびやかなドレスで、玉座のようなものに座り、床で倒れている私を見る。
周りには誰もおらずだだっ広い広間に2人きり、彼女は髪をとかしながらご機嫌そうにしていた。
「(ここはどこだろ…)」
当たりを見渡すと金色に輝く壁やシャンデリア、セレブが持ってそうなキングサイズほどのベッド、ガラス張りのバスルームなんかもある。
「ここは私の部屋ですよ」
2回しか聞いてない声だがもう心地がいい気がしてきた。
「あ、あな…たは…?」
喉になにか詰まっているような途切れぎみの声で聞く。
「あなたの世界で言う女神様ですよ」
「へ、へぇ…」
「あら、驚いたりしませんね?」
驚いたのは驚いたがそれは自分を女神と痛いこと言うそのことに驚いた。格好や言葉は女神様っぽいが。
「心の声聞こえるので痛いとか聞こえてますよ」
「えっ」
今日1番の声が出た。
「アオイさん、死んじゃったでしょう? 結構悲惨に。たまたま見てましたよここから」
驚いて目を見開いている間に彼女は話し始める。口も開いてパクパクしてきた。
「可哀想だし可愛い顔してたのでここに呼びました。違う世界で楽しんでもらおうと思って―――退屈だったでしょう?」
思わず身震いするような微笑を浮かべてこちらに向かってきた。潤いのある白い脚、靴は履いてなく裸足。モデルみたいな体をしている。
「私たちはあなたみたいに気に入った人間が死んだら別の世界に転生させてあげてるの。もちろん私たちが楽しむためだから強制的に。アオイさん、絶対後悔させないから次の世界で私を楽しませて?」
「な、強制的って…!」
一方的に話が進みなぜかでこにキスされる。
あ、いい匂い…なんて思っていると
「じゃあまた会いましょう。すぐ会えるわ」
なんて言われたからもう訳が分からないので考えるのをやめた。
直後、当たりが暗くなる。電源を切ったみたいにそこで意識はとだえた。