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自分探しとは言えない一期一会な流転の旅  作者: 一等神 司
旅立ち
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第1話 この広いお部屋いっぱい

旅への出発前日

1999年の春、私は30歳。

東京都の片田舎の八王子市の一戸建ての実家に暮らす独身貴族の王子様。

いや、八王子市に掛けたんだけどね。


自分の人生に行き詰まった私は、唐突に旅に出る事にした。


しかも、その当時 大人気だったテレビ番組の企画を真似て、ヒッチハイクで国内旅行をしようと決めたのだった。


うん。ヒッチハイクで旅をするのは決めた。

でも、ヒッチハイクかぁ……

知らない人に車に乗せて貰うって、凄く度胸がいる。


そんな気弱な部分が出てしまってた。


ヒッチハイクとは言っても、旅費も必要だ。

何か良い近場の田舎での仕事はないものかと、求人誌を見てみると、短期の高原野菜の収穫のお手伝いの求人が有った。

長野県だ。

体力が必要と書いてあるけど、建築業の経験も有り、普通よりはずっと腕力も体力も有る。

大丈夫だろうなと思い、電話を掛けてみる。


「もしもし」


「もしもし」


「求人広告を見て電話しました」


「あ、はい。体力が必要ですが大丈夫ですか?」


「はい。建築業の経験もあり、普通より体力が有ると思います」


「そうですか?それならお願い出来ますか?」


「はい。宜しくお願いします」


すんなりと決まった。


私は実家暮らしで、母と二人での生活だった。

やる事なす事 上手く行かず、悶々(もんもん)とした日々を過ごしていた。

きっと、(はた)から見たら、十分に恵まれた生活だったのだろうと思う。

安心して寝起き出来る一戸建ての実家。

父は他界していても、母が居る。

独りで悶々(もんもん)と、答えの出ない人生の事を悩んでいる余裕が有るだけ、まだマシな環境だと言えただろう。

私の部屋は、二十畳近い広さが有って、それを基本的に一人で使っていた。

広過ぎるので、極一部 母の裁縫の趣味の領域として侵略されていたけれど、それでも余り有る広さが有った。

エアコンも無く、冬場は広過ぎて暖房が効かない。

それでも、東京都での生活では、これだけのパーソナルスペースを持てるのは恵まれている。


テレビが二台、一つにはゲームを繋いで、テレビを観ながらゲームして、一緒にコンポで音楽を聴きながら、マンガを読む。

こんな事を毎日 していた。

音楽CDは、専用の大きなラックを買ってあり、色んなジャンルの物が好きに聴ける。

マンガなどの書籍も、一時期は何千と有り、「このままだと床が落ちる」と強制的に古本屋に売らされた。

それでも、残った本の量は膨大だった。


恵まれた環境。

それは解ってた。


東京での生活は、私の心を蝕んでいく。

地元の八王子市で仕事がしたいのだが、惹かれる仕事は、23区内に集中。

通勤時間は短くて一時間半、長ければ二時間を超える。


「俺って何の為に生まれてきたんだろう?」


いつも考えてしまう。


「俺ってこの世に必要なのかな?居なくなっても何も変わらない気がする」


最近は思い切りネガティブだ。


生きている事自体が罪の様に感じてきてしまう。


でも、死ぬ気は無い。


父は50過ぎで簡単に癌で亡くなってしまった。

大好きだった優しい父。

そんな心の支えを失ったのも大きかったと思う。

いつまでも「おい、釣りに行くから運転してくれ」と言われて、嫌々ながらも運転手として山へ海へ連れてく生活が続く、そんな気がしていた。

でも、父は居なくなった。


「俺って何がしたいんだろう?」


広い部屋で悩んで悩んで出した答えが、「旅に行こう」だった。

馬鹿な事なのは解っている。

日本国内とは言っても、簡単な事では無いのも解ってる。

「死ぬかも知れないな…」とも思った。

だけど、このまま実家に居ちゃいけないと思った。



そして、一緒に暮らしていた母には黙って、ふらりと次の日に長野に向かった。

ウダウダ

ウダウダ

ウダウダ

ウダウダ

ウダウダ

ウダウダ

な主人公

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