7話・真昼の宿舎
この後、ギルト区域へ、すぐに到着したものの。
辺り一帯に、緊張した空気が流れていた。
不穏な空気の原因は「二つの話題」にあって。
ソレ(話題)の影響により、皆(戦士たち)がピリピリしている。
一つは、つい数時間前…
「破壊と烈火の主」が、ドレッド平原に降りた事。
まあ、こちらの話題は、あくまで「噂レベル」なので。
さして、大した混乱を招いていない。
そう、問題の大半は…
もう一方の話題にあったのである。
その内容は、わずか数分もまえ。
市街区にて「暴動が起きた」と言うのだ…
しかも、ソレ(暴動)は、かなり異常な内容で。
「人と人との『共食い』だったらしい」
ここまで異常な騒動ゆえに。
彼ら(戦士たち)が、口を揃えるのも無理はなかった。
レオたちは、そんな話題を横目に「宿屋」を目指す。
その道中、怯えた彼女が、レオの手を強く握った。
「心配ないさ」と、勇ましい王子さま(レオ)。
そんな二人の後を、惨めな男が続く。
昼間の宿屋は、あまり人気がなく…
泊まりにくる者(戦士たち)は、夜の時間帯の半分にも満たない。
だから、レオたちは、好きな部屋を選ぶ事ができた。
当然、レオとフレイは同部屋で。
レオが、残り物に希望をきく。
「どうだ?同じ部屋にするか?」
人の良い彼だから、仲間を省くことなどしない。
「うん、私も賛成」
フレイもまた、ウラドの事を拒まない。
だが、それでも。
ウラドには、二人の間に、割り込むつもりはないし。
それに、この休暇が終わったら、また長い旅が待っている…
ゆえに、レオとフレイには。
今のうちに、二人の時間を、満喫して欲しかった。
「いや、別の部屋にするよ…ベッドは、大きいほうが好きだし」