第7話 戦闘終了!
勝った!第三部、完!
…いや、まだ始まったばっかりなんだけどさ。こう、気分的に…ねえ?
それはそうと、オオカミにとどめをさす呪文を唱えたあと昏睡していた彼女が、ついさきほど起きあがった。ステータスは全く読めなかったが、どうやら無事のようだ。目覚めた直後は多少混乱していたものの、今は落ち着いて、なにやら自分の体に魔法をかけている。
[魔力の流れと属性を観測。初級魔法:ヒールです]
[初級魔法:ヒールに関する情報のメモ機能が解放されました]
解説ありがとう鑑定さん!というわけで、彼女と意思の疎通を試みたいと思います!イェーイどんどんパフパフ!
ぜんぜんというわけで、じゃないが、そこにつっこんだら野暮だろう。
口もない、身振り手振りもできない状態でどうコミュニケーションをとるんだ?と思うかもしれないが、このレイカ様、ちゃんと策は考えてきてあるのだ!
いたって単純明快、先ほどの戦闘で流れ出た、オオカミや少女の血を魔法[ポルターガイスト]にて操作して、壁に血文字を書く、というものだ。…SAN値が下がりそうな光景だが、発狂されないことを祈るしかない。
さて、早速血を浮かせて…あれ、思ったよりも難しいなこれ。
<条件を満たしました。これにより、通常スキル:水操作を獲得しました>
おっとこれは渡りに舟だ。これ幸いと船に乗っかることで比較的スムーズに動くようになった血を、少女は凝視している。が、逃げ出す素振りはない。もしかしたら、さっきの戦闘で小石を散々浮かせてぶつけていたところを、見ていたのかもしれない。グッジョブ数分前の私!
えっと、えっと、こういう時って、なにから話し始めればいいんだ…?文字での会話なら持ち前のコミュ症を発揮しないであろう、という私の目論見が早くも崩されようとしている。とりあえず、無難なのを…
『あなたの名前はなんですか?』
彼女は壁の文字を、記憶をたどるようにじっっと見つめている。
あー…これはもしかして、何かミスった?
私の達筆(笑)と称される文字がいけなかったか?ちくしょう、これだからアナログは嫌いなんだ!
それとも、あなたの…っていうなにかの登録みたいな言い方がだめだったか?話し言葉では全然使わないし。英語ならyouで済むのに、ちくしょう、これだから日本語は嫌いなんだ!
と、ここまで考えて、一番の原因に思い当たった。これ、こっちの言語じゃないと通じないじゃん!コミュ力うんぬんよりも、当初の計画自体に大きな欠陥があったとは。さっきは嫌いなんて言ってごめんよ、アナログも日本語も本当は好きだから…
「…アリス。」
へっ!?
「アリス・アンドリュー。~~~、~~~?」
こ、これは…伝わった?アンドリューの後ろは知らない言葉でよく聞き取れなかったが、彼女は確かに、アリスと名乗った。
『よろしく、アリスちゃん!なんでこんなところにいるの?保護者は?』
アリスは首をかしげた。
『おなかとかすいてない?なにか好きな食べ物とかある?よかったら作るよ!材料があれば、だけどね〜』
アリスは首をかしげた。
これは…あれだな。伝わってないな。さっきのはまぐれかなにかだろう。それか、同じ文字を見たことがある、とか。
悩んでいるうちに、アリスは指に血を付けて、壁になにやら描き始めた。これは…絵だ!!なるほど、全世界共通の言語キタコレ!そうと決まったら、私もじゃんじゃん描いていこう。元美術部の腕が鳴るぜ!
こうして、私とアリスの短い共同生活が始まったのである。




