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那朗高校特殊放送部!

那朗高校特殊放送部~祝!!特殊放送部2周年編~

作者: 那朗高校特殊放送部

筆者:紅葉黑音


某所、というか新しい活動拠点。

そこで私は他の部員を前に、演説するような位置に立ち、声を上げました。


部屋に備え付けられたホワイトボードの前に私が立ち、目の前のテーブルを挟んで他の人が並んでいます。


「二週年!!」


「「「おめでとうございます!!!」」」


パーン!!

と、クラッカーの音が鳴り響きます。

ヒラヒラと大量のリボンとキラキラの紙吹雪が部室中に舞い散ります。

一瞬、後の片付けが脳裏によぎりますが、考えない事にしました。


「今日はついに私達、特殊放送部の創部二周年の日ですよ!!」


テンション高く、舞い上がりかけている私は高らかに告げます。

今ならクラッカーの火薬の臭いも全然気になりません。


「2週年!2周年ですよ?何というかあっと言う間でしたよね」

「正確には、紅葉が2週年、だけどね」


高いテンションと裏腹に、倉井さんは冷静なままです。

冷静なのはいつもですけどね!


「まぁ…そこは仕方ないというか…」


倉井さんの言う通り、この特殊放送部のいう部の2周年ではありますけれど、

創部当時は私しか居ませんでした。


白金君や倉井さんがやって来たのが5月末辺りなので、今日という日は本当に私だけしか居なかった時の記念日なのです。


「つまり、実の所今日という日には、私何の思い入れも無いのだけれど…」

「そんなご無体な!祝ってくださいよ!!」


確かに今日は私以外にとっては何でもない日なのかもしれないですけど!!


「冗談よ。ちゃんとお祝いはするわ?建国記念の日に直接立ち会ってないけど、祝日にはなるようにね」

「よ、良かった…」


てっきりこのままぼっち生誕祭になる所でしたね…

危ない危ない…


「でも実際おめでたいよね!!!」


部室に並べられたコップにジュースを注ぎながら、夏輝さんは嬉しそうに言ってくれます。

…注ぎながらコップの方を見ていないのがちょっとハラハラしますが…


「2年も続けるって中々出来ることじゃないよね」

「ですね!、あぁ、この部自体は明確な活動目標とかノルマとか無いので、のんびり続けられる部活ではありますけど」


「それでも飽きずに続けられたってのは大きいと思うけどな」


横から霜月さんも介入してきます。

当りどころが悪かったのか、クラッカーのリボンを思いっきり浴びて、それを取るのに難儀しているようですが…


「少なくともあたしが見た感じ、少なくとも毎日広報はしてたっぽいしな」

「僕らが居ない間もずっとTwitterは維持しててくれましたよね!」

「そうそう、長く続けるってのは大変だからなぁ…上手くない段階だと特に」


純粋な感謝の気持ちを伝えてくれる白金君と、なんとなく実感が滲み出ている気がする三条さん。

私の見てない所で既にお菓子の袋が開けられていて、そこで男子達が既にくつろいでいます。

…開けた袋の上に紙吹雪が乗ってるという事は、私がこのパーティー始める前に開けてましたね?


でも、そんな事でも許してしまうくらい、今の私はハイテンションなのです!


