追憶の夜Ⅲ
ちょっと書き方変えました。マジで馴れねぇ
(高校も光希君と一緒だ!)
姫月は胸の中で叫び、横にいる光希に目を向けた。
「高校、楽しみだな」
「うん、楽しみ、凄く」
高校の3年間ずっと光希と一緒に居れると思うと合格発表を待っていた時の気持ちが嘘のようだった。
「光希君ってさ、その、好きな人とか居るの?」
「好きな人?うーん、今は居ないな」
ドキドキとした感情が少し治まり、ホッと一息つく。
(ホッとしたけどなんか複雑な感じだな)
好きな人は居ない、つまり姫月のことも好きという感情ではないということを理解すると少し胸が痛くなる。
「でも、光希君は気づいてないと思うけど、光希君って結構人気なんだよ?」
「え、嘘⁉」
光希が歩みを止め、UMAを見たような表情になり、言葉を続けた。
「別に俺はイケメンでもないし、成績もせいぜい中の上だぞ?そんな俺がモテるなんて」
「それでも光希君は優しいし、面倒見が良いから後輩の女の子はその優しさに好意を抱くんだよ」
「そうなのかなぁ」
光希君は鈍感だからねと言い、歩みを進めた。
(君が鈍感だから、私は気持ちを伝えないと、私の気持ちは気づいてくれない・・・ホントにずるいよ、光希君)
「じゃあ、俺はこっちだから」
そう言い、光希は人ゴミの多い商店街の方角へ消えていった。
「やっぱり、この気持ち今の内に伝える方がいいよね」
手を胸に当て、空を見上げた。
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「ふぅ、これぐらいあればいいだろ」
両手にビニール袋をぶら下げ、家に帰ると、家の前に一人の少女が立っていた。
「ん?あれは・・・」
風になびくショートカットの茶髪が美しい美少女の正体は彩羽だった。
「光希先輩、合格おめでとうございます!」
「彩羽ありがとな、まさか後輩である彩羽に勉強を教えてもらうとは」
彩羽の成績はどれも完璧としか言えない。
彩羽はまだ2年生なのに3年の勉強もばっちりである。
その為、後輩の彩羽に光希の苦手な教科を教えて貰っていた。
「それにしても、何でここに?」
「やることが終わったので、光希先輩と合いたいなーって」
はたから見れば恋人のような会話をしているが光希と彩羽はただの先輩後輩だ、と光希は思っていたが、彩羽の方は違う。
「光希先輩、私も来年、白方に行きますから!」
「え?そうなの?」
「はい、それともう一つ、私が高校に入ったら、言いたい事があるのでその時は聞いてくださいね?」
笑顔で言う彩羽は後ろの夕日のせいか頬が朱の色に染まっていた。
その時の彩羽の笑顔は凶器となり、光希の胸にチクッと刺さった。
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それからしばらく経ち、卒業式当日。
さすがに卒業式の日には光希の父、蓮も海外から一時帰宅、妹の帆楓と母、優里も残念ながら帰ることは出来なかった。
その後、クソ長い卒業式が終わり、運動場では光希になついていた後輩が光希の周りを囲んでいた。
その中にはもちろん彩羽の影も。
「ありがとな、みんな」
光希を囲んでる後輩の中には泣いている生徒もいた。
「おいおい、泣くなって、また顔出すからさ」
「光希先輩、来年もよろしくお願いしますね?」
よく見たら彩羽も少し泣いた後があった。
おそらく泣き顔が見せられないと思い、なんとか誤魔化しているのだろう。
それに気づいた光希は彩羽以外誰も居なくなった所でポンポンと彩羽の頭を撫でると、彩羽の目からまた涙が零れる。
「光希先輩のバカ、耐えてたのに、耐えてたのにそんなことされたら・・・」
彩羽は光希に抱き付き気が済むまで思いっきり泣いた。




