表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/30

3.悪魔、現る

そして、数日後のこと。


「あー!なんで神様は来てくれないの!?毎日毎日おまじないしてるのに!」


あたしはもうガマンの限界だった。

あーあ、あの犬の話はやっぱりウソだったのかな・・・?


 その時、あの犬が話していた、もう一つのおまじないが頭に浮かんだ。悪魔を呼び寄せるおまじない。

願いを叶えてくれる代わりに死んじゃうって、なんか怖い。でもイライラしていたあたしは、なんでもいいから来てほしいとヤケになっておまじないを唱えてしまった。


「えーと、イートーマキマキ、イートーマキマキ、ヒーテヒーテトントントン」


 急にあたりがまぶしくなり、目の前に何か黒いものが現れた。


「まいどー!」


「うきゃああ!!!」


その黒いものは、よく見ると犬の格好をしていた。顔はパグなのに、頭には何か尖ったツノみたいなのが生えていて、しっぽもパグみたいにくるんとしていない、細くて長くて先が尖ったしっぽだった。そして、背中にコウモリみたいな尖った黒い翼が生えていて、大きさはあたしと同じくらいだった。


あたしは、おずおずと話しかけた。


「あのー・・・あなたが悪魔さん?」


「まいどありがとうございます。オイラは・・・じゃない、わたくしは悪魔出張サービスの『パグぞう』でございます。ご依頼は何でしょう?」


「いや・・・頼みっていうか(ほんとに来るとは思わなかった)・・・あの、頼んだら、あたし死んじゃうんですよね?」


パグぞうと名乗る悪魔は、丁寧な口調で淡々と説明した。


「ご契約内容のご説明が必要なようですね。まず、すぐに死ぬことはございません。ただ、お客様の残された寿命が減るだけです。つまり、死ぬのが少し早くなるだけです。出張一日につき、お客様の寿命を二日いただくことになっております。」


「寿命が減る・・・?あたし、何歳まで生きられるの?」


「それはわたくし共にもわかりません。ただ、お客様の生気をいただくことによってお客様の寿命が短くなるのです」


「いつまで生きられるかわからないのに、寿命が短くなるなんてイヤだよ!」


「ほう。では、なぜわたくしをお呼びになったのです?まさか、タダで願いを叶えてもらおうとでも?」


「うっ・・・それは・・・」


悪魔は、冷やかな口調でまくしたてた。


「そんなボランティア、誰がします?タダで願いを叶えてもらいたければ、神様にでもお願いしたらどうです?やれやれ、ただの冷やかしの為に出張するとは。わたくしも忙しいのでもう失礼しますよ。あ、契約内容の説明をさせていただいたので、寿命を一日頂戴いたします」


「ええっ!?なんで!?」


「わたくし共は悪魔です。理不尽なのは当たり前。これで何ももらわずに会社に帰ったら、仕事をサボってることになりますよ。もうそろそろ定時なので早く帰らねば・・・ってアレ!?」


悪魔は急に大声を上げた。


「ない!社員証がない!」


「社員証?」


「ああ、どうしよう・・・あれがないと会社に入れない。社長にめっちゃ怒られる・・・」


悪魔はブツブツ言いながらブルブル震えている。 あたしは悪魔に聞いてみた。


「ねえ、どこで落としたの?」


「え?今日は一丁目で仕事して、で、会社に戻ろうと思ったら急にあんたが呼ぶからUターンして。

・・・あんたのせいだぜ。用もないのに呼ぶから!」


悪魔は急に怒り出した。口調も変わってる。でも、これって逆恨みっていうやつじゃ?


「じゃあさ、あたしが探すの手伝ってあげる。その代わり、寿命はとらないでよ。ね、お願い!」


 あたしは悪魔に頼んだ。大事な寿命とられたくないもんね。すると、悪魔は渋々うなずいた。


「じゃあ・・・あんたがちゃんとオイラの社員証を見つけてくれたら、今回だけサービスするよ。目、つぶってな!ワープ!!」


 急に目の前がまぶしくなって、あたしは目をギュっとつぶった。


目を開けたら、あたしはマンション敷地内の植え込みの中にいた。あたしは植え込みからジャンプして外へ飛び出した。悪魔はフワフワと宙に浮かんであたしを見下ろしていた。


悪魔はマンションの前の道を指差して言った。


「オイラはこの道をまっすぐ来たから、この道沿いにあるかもしれん。一丁目の家を出た時にはたしかに

あったし」


「わかった。ちょっと、においかがせて」


 あたしの鼻にかかれば、なくしたものなんてすぐに見つかる。サトルがなくしたものだって、あたしがいつも見つけてあげてるもんね。それにしても・・・この悪魔、なんか臭っ!


 あたしは地面をクンクンとかいだ。お?こっちか!


あたしは、においのする方へ走りだした。まっすぐ行って、そこの角で曲がって。一丁目まではよく散歩するから知ってる道もある。悪魔もあたしのあとをついて空を飛んだ。


しばらく走ると、それは道のすみっこに落ちていた。


「あった!」


「えっ!本当か?」


落ちていたソレは、サトルが首からぶらさげている社員証とよく似ていた。


「あーよかった!!オイラの社員証!!いやー本当に助かった。ありがとよ。じゃあ約束通り今回はサービスってことで」


「やった!」


「そういえば、あんたの願い事って何だったんだ?」


「え?ああ、あたし、人間になりたいの」


「なんだ、そんなもん。オイラの手にかかればチョロイもんよ。今回は特別サービスだ。寿命とらずに人間にしてやるよ」


「えっ!?やったー!!」


 あたしは悪魔の力でワープして、部屋に帰った。悪魔は言った。


「じゃあいくぜ。心の準備はいいか?」


「うん!準備オッケー!」


あたしの体は、まぶしい光に包まれた。


「目、開けていいぜ」


 悪魔に言われてあたしは目を開けた。なんだか見える景色が違う。いつも寝床にしているクッションがすごく下にあるし、いつも見上げてるテレビが今は見下ろせる。


「どうだ、人間になった気分は。鏡、見てみな」


「わっ!人間!」


「それが今のあんたの姿さ。見た目はだいたい二十歳くらいだな。あんた、普段から服着てんの?」


「うん、毎日違う服着てる」


「着てなかったらスッポンポンだったぜ」


「え?何スッポって」


「いや、なんでも」


「?それにしてもすごいね!ほんとに人間になっちゃったよ!」


「水玉模様の赤いワンピースか。飼い主の趣味が出るよな・・・髪の色は毛色と同じで、くるくるなところもトイプードルっぽいな」


「あたし、人間になってもカワイイでしょ!」


「・・・まあまあ。ってか自分で言うか?カワイイなんて」


「あっ!」


「レーゾーコに手が届く!」


 あたしは台所に走って行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