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出会い



はじめまして、オーブと言います。今年の誕生日で十八になるので、まだ十七歳ですね。どうも神様っぽい人によると、自分が住んでいた所とは全く違う所にきたようです。

困ってるか、と聞かれたら、全く困っておりません。むしろ、その、助かっています。


「………逃げちゃ駄目なんだろうけどな」


家では夜着をきていましたが、気に入っている赤いコートを着ているし、かなりカジュアルな格好で此方に送り届けてもらえたみたいです。夜着のまま送り出されていたら、かなり悲惨なことになっていたでしょう。

それに、神様っぽい人と交渉してこの場所の通貨をたっぷり用意して貰いました。まあ、それが目の前にある皮袋な訳ですが。

辺りは草原地帯で、近くに街が見えるので、そこでここが何処なのか聞いて見ることにしましょうか、それとも………


青年の目は鈍い光を持ち、皮袋を縛ってある細長い縄を握った。


「イスカー、イスカー、いるなら出て来なさぁい。って転移してるかぁ、もう」


肩あたりまでで切りそろえられている美しいブロンドを靡かせ、深い海のような瞳を持つ女性がゆっくりとオーブに近づいて来た。


「あらぁ、どなたかしらぁ。あなた、イスカーの部下か何かぁ?」


「す、すまない。その『イスカー』という御仁は聞いたことがない。」


ああっ、なんで第一声が吃るんだよ!それにしても、金髪碧眼なんて珍しいですね。自分が住んでいた所とは別の所だそうなので、こちらの方では珍しくもないのでしょうか。

こちらの場所ではもう人と関わらないと決めた。さっさと会話を終わらせて、この辺りの田舎の家にでも住んでしまいましょう。


「では、要件がそれだけならば私はこれで」


「ねぇ、名前も名乗らずに女性の前から立ち去るだなんて失礼だと思わなぁい?」


「あ、ああ…婦人の前で失礼した。オーブだ。まあ、二度と会うことは無いと思うが」


「ふふ、わたしはリブレリア。気軽にリブって呼んで貰えると嬉しいかなぁ。あとさぁ、その喋り方慣れないみたいだし、やめたらぁ?」


喋り方……そんなにわかりやすかったでしょうか。というか、愛称まで教えなくていいです。


「ねぇねぇ、オーブくんは【V.S.B.】って知ってるぅ?」


「なんですか、それ」


あ、もしかしてこれ自分詐欺か何かにひっかかってるんじゃ。って口調が!

あれ?リブレリアさんが固まっています。何か問題発言でもしたのでしょうか?


「世界は広いのねぇ【V.S.B.】を知らない人がいるだなんて・・・。もしかして魔族ぅ?でもこの国に魔族が入ろうだなんて勇気あるわねぇ」


ま・・・ぞく?悪魔の一種ですかね。


「でも魔族だとしても、都市部には【V.S.B.】が手を入れてるはずだし、ここまで来るのに耳に入らないって言うのもおかしいわぁ」


明々と燃える小屋。人々の歓喜の声。炎に包まれ苦しそうにのたうちまわる、人間だったもの。灰となり風に溶ける本。暖かな思い出。見ることしかできない幼い自分。


「ねぇ、ねぇ、オーブくん」


嫌なものを、いや、大切な経験だったんだ。それに悪いのは自分の方じゃないか、あの人は俺に来るなと言っていたじゃないか。何回やってるんだ自分は・・・。今更どうやったって過去を変えることはできない。悪魔という単語であの人を思い出しただなんてあの人が知ったら、あの人はきっと烈火のように怒るだろう。


「ねぇ、オーブくんってば!!」


「っ、は、はいっ。なんでしょう!」


「さっきの反応で魔族ってことはなさそうだけどぉ、見るからに神代族ってカンジでわないしぃ。オーブくん、何者ぉ?」


「えっと、俺は人間です……。その、こことは全然違う所から来ました。」


速く!速く終われ会話よ!


「こことは全然違うところぉ……?ん~もしかして異世界ぃ?でも、ゲシュテルンはここからとっても離れてるわぁ。」


イセカイ……。神様っぽい人もそんなことを言っていた気がします。あれ、神様ってどんな姿してたっけ……。なんだか神様っぽい人を思い出そうとすると靄がかかったように不明瞭で思い出せない。


「えっと、多分俺はイセカイ……というところに行くという話を聞いたんですけど、ここがイセカイというところじゃないのですか?」


「えっとぉ、オーブくんはここが異世界なのよねぇ。ならオーブくんはわたしとかにとっては異世界人になるわねぇ」


prrrrrr    prrrrrr



聞き覚えのない楽器とはまた別の…妙な音。すると、リブレリアさんはポケットからツヤツヤ光るスティック状のものを取り出し、指でこすると、人が映し出された。


「えっ!?な、な、なんんなんででですかソレ!?」


咄嗟に指をさしてしまった。

女性に指を指すなんてかなり失礼な行動だったが、彼女は全く気にした様子はない。


「え!?知らないの!?…………かなり科学文明の発達が遅れてるのねぇ」


彼女は続けざまに『オーブくんに会ってからびっくりの連続だわぁ』と続けた。











オーブさん……

言葉が通じてるところに違和感もとうや…

表現や誤字などがありましたら、御報告お願いします

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