第4話 第一村人発見!?
[床板の素材を複製。対象物に応用します…成功しました。スキル:物質創造を発動します]
その声と共に、部屋の中に1つの木片が現れた。
…きたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!とうとう家具創造が使えるようになった!
魔力を大量に消費するせいで使い勝手は悪いし、まだ家具をつくれる段階まで至っていないけど、これでもう死スキルなんて言われないよ!やったね!
どうやら今まで使えなかったのは、自分の体を形作っている素材以外のものを創造しようとしていたからだった。そりゃそうだ、いきなりなんでも作れてしまったら、チート以外の何物でもないじゃないか。
…うん?なんだかスキルを使ってから体に違和感があるような。一応ステータスを見ておくとするか…。
HP:47/50 MP: 5/20
う、嘘でしょ!?MPはともかくとして、なんでHPが削れているんだ!?しかも、これだけの犠牲を払っておいて対価がただの木片1つとは…。死スキル以外の何物でもないじゃないか!
いや、もういい。家具は諦める。
実は、鑑定のスキルの方で気づいたことがあったから、今はそっちをやろう。
鑑定する度にメモ機能が解放されました、と出ていて、その時私はあまり気にしていなかったのだが、その機能がわかったのだ。
きっかけは[ポルターガイスト]で小石を動かす練習をしていたときのことだった。ふと、この石硬いな〜と思った、その後に鑑定を使ってみると、その石の情報のなかに、「硬い」と表示されていたのだった。
これは、頑張れば自分だけの図鑑が作れてしまうのでは…?
そうと決まれば善は急げ!と、私は自分の周りにあるものを鑑定していった。植物から水、そこら辺の石まで目に入ったものを際限なく。知っている物の種類は多いに越したことはないからね!
<種族名称…情報不足により取得出来ませんでした。これにより、この種族名称を草Aと設定します>
<物質名称…情報不足により取得出来ませんでした。これにより、この物質名称をなんかピカピカした石と設定します>
<種族名称…情報不足により取得出来ませんでした。これにより、この種族名称を桜と設定します>
…
……
………
なんだか鑑定していく内に名前付けが雑になってきた気もするな…知っている種類に似ているものには、そのままその名前を設定している。しかし全く見覚えのないものには勝手に名前を決めて、設定しているのだ。名前のレパートリーはすぐに底をついた。
私に名付けのセンスを期待してはいけない。
それよりも、さくらんぼ(のようなもの)を見つけたのは嬉しい。[ポルターガイスト]で頑張って運んで、家の東に埋めておく。ゆくゆくは家の周りの庭を桜でいっぱいにして、春になったらお花見とかしたいな。
<条件を満たしました。これにより、通常スキル[土操作]を獲得しました>
おっ、埋めるために[ポルターガイスト]で土を掘っていたら、何やらスキルを獲得した。どうやら土限定で、ポルターガイストよりもずっと低燃費で精密に動かすことが出来るようだ。
[ポルターガイスト]は練習の結果スキルレベル6/10になり、最初と比べるとずっと使えるようになった。しかし、かなり魔力を消費する。
だから、これはかなり便利だ。もしあるのなら、是非[水操作]や[炎操作]も覚えたいところだ……ん?
何やら、ガサガサという物音と、足音が聞こえる。早めのペースだ、走っているのだろう。何かがこっちへ向かってくる。
え、うそ、今までたった1人で自由に孤独に生きていたけど、それも今日で終わりなのか!?
こっちに転生してきて初めての出会い、初めてのドキドキ、俺達の冒険がここから始まっちゃうのか!?
待って私コミュ障だ。緊張してきた、上手く話せるかな、多分無理…
いやもちつけ私。今、私は家だ。そもそも意思の疎通ははかれないだろう。
………なーんて。ここはだだっ広い森の中だ。人間が来る可能性なんてゼロに等しい。足音はどうせ野生動物、オオカミかなにかだろう。
茂みをかき分け現れたのは、金髪の美少女だった。
ヨッシャァァァァ!?とおもったのもつかの間、今にも倒れそうなその少女の背後から、オオカミが現れた。
レイカ「フラグ回収が早すぎる」