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遭遇、巨大トカゲ。

思いつきと勢いで書きあげました。

拙い文章でありますが、一時の楽しみとなれば幸いです。

我輩は猫、魔王様である。



我輩は猫である。

ただ、ちょっと可愛くて、ちょっと賢いだけの普通の猫である。

別に自画自賛というわけでない。

町へ行けば、いつだって可愛いと我輩を称える声がする。

ちょっと愛想を振りまけば、その日の糧に困ることはない。

賢さについては、まぁそのうち披露できることもあろう。


それはともかく、今は我輩の状況について考えたい。

我輩は今、見知らぬ森の中を歩いている。

つい数刻前までは、いつもの散歩コースであったはずなのだが、いつの間にやら森の中である。

我輩自慢のヒゲが持ち上がっているのを感じる。絶賛警戒中である。

なんとなくではあるが、元の散歩コースには戻れない気がする。

ただの直感であるが、こういう非常事態には、なかなか侮れないもの。

そういう訳で、今は寝床になりそうなポイントを探し中なのである。


直感に従って歩いていると、前方になにやら大きな生き物がいるのが見える。

好奇心を抑えられず、近寄りじっくりと観察をする。

近くで見るとますます巨大な生き物であった。

我輩の知るもので言えば…あれである、トカゲである。

コウモリのような翼やら凶悪そうな爪やらが余計に付いているが、これは大きいトカゲである。

大きなトカゲがとぐろを巻くように眠っている。完全に無警戒である。

じゅるり、なんとも食いでがありそうである。


さて、寝床を探す途中、幸運なことに食料になりそうな生き物を発見した。

試しに一口いただこうとしたのだが硬い。

成る程、余裕で寝ていられる訳である。

ならば次にすることは、いかにして食べるか。

ヒトは工夫することで硬い食物を己の糧とし、今日まで生きながらえてきたのである。

我輩もそれに習い、工夫してみることにした。


まずは基本的なことから。

その一、砕く。まぁ無理だったのである。我輩自慢のパンチ力でも傷一つできなかったのである。

その二、焼く。そもそも火種が用意できなかったのである。

その三、溶かす。空腹を感じてとりあえず舐めてみたのである。とくに味はしなかった。

その四、食べられそうな部分を探す。注目したのはコウモリのような翼。薄く膜の張った部分。

トカゲの背中をよじ登り、翼の傍まで近寄る。そして食べる。さっきから空腹なのである。

なんというか…美味しくないのである。まぁでも弾力があって食べ応えはある。


空腹を満たすため、不味い食事を続けていると、突然足元が震えだした。

地震かと思い、爪を立ててトカゲにしがみつく。


「なんだお前は。俺の背中で何をしている」


なんとこのトカゲ、喋ったのである。

喋るトカゲには驚きであるが、所詮はトカゲ。敵ではないのである。

そう考えた瞬間に、我輩自慢のヒゲがピリッとした。

反射的にトカゲの背中から飛び降りる。危険が危ないのである。

さっと見上げると、先ほどまで我輩がいた場所は炎に包まれていた。

おぉ、このトカゲ、火を噴けるらしい。思わぬ所で火種をゲットできそうな予感である。

しかし、トカゲ自身は火に強いらしく、なんともない様子。残念トカゲの丸焼き。


「おのれ、すばしっこいやつめ」


我輩が逃げたことに気づいたトカゲ。今度は踏み潰そうと足を振り上げる。

ふふ、甘いのである。我輩のフットワークは非常に軽いのである。

ズンと地面が震えるが、既にその場所に我輩はいない。隙有りっ、自慢のパンチを食らうのである。

ひょい、てし。ひょい、てし。

トカゲは足や尻尾を振り回したり、たまに火を噴いて我輩を狙うが、ふふん、当たらないのである。


「うぬぬ、ちょこまかと煩わしい」


なんだか我輩、楽しくなってきたのである。

ひょい、てし。ひょい、てし。

うーむ、動いているとまたお腹が減ってきたのである。そろそろ仕留めたいところ。

このトカゲ、意外にタフなようで、我輩の必殺パンチが効いていない様なのだ。

これは持久戦になりそうである。


「おのれ、この、逃げるな、くそ、なぜ当たらない」


ふふん、そろそろトカゲも息切れしてきた様子。

あれだけの巨体、動かすのにも相当のエネルギーが必要なはず。

その一方で我輩の体は小さく、消費するエネルギーも小さい。

持久戦になれば、我輩の勝利は固いのである。

実のところ、エネルギーの貯蔵量も体の大きさに比例するため大して変わらないのであるが。

そういう訳で、我輩は腹が減ったのである。

どうにかしてとどめを刺したいのであるが、はて、どうしたものか。


「ぐむむ、お前、何を考えている。俺相手に勝てるとでもいうのか」


じゅるる、腹が減ったのである。じゅるる、腹が減ったのである。


「うっ…なんという目をしているのだ。俺ともあろう者が、小物ごときに少しでも恐れを感じるとは」


じゅるる、もう我慢できんのである。

トカゲに飛び掛かり、背中を軽快によじ登る我輩。

翼の傍まで近寄ってぱくり。美味しくないのである。


「あーー、お前!何してくれちゃってんの!?」


トカゲは火を噴くのも忘れて、なにやら喚いている。

騒がしいが、今は食べることに集中するのである。ぱくり、美味しくないのである。


「ぎゃーー、お前、なに食ってんだ!飛べなくなるだろ!」


どしどしとトカゲが暴れるせいで、背中が揺れる、揺れる。

でも、我輩は、食べるのを、止めないっ!


「分かった、俺の負けでいいから!負けました!食べないで!」


ふふん、我輩の勝利である。やはり所詮はトカゲ、敵ではないのである。

それでは遠慮なくいただくのである。ぱくり、美味しくないのである。


「何なのこいつ!負けたって言ってるじゃん!なんでまた食ってんの!」


ぱくり、美味しくないのである。


猫…

普通の猫さん。

怖いもの知らずで、未知のものにも躊躇なく向かっていく。

食事と睡眠をこよなく愛す。

運気に恵まれ、直感に優れている。


トカゲ…

皆さんお察しの通り、ドラゴン。

ドラゴンの中でも弱い部類に入るが、それでも本来は猫より遙かに強い。

猫の生まれた世界にはドラゴンがいなかったので、それに近い姿からトカゲと呼ばれている。

寝起きであったことと、猫の突飛な行動に混乱したのが敗北の要因。

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