表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

優季の太陽のような意思

 その日は昼まで、いわゆる半ドン……ギリギリゆとり世代の姉に教わったのだが、今までに数えるほどしか使ったことがないし、片手の指で十分足りるほどにしか相手に通じたことがない……だったのだが、ホームルーム終了直後、男女入り交じった集団に囲まれていた。

 遠巻きに囲む集団と目の前に立ちはだかる金田馬場笹原の3人、KBSトリオの構図だった。

「まずあのさぁ……KBSトリオ……君たち、邪魔だよ……邪魔なんだけど」

「「「邪魔! 上等! 上々!」」」

「韻を踏むな! カエレッ!」

 ついとっさに声が裏返ってしまった。

「可愛いわねぇ……お姉さんのお家に来ない?」

「生徒に紛れててもバレバレなので、職員室に戻ってくれませんか?」

 僕の言葉を発端に、口々に同じような言葉を言われ、先生はトボトボと教室を出ていった。

 男子の4割から、「可哀想だけどこれから生きたまま食べられるのよね」というような目……言い替えれば、踊り食いする直前の魚を見るような目で見られた気がした。というかKBSトリオのS君の目がまさしくそんな目だった。

「まず榛名君、君と妙義君はどういう関係かな?」

「金本!」「馬場!」「笹原!」「「「三人揃ってKBSトリオ!」」」

『KBSトリオ黙ってろ!』

 いい加減くどかったし、仕方がないね。


「成る程、つまり君と妙義君は何も関係はないのね。しかし偶然にも名前はちょっとした関係があると……」

 The委員長といった風貌の眼鏡少女、小浜さんが皆を落ち着かせ、話をまとめた。

「名前に関してはちょっと分からないけど、多分今日が初対面だと」

「酷い! 榛名君のバカ! ウカツ!」

「は!? お前、なにいって……?」

「あの日、桜が舞い散るあの日、僕らは約束したじゃないか!」

「えっ?」

 はっきりいって、身に覚えがない事だ。桜が舞い散るあの日とはいつの春の事を指しているのだ?

「ほ、ほら、先月の合格発表の日に、僕ら約束したでしょ?」

「…………、……思い……出した……」

 忌まわしい……ああ、忌まわしい……忌まわしい……あのときはなんとも思わなかったけど、今思い返せば本当に忌まわしい……

 説明しよう。あれは今から約2週間前……


「ということがあってね。合格発表の日に僕は彼と約束したんだよ、同じクラスだったら仲良くしようねって」

 そう言って「カモン!」と言わんばかりに両腕を広げた優季君に対して……

「残念ながら女装男子はNG」

 両手の手のひらを向けてNOと言った。

「そ、ソンナー、悠希君だって女装したくなることが」

「ないです」

「ない?」

「な! い! で! す!」

 遠巻きに見守るクラスメートの目の前で、一字一字強調して意思表明をした。

 こうでもしなければ、いずれ僕に女装をさせようとする奴が出てくるだろうし。

「悠希君、女装男子はダメなんだ……それじゃあボクは……」

「……ん?」

 今の声は……?

「分かったよ、榛名君……ここは間をとって、KBSトリオが自作のホモビを撮るということで」

「間ってどこだ。なんでそこでKBSトリオが」

 直後、廊下から顔を見せたKBSトリオが叫んだ。

「蹴る!」「ぶっ飛ばす!」「シメる!」

「「「絶対お前元ネタわかっていってるんだろうな!?」」」

「ホモビでしょ? 《元プロ野球選手》のT○N(タ○ノ)選手が出演してた《ゲイポルノ》のシリーズで……あっ、ふーん」(目逸らし)

「「「フォローしてくれよ!」」」

「俺たちニックネームの由来聞いた時かなりへこんだんだからな!?」by金田

「せめてネット界隈でネタとして人気とか!」by馬場

「フォローの仕方なら色々あるだルルォ!?」by笹原

「3人はどういう関係かな?」

「レフト!」「ライト!」「センター」

「「「三人揃って外野三銃士!」」」

「外野三銃士?!」

「やっぱりホモなんじゃない……」(ドン引き)

 自己紹介の際、ポロリと腐女子であることを公言してしまった女の子でさえ、冤罪だと思っていた3人にはドン引きしていた。普通にドン引きしていた。

 知り合い曰く脳内でのBL、現実でのホモという分け方らしい。そんな事を宣った彼女には早いところ新しい出会いを見つけてもらいたいものだ。無責任ながら、新たなBL妄想の犠牲者を。

「とりあえず、ひとまず解散。金田馬場笹原の3人は野球部見学に行きなさい。それ以外は部活見学なり帰宅するなりということで。間違っても制服のままゲームセンター等には寄らないこと。ましてや……」

「ラブホテルやヤクザの事務所なんてもっての他です。かな?」

「……明らかにおかしいですが概要は合っています。正式に高校生になったからといって羽目を外し過ぎないようにしてください。もしも万が一事件が起きてしまったら…………分かっていますね? ……呪いの眼鏡を1つプレゼントしてあげます。遠慮はいりません、コンタクトレンズなど要らなくなります。予備眼鏡もいりません。スポーツされる方も心配はご無用、呪われた装備ですのでお風呂と寝るとき以外は外れますから」

 笑顔で5本の眼鏡を取りだし、念を押した。

「割りばし出さなきゃ」(小声)

