3話・下衆の遺言
「ぎィやあああああ!」
雑魚共の悲鳴が上がる。
繰り出される、華麗な剣撃。
二刀の聖剣が、下衆共に正義の鉄槌を下してゆく。
しかし、何故だか…
相手側には、反撃する素振りすらなく。
「たすけて…くれェ!」
「ご慈悲をぉおおお」
ゴチャゴチャと喚きながら…
狩られる鼠のように、逃げ惑うだけだった。
モンスターたちは、地を這いながら、敵(勇者側)に助けをこう。
そんな敵の頭部を、光の矢が貫いた。
フレイの攻撃は、一寸のズレもなく。
彼女もまた…正義の勇者。
たとえ慈悲を求められても、下衆に容赦はしない。
瞬く間に、モンスター軍は壊滅の危機。
オークやゴーレム、ゴブリン兵…などの死体。
そして、スライムの体が破裂する。
次々と積み重なる、モンスターの死体の山。
最後の一匹…
瀕死のゴブリン兵が、ヨロヨロと逃げ惑う。
その先には、シェムハザとウラドがいた。
敵(ゴブリン兵)は、逃げるのに必死…
二人には、気づいていないらしい。
「畜生…ちくしょう」
ゴブリン兵が、血を吐きながら、自らの不幸を呪う。
「皆、イカれちまった…」
ゴブリンの台詞は、二人に筒抜けだ。
「クソッタレがっ!」
「あの糞ガキっ!…なにが、なにが『シュタハス』だっ!」
この台詞の意味は、二人には分からなかった。
だが、このとき…シェムハザ(聖職者)の目つきが、僅かに尖った。
そして…レオの一撃。
正義の一閃が、死にぞこない(ゴブリン兵)にトドメを刺す。
その一太刀に、バッサリと背中を裂かれてしまい。
ゴブリン兵は、呆気なく倒れ。
醜い死体の周りに、赤い血が広がってゆく。