1話・崖っぷちの勇者たち
林の列が連なり、その向こう…
断崖絶壁の崖が、待ち受けていた。
このエリア(森)は、ダンジョンの一つ「開花の森」。
開花の森は、敵側のテリトリー(領土)でもある。
こんな危険な所を…
勇敢なる四人組が、果敢に駆け抜けてゆく。
先頭には、勇者「レオ」。
彼は、聖剣の使い手であり…
最強を絵に描いたような、二刀流の剣士だった。
リーダー(レオ)の後に、他のメンバーも続いてゆく。
すぐ後ろに「弓兵の女」。
その次に「聖職者」。
そして、最後尾には、無能な「魔術師」。
レオ一行(四人)は、崖の頂上に立ち。
高い崖の上から、下の様子を探ってみた。
崖と地上とでは、数十メートルほど離れており。
標的の相手…モンスター軍が、崖の下にいた。
敵の数は、10体ほど。
スライムにオーク…
ゴーレムやゴブリン兵など「雑魚モンスター」ばかりだった。
しかも…都合が良いことに。
敵軍は、かなり追い込まれており。
全てのモンスターが、ボロボロで…負傷しているみだいだ。
敵(雑魚モンスター)が、こんな状態なら…きっと手間は掛からない。
状況が分かり次第。
先頭のレオ(リーダー)が、すぐさま行動に移る。
その美しき双剣を、背中から抜き…
聖なる刃が、真昼の光を反射させる。
そして、一切の躊躇なく…
正義の勇者は、崖の上から、果敢に飛び出していった。
頭上から、華麗なる剣撃が降ってきて。
雑魚モンスターたちは、圧倒的な力を前に、成す術がない。
リーダーが、飛び出したのを確認。
他のメンバーも、彼後に続いた。
聖職者の男が、崖の頭に悠然と立った。
その手には、とある聖書が一つ。
茶色の長髪が、自然の風に揺れ。
彼(聖職者)の尖がり耳が露わとなった。
そう、ご覧の通り、この聖職者はエルフ族であり。
再生の主「シュタハス」を信仰する…エルフの聖職者であった。
この聖職者の名は「シェムハザ」。
彼の横顔は、いつものように余裕の笑顔。
「シュタハス聖書」を肌身離さず…その身を風に委ね、崖の上から飛ぶ。