第2話 こんなはずでは
無事、レイカは転生を終えた。その事を確認した者は、独り不気味にニヤリと笑った。出来ることは全てやった、後は収穫を待つだけだ、と。
「さあ、約束は果たしましたよ…?一体どんな結末を見せてくれるのでしょうね、アリスさん?」
賽は投げられた。加速しだした運命の歯車は、彼にも、彼女にも、もう誰にも止められないだろう。
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今日はいい日だ。花は咲き乱れ、鳥は歌い。木漏れ日は綺麗に揺らめいて、池は涼しげに雲を映している。こんな日は、ピクニックにでも…って、ワシ動けないやーーーん!!
はあ、死んで異世界に転生してきたと思ったら、まさかの建物だよ?こんな未来誰が想像できたってんだ。
私がしたかったのは、魔王城に勤めて、パズルを作ったり点検したりして。仕事終わりに仲間とワイワイ飲み会に行くような、そんななんてことない魔物生だったのに…。そして勇者が自分達のパズルに挑んでくれることにやりがいを感じるような暮らしだったのに…。一体どこで何を間違えたら、この姿になるというんだ?
正直、条件だけは満たしていて逆に腹が立つ。
…でも、こんな所でうじうじと悔やんでいても、何も始まらない。
道を見失ったときにやることは大きく分けて3つ。まず冷静になって現状で自分が持っているものや状況を確認。そしてやるべき事を確認。最後にそれを成すにはどうすればいいのかを考える。この3つをしっかり押さえておけば、どんな状況にもパニックにならず対応できる。
まず、自分に持っているものを確認しよう。とりあえず、周囲を見渡したり、自分を見たり、部屋の中を見ることは出来るようだ。まるで監視カメラを自由に動かしているようで、少し楽しい。これ、お風呂とか作れば覗けるのでは…?
ちなみに今私は城ではなく、ただの小さな木造の小屋だ。小屋の中には何も無かった。
…ん?待てよ?何故RPG好きを名乗っておいて今まで気付かなかった。ここは異世界、自分の現状を把握するには…
来い!ステータス!!
名前:[設定されていません]
種族:小屋 Lv:1
状態:正常
HP:50/50 MP: 20/20
攻撃力:0
防御力:70
素早さ:0
魔力:10
特殊スキル:
魔王の運命 --/--
鑑定 1/10
種族スキル:
魔王城の意思 --/--
家具創造 1/10
魔法:
ポルターガイスト 1/10
称号:
「転生者」
キターーーーー!!!!!ステータス!!種族:小屋って所にツッコミたいけれど!
それはひとまず置いておいて、この「魔王の運命」というのが気になる。魔王が住んでくれるとか…?
それから「魔王城の意思」とは一体…
今、私は誰も住んでいない小屋だけれども、魔王城と名前が付いていていいのだろうか。
時間は腐るほどあるのだから、少しずつ試していきたい。
確認が終わったら、次はやるべき事。今のところは、スキルの確認、住んでくれる人の確保、この世界と周辺の状況把握、この世界の法則を知る、レベル上げ…というところだろうか。
特に住んでくれる人の確保、これは重要だ。なんていったって、私は今移動も何も出来ない。娯楽にあふれた現代から来た私にとって、ずっとなにもせずただここで生きるのは、暇すぎて拷問に等しい。いい人が住んでくれるといいな…
そして、それをするには、、、
…正直なにも思いつかない。もはや待つしかないのではないだろうか。
この小屋に重い足取りの少女が近づいてきていることを、彼女はまだ知らない。
夏休み中のせいで、最近だらけ癖がついてしまってヤバいです。特に生活リズムがガッタガタになってしまい、このままだと寿命が縮みそうですね…(´•ω•`)
宿題が山のようにあるせいで既に縮んでますが