幼馴染みとの再会Ⅴ
数分前の例の事件があったせいで、まともに会話ができない。この数分間、二人は喋る事無く黙々と作業をしていた。
外から聞こえる公道の音と近所の人間の声が二人のいる部屋を支配していて、光希と渚の会話はゼロ。
お互い久しぶりに再会し、話したいことは山のようにあるのに、口を開けることができない。
と、渚が深呼吸し光希に話しかけようとすると、光希も渚と同タイミングで口を開く。
「「あのっ・・・!」」
幼馴染みだからなのか、見事に言葉も一致し二人はあっ、という顔をする。
さっきまでは二人共背中を向け、顔が見えない状況だったが、今は見つめあう体勢になり目があうとお互い目を逸らす。
「な、渚からでいいよ」
顔を少し赤らめながら光希は渚に先を譲る。
「その、さっきはごめん、彼女がいる人にキスしちゃったから・・・」
「い、いや、あれはハプニングだし、仕方ないって」
光希はそう言いながら渚の唇に触れた自分の唇を触り、赤面する。
そんな赤面している光希を見て、渚まで変に意識してしまう。
この後は喋る事はできたものの、やはり会話に何か隔たりがあるような会話だった。
部屋の片付けが終わり、二人でぎこちない会話をしていると、家の玄関の開く音がした。
光希の家と作りはほとんど一緒なので扉のこの音も毎日のように聞いている。
「家族か?」
「多分、お姉ちゃんが帰ってきたんじゃないかな」
「挨拶だけはしておかないとな」
下でただいま!という声が聞こえ、渚はおかえり、と帰す。どうやら二人の仲は良好のようだ。
新しい家でちゃんとやっているのか光希は少し心配だった。
と、とんとんという階段を上がる音がし、やがて渚の部屋の扉がガチャという音と共に美人な渚の義姉が入ってきた。
「やっぱりお客さんだった」
ヒョコッと部屋の向こうから顔を覗かせた渚の義姉はにっこりとした笑顔で光希に挨拶する。
黒く長い髪を後ろで結んだポニーテールがふりふりと揺れている。服越しからでもわかるこれ以上無いくらいのスタイル。
女性の武器ともいえるこの胸は凶器とも言えるレベルだ、そしてその下はキュッと締まっている。
二人は義理の姉妹の為、似ている部分は無いが姉妹揃って美人なのは言うまでも無い。
「こんにちは、渚の姉の千鶴、よろしくね」
「如月光希です」
光希が自己紹介をすると、千鶴の顔はニヤニヤとした表情になり、渚の方を見た。
「良かったね渚、やっと愛しの光希君に会えて」
千鶴がそういうと渚は顔を赤らめ、ポカポカと千鶴の体を叩く。渚とキスしてからの愛しの光希なんて言われると赤面できないわけが無い。
ちなみに千鶴は光希の事を見ながらニヤニヤと笑っている。
「光希君も手伝ってくれたんだよね?それのお返しとして今日、うちでご飯食べていかない?」
「え?いいんですか?」
ダンボールの中身を出して、それを特定の場所に置いただけで力仕事も特にしていない。
それでも千鶴はニコニコとした表情で晩ご飯に誘った。
「渚のだん・・モゴゴゴ・・・」
おそらく千鶴は旦那と言いたかったのだろう、だが渚の羞恥心は限界を超え、千鶴の口を塞いだ。そして何を言いたかったか全く分からない光希はずっと?マークが飛び交っている。
「その、光希君が嫌じゃなければでいいんだよ?少なくとも私は感謝してるから大歓迎だよ」
渚の言葉に光希は、お言葉に甘えてと返し、光希は望月家で夕食を済ませることになった。
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光希の手伝うことが無くなり、渚と光希は部屋で渚の中学時代の卒業アルバムを見ていた。
まだダンボールはあったのだが、その中身が渚と千鶴の服や下着などだったのでそれはできなかった。
そんな訳で今二人は卒業アルバムをペラペラと見ている。
「やっぱ、あの頃のままだな」
光希は卒業アルバムに写っている渚を見ながら呟いた。年齢は重ねても小さかった頃の渚の面影はやはりある。
小さかった頃から渚は可愛かったがそれがより美しく開花したのは中学に上がってからだと光希は予想した。
「それ、褒めてんの?」
渚のジト目で見られながらも光希は言葉を続けた。
「褒めてんの、相変わらずの可愛さだなって」
光希はできるだけ可愛いという言葉などは封印していたのだが、その封印も渚の前では砕け散り、素直に光希の気持ちをあらわにした。
瞬間、渚の顔はカッと赤くなりバカ、と小さな声で抵抗するように呟いた。




