20話・倒れる青
「レオ…」
ブルーの瞳に、涙を浮かべて…
フレイは、敵の頭部を撃ち続けた。
一体、また一体…と、敵の数は減るモノの。
彼女の交戦する背中は、悲観に暮れていた。
そう…こうして戦いながらも。
フレイは、大切な人の死を実感していたのだ。
そんな彼女の元へ、シェムハザも加勢に入る。
彼の手には、鉄パイプ。
若干、頼りないが、きっとフレイの助けになる筈…
そして、ひっそりと…
聖職者は、フレイの「背後」に立った。
ウラドも加勢するべく、使えそうな武器を探す。
このとき…
バキィッ!
鉄パイプの打撃音が、天井にまで響き渡った。
どうやら、シェムハザが「何か」を殴ったらしい。
感染者を一人、撃退したのか?
ウラドは、聖職者の方へ視線をやった。
しかし、この瞬間…
彼の目に、飛び込んできたのは。
ゆっくりと倒れる…フレイの姿だった。
彼女の後頭部から、血が噴き出し。
青い髪に、鮮血の赤が乗っかる。
そして彼女は、山積みの本へと、音もなく倒れた。
シェムハザの鉄パイプが、フレイの血で更に染まる。
「?!!!」
瞬間、ウラドの理性が沸騰した。
そう…
シェムハザが、彼女を後ろから「殴り倒した」のである。




