続・聖剣、はじめました
前に書いた短編の続きのお話です。前の話を読まないと、意味が分からないかもしれません。
「遂に……ここまで来た」
「いきますよ!」
今僕たちは、対魔王戦の為の準備を終え、魔王城の門の前に来ました。
門を開けると、そこには……
「ふーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ふーーーーっはっはっはっはっはっはっはっ「笑い過ぎ。ウザイ。やめろザコ」……」
「いいから早く、奥へ行かせろ」
「ふっふっふ……そうはいかない。わたしは魔王様の第一の部下、アキュレ「うるさい」……」
「所詮中ボスのくせに、話がなっっっがいんだよ。そうやって粋がってる奴ほどザコい奴はいないんだよ。分かったら、さっさとそこを退け」
「……ねぇ、何なの君!? 何でぼくの精神を抉ろうとするの!?」
「あたしは真実を言ったまでだ」
「う、うわああああああああああああああああああああああん!!!」
あちゃあ、中ボスさん、ノエルさんに精神攻撃でメッタメタにされちゃった。部屋の隅っこで、膝を抱えてうずくまって泣いちゃってる。
「……やっぱり、ノエルさんの精神攻撃に敵う者はいませんね」
「そんなことないぞ。あんなザコ、本気を出すまでも無い」
「何でそんなこと言うの!?ぼくまぁまぁ強いはずだよ!」
「黙れ。いい大人が、ギャーギャーうっさいんだよ。その顔とその体格をして一人称がぼくとかキモいんだよハゲ」
「う、うわぁあああああああああああああああああああああああああああああん!!!」
ちょっと中ボスさんが可哀想になってきました。
「……うるさい」
「まぁまぁ、所詮ザコの遠吠えですから。ほっといて先行きましょう」
「そうだな」
……あれ? 泣き声がしなくなった。
「―――ここですかね、魔王の間」
「どう考えてもそうだろう」
目の前にある門は、禍々しいオーラがこれでもかというほど溢れ出ている。飾りとしてなのか、ガイコツとか飾ってありますし。
呆然としていると、中から扉が開いた。
「……あ、いらっしゃいませー。こちら、魔王の間でございまーす。どうぞどうぞー」
「……あ、……どうも……?」
中からメイド服を着た女の子が出てきました。緑色の髪の毛をした、ロリッ娘です。迷いながらも、僕たちは部屋の中に入ったんですが……
「「よーこそ、魔王城へ!!」」
歓迎されました。
「いやー、魔王城に客なんて、何年振りかな」
「1000と257年振りですね。あ、どうぞどうぞ、お座り下さい!」
「……あ、……どうも……?」
ノエルさん、同じ反応してますよ。
「君も座ったら?」
「いえ、僕は聖剣なので。遠慮させていただきます」
「そっかー」
残念そうなメイドさん。
「あ、わたしはルミカです。で、こちらが1772代魔王、ファル様です」
「どうぞよろしくー」
「は、はぁ……」
「よろしくー」
いやぁ、良い人そうで良かったー。
「ところで、何で君たちはここに来たんだい?」
「え?……っと、魔王倒してこいつとの契約を解くために……」
ノエルさんが僕を指さしていう。
「あ、そうなんだー。じゃあ、闘う? 手加減しないけど」
魔王さんが不敵に笑う。
「……遠慮しときます」
「そっかー。残念」
「まったまたー、ほんとは安心したくせにー」
? どういうことでしょう?
「この人魔法使えないんですよー」
「そなの。だから闘わなく済んで良かったよー」
あははははーと二人は笑った。となると、僕たちの契約を解くことは……
「無理だね!」
「残念!」
……ここまで来るの大変だったのに……。まぁ、まだノエルさんと一緒に居られるのは嬉しいですけど。
「でも、お願い事聞いてくれたら、契約解く方法を教えましょー」
ルミカさんが人差し指を立てて言った。
「……お願い事?」
「はい!」
「実は今、後継ぎがいなくて困ってたんだー。だから……」
「「君たちが、次代の魔王になってください!」」
「「え、えええええええええええ!?」」
魔王城に、驚きの声が響きました。
「あたしが魔王!? 無理、ムリ、絶対むり!」
「だいじょーぶ! 最初のうちはわたしたちも補佐しますからー」
そんな訳で、ノエルさんは1773代魔王になりました。
「あの……僕、聖剣なんですけど、魔王と一緒に居て良いんですか?」
「別にいいんじゃね?」
軽ッ
「だって勇者が魔王になるパターン、最近多いじゃん?」
「だから聖剣持ってても大丈夫ですよ」
そうなのか……? ならいいんですが。
「ちょっとリルハ、仕事手伝ってよ!」
「あ、はい、すいません!」
ノエルさんが魔王になって今年で100年。まだ契約は解けてません。
魔王の部下は、ノエルさんに引き渡されました。魔王の第一の部下(本名アキュレイ)は、永遠にこき使われたとか。