いざ、ドワーフの里へ
あたしたちを乗せたマジカルキャンピングカーは、軽快なエンジン音(?)と共に、東へと続く街道を爆走していた。
アクアヴェーネから出発して、どのくらい経っただろう。
あたしは運転席で小さくため息をついた。
(なんで、いつもこうなっちゃうのかなあ……)
バックミラーにはもう映らないけれど、脳裏には温泉街へと変貌したアクアヴェーネの湯気が焼き付いている。
まさか、水の都を温泉観光地にしてしまうとは、さすがに想定の範囲外すぎた。
でも、火脈の被害を最小限に抑えることができたし!
結果として街は救われたんだから、まあ良しとしよう。
それと、ゼノさんのことは、少し胸にひっかりはするけど、気にしないようにした。
今のあたしには、過去を振り返っている暇なんてない。
魔王の復活が迫っている以上、ちんたらしてる余裕はないのだ。
英雄候補の安全確保と、眷属化。
これは最重要案件だ。
(あたしの代わりに魔王と戦ってくれる人材を、そうやすやすと失ってたまるもんか!)
思わず力が入り、アクセルを強く踏み込みそうになる。
「そういえば、次のドワーフの里ってどんなところなの?」
あたしは視線を前方に向けたまま、後部座席のみんなに問いかけた。
「お嬢様。ドワーフの里はガルガン・ガ・ガルダン山脈にあるようですわ」
あたしの問いかけに、リナが即地図を指差し反応した。
「ガルガンガガガ…………ごめん。なんて?」
「お嬢様、ガルガン・ガ・ガルダン山脈です」
なんだか、むかつくくらいにドヤ顔のリナが、ピシッと背筋を伸ばして言い切った。
「何よ、その山脈!『ガ』が多すぎるでしょ!早口言葉じゃないんだから、もっと呼びやすい名前にして欲しいわ、全く……。今日からその山脈は『ガ山脈』よ、いいわね!」
あたしは、投げやりに言い放った。
『人里から離れた鍛治職人の里だね。ガルガン・ガ・ガルダン山脈では、良質な鉱石がよく採れるみたいだよ』
アルが横で眠そうに大きく口を開けた。
「ガ山脈ね!」
あたしを無視してアルが続ける。
『ただ、険しい山道になるから、このマジカルキャンピングカーだと、さすがに厳しそうだ』
「えええええええ!?」
マジカルキャンピングカーに私の絶叫が響き渡る。
(まさか、登山?)
抜き打ちテストの時のような絶望感が、あたしを襲った。
「ま、まさか、あの山……じゃないわよね?」
あたしは震える指で、はるか遠くに見える、黒くそびえ立つ山々を指差した。
『そのまさかだね』
アルは意地悪そうに口角を上げる。
(……ちょっと、待って……嘘でしょ?)
この距離からでも分かる。
女子高生が、遊び半分で登山していいレベルじゃない山々が、遠くからこちらを見下ろしていた。
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ここから、第4章が始まっていきます。
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