「ええ、まぁ、Twitterは別に苦では無いので良いのですけどね!」


こほん、と意味ありげに咳ばらいをしてから続けます。


「とりあえず、皆でお菓子を食べましょうか!!」





---------------------


「ねぇねぇ、2周年用のコスプレ何が良いかな?」

「えぇ?…なんだかバニーガールが流行ってるらしいぞ?」

「でもそれいつも来てるしなー」

「日頃からバニースーツ着てるって、よく考えたら凄いな…」


他の面子がテーブルを囲み各々で話している中、私もお菓子とジュースを手に、皆に混ざっていきます。


「そうそう、2周年と言えばー…」


たった8人、豪華なケーキなども無く、沢山のお菓子とジュースという、

いかにも高校生の部活動の打ち上げと言った感じですが、まぁ仕方のない事です。

卒業したとはいえ、まだまだ高校生みたいなものです。


「2年目はどんな活動してきましたっけね?」


一応、ここ特殊放送部は、動画作成をして発信していく部活動なので、活動そのものはあります。

そんな話題提供に最初に食いついてきたのはやはり夏輝さん。

基本的にどんな話題にも速攻で乗って来てくれるので個人的にはありがたいです。


「去年?うーん、アレじゃない?衣装いっぱい作った!!」

「確かに、あれはメインコンテンツみたいなものでしたね」


2周年を迎えるまでに、8人中5人分の衣装を作る事が出来ました。


…遅い?


そこはまぁ、完全な個人活動ですので、仕方ないというか…

今の所、和服、軍服、ストリートファッション、バニースーツ、スチームパンクの5種類。

あえてバラバラのコンセプトにしたおかげで、より個性が浮き出て来たと思っています。


残りの3人も、そうしていきたいですね!

やるたびに、高校生という立場のシンボルが消えていくのはご愛嬌。


「あ、後は異世界に遊びに行ったりもしましたね!!」


夏輝さんと話していると、白金君も参戦してきました。

ポテチを大量に摘まんだままです。

男子はみんなそんな風に食べるんでしょうか…


「いやー、洞窟探索はハラハラドキドキでしたからね!次も楽しみですよ!」

「そだねー!!次はどこ行こっか!!」


あれ?それ人前で話していい事でしたっけ?

一応、今スピンオフストーリーとして、冒険部は物語として発信していく体でやってたハズでは…


等と懸念していたら案の定、


「え、お前ら何してたんだ?アレ、マジの奴だったのか!?」

「白金、そんな事してたのか…」

「き、危険じゃ無いんですか…?」


と、異世界に行ってない人たちからの指摘が。

確かに、あからさまにファンタジーで非現実的なものなので仕方はないかもしれませんが。


「出来たんだからしょうがないじゃない」


そして倉井さんも混ざってきました。


「あなた達も行ってみればいいわよ、丁度4、4に別れられるんだし」



そんなことを倉井さんは言います。

私、白金君、倉井さん、夏輝さんが今の冒険部のパーティーで、各々ジョブについて冒険をしていました。

私達以外がパーティーを組んだ場合を考えるのも、それはそれで面白そうな気がしますね。


「それに、最低でも二人一組での行動を徹底させているし、安全面もちゃんと考えているわよ」


そう言いながら倉井さんは、棚の奥から、1枚の紙を取り出しました。

それは、冒険部活動規則。

異世界を冒険するうえで、出来るだけ危ない目に遭わないようルールを定めた文書です。


文書があるから絶対という訳ではありませんが、守っていれば、最悪の事態は防げるでしょう。


「え"っ…」


とその時、思わぬ方向から、聞いたことも無い声が、

その正体は霜月さん。

物凄く苦い顔をしています。


「あー…いや…何でもない」

「…絶対何かある顔だけど。隠し事ヘタクソって、言われたりしてないかしら?」


普段しない顔をしている霜月さんに倉井さんが強く追及をしていきます。


「…いやな、あたし、ひっそりとその世界、行ってたからな…」


「「「え"っ」」」


そして、さっき霜月さんが出した何とも言えない声を、今度はこちらが出す羽目に。


「実はあんたらが言ってるところ、見ちゃった事があってさ、あたしも出来るんじゃないかなーって、へへっ」


ばつが悪そうにはにかむ霜月さんは、それはそれで魅力的ではありますけれど、それはそれ。

それ初耳なのですが!?


