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自分探しとは言えない一期一会な流転の旅  作者: 一等神 司
旅立ち
4/6

第3話 初めて行く家は緊張する

これもほぼ実体験の話です。

少し時間は(さかのぼ)り、お世話になる農家さんの家に到着した時の様子だ。


お世話になる農家さんの家は、平屋の一戸建てだが、田舎だけあって広い。

短期のバイトの間に使わせて貰う部屋に案内された。


「ここを使ってね」


「あ、ありがとうございます」


「ご飯 準備してあるから、早く食べてしまってね。明日は朝早いから」


「わかりました」


準備された晩御飯を食べる為に、台所に移動する。


「ご馳走様でした」


言われた様に、食器を台所のシンクに入れる。

そして、自分に準備された部屋に戻って、早々に布団に入る。


自宅でなら、まだ起きている時間なので、眠くない。


しかし……

良かった。


見た感じ、《嫌な感じのする部屋》は無さそうだ。


僕は、初めて行く家は、凄く緊張する。

その家の人達に対して…は、あまり緊張しない。

僕は社交的な性格なので、それは無いのだが、家自体に緊張する。

何故かと言うと、家庭の事情で、幼い頃から何度か引越しを経験したのだが、その引越した先の家で、二回程 凄く嫌な部屋が在る物件が有ったのだ。


今回は、その一軒目の話を書こう。



あれは……

僕が小学校六年生の時だった。


一戸建ての平屋で、短期のバイトでお世話になる農家さんの家と較べたら、かなり小さいが、三部屋ある家で、二部屋は南側の日当たりの良い部屋で、

もう一部屋は、北西の日当たりの悪い部屋だった。

その北西の部屋は、母の寝室になるのだが……


初めてその家に行った時から、その北西の部屋が、嫌で嫌で堪らなかった。



挿絵(By みてみん)



その部屋の中を見るのも嫌で、その部屋に居るだけで、居心地の悪さから、脂汗が出た。


夜だけの話では無い。

昼間の明るい時でも、その部屋は嫌だった。

見るのも嫌なのだ。


何と言うか、空気?雰囲気?何か嫌なモノを感じるのだが、何が嫌なのか、自分でもよく解らない。

でも、嫌なのだ。


しかし……

新居に引越して喜んでいる親兄弟に、そんな事は伝えられない。

表面上は、新しい住まいを喜んでみせた。



引越してからの生活は、凄く大変だった。

何故なら、三部屋の内の一部屋を避けながらの生活だ。

何も知らない親は、平気で「あれを取ってきて」とか言うので、嫌でもその部屋に入らなければならない。


風呂トイレに行く時も、その部屋を視線に入れない様に移動する。


ほら、想像しただけでも、大変なのが解るでしょう?



そして、引越してから数ヶ月が過ぎた時、母親が変な事を言い出した。


「寝てたらね。出たの!」


「(ヲイ・・・)」


「多分ね。あれは仲の良かった○○ちゃんが、会いに現れてくれたんだと思う」


母は、数年前に死んでしまった、仲の良かった女性の友達の霊だと思っている様だった。


「(いやいや・・・違うと思うぞ母さん・・・)」


「それでね?みんなで夜に出て来るのを待たない?」


「(!?)」


「(おーーーーーい!僕は昼間に入るのも嫌な部屋なんだよ!)」


と、心の中で叫ぶ。

でも、仲の良かった友達だと思っている母に、そんな事は言えません……


「うん!みんなで待とう!」


そんな理由(わけ)で、家族で夜にお化け(母の中では、仲の良かった友人の霊)が出て来るのを待つ事になった。



もちろん、家の中を真っ暗にしてね……



そんな真っ暗な中で、見るのも嫌な位の部屋に、親兄弟と座して待つ。

初夏でエアコンも無かったので、凄く暑い。



「暑いね・・・」


母が言う。


「「うん」」


僕と弟。


「現れてくれないね?」


「そうだね」


見るだけでも嫌な部屋に、親兄弟と真っ暗で暑い中 母の想いに応える為に座して待つ。

精神的な拷問の様なものだが、お兄ちゃんは頑張る。

家族を守るのも、長男の仕事なのだから。








ん〜

結果としては、何も出なかったんだけどね。

もう僕と弟が寝なければならない時間になり、解散して寝た。

そんなのも有って、僕は行った事の無い家に行くのは、凄く緊張するのだ。

今回は、そんな部屋が無い所で良かった。





まあ……僕には霊感なんて無いし、気分の問題だと思うけどね。幽霊なんて見た事が無いしさ。

あの嫌悪感は何だったんだろう?

兎に角 その部屋は嫌でした。

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