出発四日前 ~公爵令嬢、家族の許可を得る~
翌日...
俺は本をまた朝から読んでいた...
「お、お嬢様?」
...今集中して本を読んでいるから声を掛けないで頂きたいのだが...
え?マーリンは一応メイド教育されてるよ。
元メイドだったから明日には戻って来るらしいけど...はぁ...
「何?エリー」
私は不機嫌そうな雰囲気が出るのを押さえながら言った。
って、だから一人称は俺だから...女じゃないだからさ...
「ルーシ=リューリク帝国に本当に行かれるのですか?」
「ええ、そうだけど...」
「お止めください。あんな野蛮な国へ行くのは...」
俺はつい、顔をしかめてしまった。
...確かにルーシ=リューリク帝国の宗教は現代で言うプロテスタントの様な分派だったから本家から見れば異端であるのは分かるがそこまで言う必要があるか...
そう思っていたら、エリーの後ろから声と足音が聞こえてきた。
「そこまで言う必要は無いわ。口が過ぎるわ、一介のメイドの身で」
「っ...!メ、メイド長様...」
「何してるの?早く立ち去りなさい。メイド長命令です」
「っ...分かりました」
確か彼女はメイド長のメアリーだったか...流石何年も勤めているから貫禄があるというか...もう格好良いのレベルだな。
「あの者にはキツく言っておきます。申し訳ありません、シャイデル様」
「大丈夫よ」
「ただ我々メイド及び執事達はあくまでお嬢様を失礼ではありますが心配しているのです、そこは御理解下さい...」
「大丈夫よ、それくらいは理解しているわ...」
何だかんだで長女だしな...
「お嬢様...」
コンコン!
「シャルン?俺だ、ジョンだ」
...少し息切れしてるか?
「どうぞ」
扉が開いた...
「シャルン!」
部屋に入ってきたジョン兄さんが私に飛び付いてk...?!ちょ、何で飛び付く?!
「行っちゃ駄目だ!」
それは俺の頭を撫でながら言うセリフ?!
勿論案の定...
「ジョン様、幾らシャイデル様の兄とはいえこれはやり過ぎです」
よし!良く言った、メアリー!貴女にはシャイデル勲章をあげるわ!
「...幾らメイド長と言えども許されない事もあるのでは...?」
ひっ...刃向かった?!何て人だ。(注意 シャルンの兄です。)
「し、しかし...シャイデル様が困っているように思いましたので」
「そんな訳無いだろ?シャルンに迷惑とは」
「迷惑です、ジョン兄さん」
「うぐっ...」
「ですがまぁ...許します」
「シャルン...」
「ですが離れてください」
「え、ええ...?」
流石に邪魔だよ。
「年頃の女の子にも同じ事する気ですか?ジョン兄さん」
「いや、これはお前だからだ」
シスコンだな...
「...取り敢えず離れてください」
「離れなかったら?」
「嫌いになります」
「はっはっは。お前がそんな事する訳」
「...」
ジト目で見てやる...
「や、やめろ。そんな目で兄さんを見ないでくれ、お願いだから!」
「...」
「わ、分かった!離れる、離れるから!」
...はぁ...やっと離れた...って、今身嗜みを整えるか...
「...取り敢えず理由を教えてください、兄さん」
「確かに皇族になれるさ。でも最近帝国が成功した事あるかい?だから行っちゃ駄目だ」
「で、本当の理由は?」
「え?」
「教えてください」
「妹が大事だから」
「帰ってください」
「なっ...」
「...お兄さんは分からないでしょうね...婚約破棄された悲しみを」
「シャルン...」
「私はもうルーシ=リューリク帝国人になる事を覚悟しているのです、申し訳ありませんがお下がりください...」
「だが...」
「良いのだ、ジョン...」
こ、この声はまさか?!お父さん?!
「お父さん」
「...シャイデル」
「...何でしょうか、お父様」
「お前の好きなようにしなさい」
「お父様...」
「その代わり我が公爵家より厳しいぞ?」
「覚悟しております...」
「そうか...分かった、こっちの後片付けが終わったらそっちに行くよ」
?!...このお父さんの目はまさか...この国を棄てる、という事なのか?
「...分かりました、こちらも遠慮なく来れますようにして、お待ちしております」
「ああ」
お父さんが目を見て頷いた...まさか本当に...
「...シャイデル」
「何でしょうか、お父様」
「成長したな」
「...はい、有難うございます」
「シャイデル」
え?お母さんも?
「頑張りなさい」
「...はい、お母様」
「それじゃあこの話は終わりだ。さ、夕食を食べよう」
「ええ」
「分かりました」
この後夕食を食べて、お開きになった。
え?夕食?普通に美味しかったよ?
今回は如何だったかしら?
あ、因みにありがたい事にブックマーク件数が5件も来てて驚いてるわ。
本当にありがとうね。
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それじゃあ次話まで。