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光希と乙香の結婚式(ゲーム内)

 久しぶりのメビドラのやりたさにより、通常よりも勉強のペースが早くなり、光希の勉強する範囲は一瞬で片付いた。

 ちなみに光希がバリバリと頑張っている間に姫月と彩羽は既に終わっていて、光希が一番最後に終了した。

 姫月、彩羽はそれぞれ違う事をしていて本を読んだり、光希の再生リストに保存している動画をチェックしていた。

 それにしても、今までの光希の人生で自分の部屋に女の子が三人も来ている事なんて、今までにあっただろうか。

 光希は改めて今の状況に感謝し、乙香と同じくノートパソコンを開き、懐かしのメビドラを開始する。

 いつもの壮大なオープニングが過去の記憶を呼び覚ます。

 そして続きからゲームをスタートし、再びあの世界に入ろうとした瞬間、光希のログインは遮られた。


 そう、アップデートによって。


「・・・・」


 光希は静かにアップデートを開始し、隣でやっている乙香の画面を覗く。

 発売して一年ほど経つが、未だにメビドラの人気は冷めることが無くログインしている人口も減ることを知らない。


「いつもの場所で待ってるね」


「おう、すぐに行く」


 乙香の言ういつもの場所というのは、光希と乙香がいつも合流していた場所。

 フレンド同士でもフレンドのいる場所へ転移する事はできない。その為、ゲームをスタートすれば必ず訪れるとある村の広い家を合流地点にしていたのだ。

 部屋も広く使い勝手が良いのに、意外と人が来ない穴場スポットのような場所だ。

 時間が経った今でもその場所は人気がほとんど無く、その部屋には乙香一人しかいない。


「よし、終わった」


 長めのアップデートを終え、キャラクターセレクトの画面で長年愛用しているクロバという名前のキャラを選択しメビドラの世界に潜り込んだ。

 余談だが光希のキャラクター名がクロバという名前なのは理由があり、一つは光希が孤児院にいた頃、黒羽という少年と出会いその少年に憧れ、その記憶がメビドラに反映された、というのが一つの理由。

 そしてもう一つの理由が、どこから出版されているかもわからない本を拾い、その本の登場人物の名に黒羽、という名前があったから。

 というのが、光希がメビドラにクロバという名前でログインしている理由。

 

「さて、合流したけどなにする?」


 いつもはメビドラ内のチャットで会話しているのだが今は隣にいる為、チャット機能は使っていない。

 すると、乙香が光希にとある提案をした。


「今回のアップデートで結婚できるシステムが追加されたから、光希と結婚したい」


 乙香が光希に向かい、結婚したいと言った瞬間に姫月と彩羽はバッと二人のいる所に視線を移し、二人の画面を覗く。

 

「結婚?そんなのが追加されたのか?」


「私と結婚すれば私が貰う経験値が光希の方にも一部反映されるシステム」


 結婚する為には誓いの指輪というアイテムが必用でそのクエストに行くには結婚したい相手と二人で行く必要がある。

 乙香は今回、それを光希としたいようだ。


「なるほど、じゃあ行くか」


 二人はクエストを選択し、クエストの場所へ転移した。

 クエスト内容は宝竜という竜を三体討伐するというクエスト。

 難易度は全体のクエストと比べてやや高めに設定されている。

 必用なアイテムを確認し、宝竜と対峙する。


「じゃ、いつも通り頼む」


「まかせて、光希の妻になるならどんなことだってする」


 どうやらいつものプレイよりも気合いが入っているようだ。

 光希は苦笑いしながら宝竜の方へ進軍していった。

 

オトカからアタック・バーストを受け取りました


 という通知が左下に表示され、そのタイミングで光希操るクロバは両手にある剣を一気に振り下ろした。

 

「ロスト・アポカリプス!」


 光希操るクロバは両手の剣で奥義を放った。

 攻撃力アップのバフがオトカから受けている為、いつもの威力よりもかなり高くなっている。

 

 ちなみに光希操るクロバの役職はウォーリアから派生した先にあるソードマスター。

 剣を二本装備する事ができるソードマスターはメビドラ内でもかなり人気の役職で高い火力と頑丈な体力が魅力の職業。

 対してオトカの役職はウィザードから派生したリヒトウィザード。

 光希操るクロバとは違い魔法を操るオトカは派生した事により攻撃魔法に加え、味方をサポートする魔法も操るようになっている。


「よし、一体目討伐」


 少し手こずったが無事に一体目の宝竜を討伐、二人は二体目の宝竜がいるエリアまで走っていった。


「二人はこのゲームで知り合ったの?」


 さっきから光希の隣でプレイしているのを見ている姫月は画面を覗きながら光希に問う。


「乙香が宝竜のクエストに苦労している時に知り合ったんだよな」


「そう、あの時の光希はとてもかっこよかった」


 光希の隣にいる乙香は更に光希にくっつき、肩と肩が触れ合う程まで密着した。

 左右に女の子が二人いて、二人共完全に密着した状態で光希の後ろにはもう一人女の子がいて、その子の胸が光希の背中で形を崩している。

 こんなに密着した状態で真剣にクエストをクリアできる自信が無い。

 右を見ても左を見ても後ろを見ても写るのは急接近した女の子のみ。


「あの、みんな離れてくれない?集中できない・・・」


 光希はそう言うが、姫月達はまったく離れようとせず、距離は近いままだった。

 すると、光希の画面を後ろから見ていた彩羽は、すっと立ち上がりかばんを取った。


「彩羽、帰るのか?」


「いえ、そのゲーム面白そうなので私もやろうかなと」


 光希は知らなかったがどうやら彩羽はこうゆうゲームがわりと好きなようだ。

 彩羽もノートパソコンは持っているらしいので、それを取りに帰るのだろう。


「光希君がやってるから、私もやろうかな」


 彩羽が部屋から出ようとすると姫月も立ち上がり必用な物を持ち、部屋の扉を開けた。


「乙香、光希君に変な事しないでね」


「クエスト中はしたくてもできない」


 このクエスト領域のフィールドには休憩ができるゾーンなど存在しない。

 今光希と乙香が走っているこの広大なオープンワールドにいるモンスターは全て強力に設定されていて、少しでも目を離すとかなりピンチになる。


「光希君、イチャイチャしないでね」


 姫月はそう言い残し、彩羽と一緒に部屋を出ていった。



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