絶対にばれてはいけないラプレター
光希の部屋の窓から朝日が差し込み、目を開ける。
上半身を起こし、ベッドから出る。
よたよたと階段を降り、洗面所へ行き冷水を顔にかける。
「ふぁ・・・・お腹空いた」
台所に行き、冷蔵庫を開ける。
「卵はあるな」
卵を手に取ろうとすると家のインターホンがなった。
「姫月か・・・」
玄関に向かい扉を開ける。
「おはようございます、光希先輩」
彩羽だった。
「彩羽?どうしたんだ?こんな時間に」
時刻は7時20分、まだ学校に行く時間ではない。
「先輩に会いに来たんですが、ダメでしたか?」
「まぁ、別に構わないんだけど」
「あ、先輩これ、どうぞ」
かばんの中から弁当を取り出した。
「弁当?」
「はい、今日は起きるのが早かったので作ってきました」
「ありがとな、彩羽」
「あ、朝ごはん作るんだった」
台所に行き、冷蔵庫から卵取り出し、フライパンに火を通す。
「朝ごはんまだだったんですか?」
「さっき起きたからな」
目をこすりながら、火が通ったフライパンに卵をいれる。
「私が焼いておくので光希先輩は先に着替えちゃって下さい」
「すまないな」
部屋に戻り、制服に着替える。
すると机に置いてあった携帯が鳴った。
「ん?姫月?」
メールの内容は朝はこれないとのことだった。
「光希先輩、出来ましたよ」
一階から彩羽が呼んでいるので、急いで制服に着替え、一階へ向かう。
「いただきます」
丁度良い加減に焼けたパンのカリカリ具合が上手い。
「雪白先輩は来ないんですか?」
「あぁ、今日は来ないって」
「まさかですけど雪白先輩は毎日来てるんですか!?」
急に彩羽の目付きが変わり、光希を睨みつける。
「え?き、来てるよ?」
「じゃあ、学校に行くまでの間は、ずっと二人きりってことですか!?」
彩羽が光希をすごく睨んでいる。今の彩羽なら目付きだけで人を殺せそうだ。
「明日から私も目覚ましを早くして光希先輩の家に・・・」
明日からどうなるんだろう・・・
時刻は7時50分、彩羽と家を出て学校に向かってる途中、姫月と出会った。
「光希君、何でこの子といるの?浮気?浮気なの?」
虚ろな目で聞いてくる。
「元々、光希先輩は私の物ですよ?」
「ここで喧嘩は辞めろって!」
何とか二人を静め、下駄箱を開けると、一通の手紙が入っていた。
「これは・・・」
差出人は書いて無かったが、表に「愛しの光希君へ」と書いてあったのでこれは完全にラブレターと言う奴だ。
「光希君、早く教室行こ?」
(もしこれを、二人に話したら・・・)
姫月は「光希君、君には彼女がいるよね?私という物が。絶対に断ってね?断らなかったら、どうなるか・・・わかるよね?」
彩羽だったら「ラブレター渡した女はどこですか?許せません、私の光希先輩に近寄る女狐は排除です」
(ばれたらまずい!とんでもなくまずい‼)
目にも止まらぬ早技でラブレターをポケットに入れ、自分のクラスへ向かった。