 とりあえず優季君は静かにしていようか。話がややこしくなりかねないし。

「あのー小浜さん、俺探偵体質なんですけどー日常的に事件に巻き込まれるので流石に……」

 猿飛君……猿飛 氏家君が推理小説に栞を挟んで立ち上がり、手を上げなら言った。

「呪いの眼鏡は真実を見つける手助けをしてくれます。とりあえず眼鏡をどうぞ」

「眼鏡押し付けんな!」

 哀れ、差し出された眼鏡を突き返した探偵君は眼鏡を装備させられてしまった……というより、いつのまにか装備させられてしまっていた。

「……え?」

「……眼鏡を返されたら装備させる。小浜流真拳の流儀です」

「ふざけるな邪流派め! 普段はかけていない子が眼鏡をかけるのがいいんだろうが!」

 と、これは眼鏡男子にして『I love grass ! Fack contact lens!』と書かれた鉢巻きを締めている福井君の言葉。

 ……そろそろ言わせてもらおう。

「ひとついいか? ……このクラス、変な奴多くね?」

 その呟きに、みんな口々に同意し、半数以上が優季君を見た。

「そうだね……って、なんで僕を見てるの? いいじゃん変人。僕は好きだよ、退屈しなくて楽しいし。人生楽しまなきゃ損だよ」

「失礼、その言葉は聞き捨てならないかな」

 優季君の変人大好き発言に対して異議を唱えたのは、窓際後方の一番地味なポジションに地味に座っている、地味に地味であるという自虐ネタを地味に披露した地味な名前の佐藤君だ。

「ぼくは何事もない、辺鄙な日常が一番なんだよ。色恋沙汰なんて面倒なだけだし、友達付き合いも最低限あればいいと思っているんだ。だから……君の楽しまなきゃ損だという主張は間違ってはいないとはいえ必ずしもそうとは言えないのではないかな」

「……それじゃあ、キミも一緒に楽しもっか」

 そう言って優季君は佐藤君の手を掴み……

「それじゃあ、野球部に行ったKBSトリオ抜きにして、皆でカラオケに行こっか!」

「はぁ……」

「カラオケはいいのですが……伝説の歌(例のアレ)を歌ってしまっても構わないのでしょう?」

「羽目を外したらもれなく1眼鏡ポイントですよ?」

「眼鏡進呈(拒否権無し)なのにポイント制!?」

「俺明鏡止水(クリアマインド)歌うわ!お前歌の終わりと共にバイク事故起こす役な」

「ふざけんな! 俺大丈夫かってかけよる役やるからな!」

「……これは……事件の匂い……!」

 もうやだこのクラス……ワケわかんない……


 この後、カラオケ直行の後に紆余曲折の末、モヒカン聖帝ジャケットの佐藤君と優季君が隣の市で警察沙汰になりかけたが、なんとか厳重注意で済んだらしい。

 いつの間にかアドレスを登録されていた優季君からのメールで知った。

 なお、探偵の猿飛君はカラオケからの帰り道、すんでのところで事件を未然に防いだらしい。

 ……一介の高校生が日常で解決してはいけない程の規模の事件だったという噂だが、真相は定かではない。


 佐藤&妙義コンビが弾けていたのとほぼ同刻……黒塗りのベンツを運転していたメイドが後部座席の女子の僅かな表情の変化に気づき、にこりと笑って声をかけた

「ご機嫌そうでなにやりであります、鮎香お嬢様」

「……あら、そんなに笑っていましたの?」

「僅かに笑っていましたけれど……8年もお嬢様のメイドをやっていれば気付きますよ。あの子達にご飯をあげるとき程に笑っていましたから」

「え……そこまで笑顔でしたの?」

 急いで鞄から手鏡を取り出し、自分の表情を確認し……そこで自分が思っていた以上に笑っていたことを知った。

「えっと……これは……その……思い出し笑いですの!」

「言い訳で傷を深くするとは、流石ですお嬢様」

 ニヤリと笑い、おちょくるように言った。

「それで、お嬢様……どのような殿方に惚れたのですか?」

「女の子のような見た目ながらとても男らしい殿方……って何を言わせますの梶谷(かじかや)!」

「このような誘導尋問に引っ掛かるとは、流石ですお嬢様」

「かーじーかーやー!」

 信号待ちの最中に戯れる二人はまるで本物の姉妹のようだった。

「ところで、お嬢様……いつもの、邪魔者を飛ばす手段を応用した一手、『鮎掛の計』をつかいますか?」

「そうね……今日一日、アユカケのようにひっそりと観察してわかったのですけれど……あの人、おそらく誘惑すればポンと落ちてくれますわ。あとは……ウフフ」

 大層な名前ではあるが、要はただの誘い攻めである。

「さあ、待っていて下さいまし……わたくしが玉の輿にのせて差し上げますのよ……榛名さん」

 冬の清流のような冷たく綺麗な声で呟いた。

アユカケ……カジカ科の魚で、浮き袋が実質的に存在せず、水底に沈んで居る。生息域は主に川の上流付近で、捕食の際はあまり動かずに油断した魚が近づいてきたところを丸飲みにする。

なまえこそ鮎を掛けるとなっているが、実際に掛けるのかどうかは不明だそうな。


うろ覚えな記憶で解説しましたが、下手なのでぶっちゃけ調べて頂いたほうがはやいですね本当に、ありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