メイド姉妹と瀝青炭
一ヶ月後、私は第三執務室に居た。
つい先日ペテログラード講和条約が要求通りに締結されたからやっと一息つける。
...そう思っていた時期が私にもありました。
「お嬢さまぁ~!はい、追加の書類ですぅ~!」
あの、まだあるの?え?こんなに私書類貯めていたかしら?
...怖いけど、聞きましょうか。
「あとどのくらいあるの?」
「えっと~、このくらいですぅ!」
ちょっと待ってね?確かこの子の身長は1.4ミルぐらいだったはず。
それで胸辺りに手を置いているって言うことは。
「...つまり、1.2ミルまだ残っている、ということ?」
「はいですぅ!」
...可愛い顔して残酷なこと言うのね、この子は。
まぁ、死んだわね。主に私の手が物理的に。
「こら!なぜお嬢様に嘘を言ってるの!」
「ひうっ?!」
あ、私の後ろに隠れた。
って…
「嘘なのね?良かったぁ」
「実際にはあと0.5ミルです。ご安心ください、お嬢様」
...それでも50cmはあるのね?
「はぁ...今すぐ出てきなさい、フィリア」
「いやですぅ!」
私の後ろに隠れているのはフィリア。
マーリン改めアナスタシアの妹。
「フィリア?」
「なんですか?お嬢さまぁ」
...ごめん。
私はフィリアを抱きしめた。
「ふわぁ...」
「え、お嬢様?!」
あ、可愛い。この「ふわぁ...」っていうこの安心して、顔を緩めたフィリアちゃん可愛い。
...でも、ごめん。
「捕まえた」
「...ふぇ?」
「あ、そういう事でしたか」
アナスタシアは理解したようね。
「え?...え?」
「はい、アナスタシア」
私は抱き上げて、アナスタシアに渡した。
「有難うございます、お嬢様」
...アナスタシアの笑顔も可愛いわね。
「...裏切ったですぅ?!」
「お嬢様に対して嘘は付いてはいけないって言ったでしょ?」
アナスタシアのニッコリ笑顔。...何故かしら、恐怖を覚えるのだけど...
「...申し訳ありません、お嬢様。ちゃんと叱りますからどうかお許しを...」
「大丈夫よ。うん、私は大丈夫」
私は、暗示するかのように自分に語りかけていた。
「そうですか...でも、」
「でも?」
「無理はあまりしないようにお願いしますね」
...あぁ、やっぱりアナスタシアは天使ね。
「では」
「うん」
......まさにドナドナね。まぁ、本当に自業自得よね。
コンコン!
「良いわよ」
「失礼します」
この声は...
「あら、カメーネフ。どうしたの?」
私の執事(?)のカメーネフ、ね。
「鉱業参議会から参加願いが来ています」
「...今すぐ、かしら?」
「はい」
「...分かったわ。今すぐ行きましょう」
...ごめんなさい、書類達。
私は、フィリアから与えられた書類を放置して、鉱業参議会の会議室へ向かう事にした。
―――――
鉱業参議会会議室
「お疲れ様です」
「よくお越しくださいました。こちらが、我々がお見せしたかったものです」
お見せしたかったもの...?
取り敢えず、私はそれを見ることにした。
「っ...これは...」
私は、思わず叫びそうになった。
...目の前には、“黒いダイヤモンド”が鎮座していたから。
「あの...どうですか?もしかして駄目だったのでは...」
「う、ううん。最高よ、この石炭は」
「と、言うと...」
「...“黒いダイヤモンド”の異名を持つ、瀝青炭よ。...懐かしいわね」
一度蒸気機関車に乗った時、瀝青炭を見せてもらったのよね。
本当に、懐かしいわ。
「ところで、これは何処で採れたの?」
「はい、これはロストフで採れました」
「...そう」
私はつい、笑顔になった。
これで、コークスも作れるし、鉄鋼用の燃料にも出来る。一応蒸気機関車の燃料にも出来る。
あぁ...夢が、出来る範囲が広がるわね。
「...それで、何故黒いダイヤモンド、と呼ばれているのですか?この瀝青炭、は」
「ただただ万能だからよ。これで製鉄が出来るし、大きな発熱量を出す事が出来る、そんな夢の石炭だから」
...正確には、元の世界で一番高値で取引されていた石炭の種類だからだけど。
「成程...」
「...ありがとう。これを工業参議会に知らせに行くわ。一日に何のくらい生産できるか調査して、紙に纏めて提出して頂戴」
「分かりました」
「さ、カメーネフ。次は工業参議会会議室へ向かうわ、付いてきて頂戴」
「分かりました、お嬢様」
...投稿中断が長引きすぎて、ごめんなさい。作者の信濃よ。
取り敢えず原稿用紙にまだ原本があるから、時間があれば来週中には投稿出来るわ。
...また、よろしくね?




