私は見たいのです。
残酷な描写が結構きついので気を付けてください。
君は信じるだろうか?
この世界は誰かに創られた世界で誰かに観察されていることを。
きっとどこかに世界の果てがあってそこを抜ければきっと本当の世界があると。
そうなのだ。そんなわけない。
ボクたちは生きている。だからこそナイフを持ったクラスメイトが目を虚ろにさせてこう言ったからボクはその子のナイフを奪った。
「私は見てみたいのです。この閉ざされた世界を破り、そこにある新しい世界の果てを」
瞳の色は輝きを失い混沌に堕ちた黒々した闇だった。手首にはリストカットの痕があった。首筋には火傷の痕があった。
そう言った少女は狂気に満ちているのか。はたまた殻に籠もったままの孤独な雛なのか。
ボクは問う。
「君は信じる?」
微動だにしない少女。
「天国ってないってこと」
息さえしていないよに感じるようなゆっくりとした呼吸。
「そんなこと知ってる」
そう切り出されてボクは少女の目を見た。
「地獄も天国も作り話」
ボクは思った。今この子はボクの後ろにある黒板を見ているのだと。
「だから創ろうとしたの。地獄を。私達がオバケを本当に存在するかのように創ったお化け屋敷も、存在し得ないモンスターを倒す冒険様ゲームも、海賊が世界の全てだと言う物語も、なにもかも人間の創ったもの。だからそれと同じようにこの世界も創られたと考えるのが正しいに決まっている」
そう言って直ぐに腹部に鈍痛を感じた。ふと見ると奪ったはずのナイフで刺されていた。
「痛みはあるからさ、私達は生きている。のになんで地獄という体験施設に入れられたの?」
抜かれてもう一度同じ場所を刺される。キリキリと腹部がなった気がした。錆びている。このナイフ。錆びている。
「ねぇ、私と一緒に世界の果てを見に行かない?」
次にはボクが刺していた。少女の胸を。ピクピクと動いてから笑顔でボクを見て笑顔で血を噴いた。
「あははは、あははは、、あはははははははは」
鼓膜が摩りきれそうな笑い声にボクの手は震えた。
それが嫌で嫌で少女の口を執拗に突き刺した。舌がぼとっと落ちたのを確認してしまった。
気がついた時には少女は倒れていた。バラバラの状態で。もはや原型がわからないほどに。
しかし、耳元で聞こえた。
「私は見たいのです。キミト」
ボクは自ら頭を突き刺した。
読んでいただいてありがとうございます。
ちょっとした遊び心と理論宗教を混ぜ混んで見ました。短いのにキツい話でしたが、まぁ後悔はしてないww
本当に読んでいただいてありがとうございました!