「で、やってみたら出来ちゃって、力試しに良いんじゃないかって遊んで事が何度か…な」

「ほ、本当なの?」

「あぁ、夜盗みたいなのもボコしたことあるぞ」

「貴方ねぇ…やっぱり武闘派じゃないの…」

「でもよく考えたらそうだな…危険だし、次からは誰か連れてくか…」

「そういう問題じゃあ…あぁいや、それならまぁ、アリね」


まさかの2周年のタイミングで、霜月さんがこっそり異世界に1人で行っている事が判明してしまいましたが、

まぁ、こうなってしまった以上、冒険部の新メンバーとして迎えるなりなんなり、何か考えておきましょう。


「霜月さんのジョブは何ですか?」

「え?いや、町には寄って無いから、そう言うのはよくわかんねぇな」

「あんたよくそれで生き残ってたわね…」




---------------------



「他の活動だと…海に行ったり、夢について雑談したりとか、そんな感じでしたね」

「なんという微笑ましい活動…」


「高校生の動画投稿なんてそんなもんで十分ですよ!」


しょ、小説含めれば、もっと色々やってますから!

怪談話したりクリスマスのアレコレを語ったり!ね?

那朗高校特殊放送部シリーズは不定期更新で色々やってるので、是非!是非!!


「なんか宣伝しようとしてない?」

「な、何の事やら…?」


必死に弁明する私を横目に、倉井さんはお菓子を吟味しながらツッコミを入れてきます。

最近倉井さん、地の文を読んできている気がするんですけど…


「とにかく!!」


少し大きな声を出し、皆の注目を集めます。


挿絵(By みてみん)


「これで特殊放送部は2週年。大きな節目を迎えたワケです!」


今できる最大のキレで、ビシィ!とポーズを決めながら、ちょっといいことを言ってみます。

ポーズと同時に、カンッ!と下駄が小気味よい音を上げ、より一層引締まった空気感を演出してくれました。


「これによって、皆さんににはより一層の責任…は無いですけど、より広く、深い活動をしていきたいわけです!だから、それに付いて来て貰いたいわけです!」


こうして、私達3年は那朗高校を卒業しても、新拠点を構えたワケですから!


「部活ではなく、個人サークルとなったことで、学校からもう予算は出ません。でも!それでも何とかしていく覚悟はあります!」

「元々雀の涙くらいの予算だったじゃない」

「ま、まぁ、それはともかくです。これからも新衣装作ったり、冒険したり、他にも色々やっていきたいのです。もっと面白いものを、楽しんでくれるものを…そんな私のワガママに、皆さん、付いて来てくれますか?」


全力のお願いですが、皆の反応はというと、


「当然でしょう?」

「勿論だよ!楽しいしね!」

「僕は大丈夫です!ついていきますよ!」

「俺も」

「あたしもだ」

「わ、私もです…!」

「じゃあ、俺も」


皆横一列に並んで、ついて生きてくれるという意思表示を、ハッキリとしてくれています。

そんな皆に、心の奥からこみ上げる何かと、潤む涙腺。

私はね!結構こういうの弱いんですって!!


挿絵(By みてみん)


「うっ…あ、ありがとうございます!!」


「っていうかあたしらは好き勝手してるだけだしな…」

「割と部室間借りして遊んでるだけだよね!!」

「お前は特にそうだよなぁ、ただのコスプレ部屋だもんな」


元々そういうつもりでこの空間を作ったところもあるので、私の思惑は間違ってなかったと思います。

元々友達が少なくて、幼馴染の倉井さんくらいしか居なかったからこそ、こういう交流の場を作りたい、

そういう思いで特殊放送部を作ったのですから。


だからこそ、この2周年のタイミングは、色々と節目になるのかもしれません。

具体的には、仲良しサークルから、エンターテイナーへの移り変わり。


動画も、小説も、より、面白いコンテンツへの意識を…


「でもこれを動画にした方が」

「間に合わなかったんです!!!」


エンターテイナーへの道は遠そうです。

そんな締まらない特殊放送部は、3年目もこんな感じでまったりやって来ます!!!


では!


また次の小説で会いましょうね!!!!

倉井「これ小説なの?ポエムとかじゃなくて」

紅葉「小説です!!!」

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