あいつの日常
こいつの名前は下神楓佳。どこにでもいる女子高生ってやつか?
成績も中の上だし、運動神経も平凡。帰宅部のこいつにゃ、友達も少ない。帰っても飯食って風呂入って、テレビ見て、足元でにゃーにゃー鳴く相棒をあやして、それで布団に入るって生活の繰り返し。特にドラマティックなこともありゃしない。ときどき、あいつの足元にいる相棒が俺のこと威嚇するんだが、こいつはしつけがなってないな。
ある日の朝、俺は楓佳が学校に行く様子を後ろからついて見守ってみた。電車に乗って、その後は徒歩か。イヤホンでお気に入りの音楽を聴きながら歩いていく。
ん?俺の特有の勘が嫌なものの存在を告げている。前方か。俺はあいつの横をすり抜け、全力で走っていく。通学路にあるごみ収集所に、ネズミが集っていた。これはまずい。楓佳はネズミが大の苦手だ。こんなところで遭遇したら、学校に行く気など失せるだろうな。そうして帰ってきて俺と一緒にごろごろしてくれたら…なんて考えてふと、自分が死んでいることを思い出すんだ。
ネズミどもは自分の気配を感じて、早々に退散した。こうしてまた一つ、あいつの周りで起こりそうな事件を解決したわけだ。
最終的に、思うんだ。
俺の事、気づいてほしいなぁ。
その日の夜、楓佳はベッドに腰かけながら、何もない虚空を撫でるように手を動かしていた。
「わかってるよ、クロ。今日もありがとう」




