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【7000PV感謝 & 4章スタート】異世界★魔法少女― 転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます! ―  作者: もりやま みお
第3章 氷の魔女と氷雪の王女 【水の都アクアヴェーネ編】
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第一回眷属会議(3)

「……よし。これで当面の目標は決まりね」


 あたしは腕組みをして、会議の締めくくりに入った。


 レオは王都へ。

 セレナはこの街の復興。

 そしてあたしたち本隊は、東の山脈へ向かい、ドワーフの戦士を探す。


 完璧なプランだ。


 これでしばらくは、暑苦しい……じゃなくて、熱烈すぎるメンバーとも少し距離を置ける。

 そう安堵した、その時だった。


『おっと、忘れてた。みんな、ちょっと待って』


 アルが思い出したように声を上げ、ポンとテーブルの中央に飛び乗った。


『これからチームはバラバラに行動することになる。でも、魔王の動きや緊急事態があった時、連絡が取れないと不便だろう?』


「確かに……。手紙じゃ遅すぎるし、早馬だって何日かかるか分からないわね」


 あたしが頷くと、アルはニヤリと笑い、あたしの左手首――ブレスレットを前足で叩いた。


『そこで、新しい魔法道具さ!名付けて、眷属通信(マジカル・ライン)!』


「……なんか、ネーミングがそのまんまな上に、絶妙にダサいんだけど?」


 あたしのツッコミを無視して、アルが解説を続ける。


『スズネの加護を受けた眷属は、スズネと魂で繋がっている。このブレスレットを中継することで、離れていてもリアルタイムで会話ができるんだよ』


「え、すごっ!スマホじゃん?」


 アルがあたしのブレスレットに鼻先をつけると、ポンっと、あたしのによく似たブレスレットが5つ飛び出した。


『ブレスレット型だから、いつでも身に着けていられるよ。さらに、耐衝撃。防水――』


「防塵!でしょ?」


 あたしは、いつぞやのやりとりを思い出して、アルのセリフを奪ってやった。


『その通り!』

 アルは自慢げに尻尾を振った。


(……G-SH○CKか!)


 あたしの心のツッコミを無視して、みんなの視線がテーブルの上のブレスレットに集まる。


「おお……!これは……!」

「お嬢様とお揃いですわ」

「主様と魂で繋がるのですね……!」

「お姉ちゃんと一緒だー!」


 カイル、リナ。セレナにミリィと、みんなが、まるで初めて買ってもらったスマホでも見るように、ブレスレットに食いついた。


 レオも「僕たちの絆の証ですね!」と目を輝かせている。


『これを身につけて念じるだけで、いつでもスズネと会話ができる。もちろん、緊急時にはGPS……じゃなくて、居場所を探知することも可能さ。まあ、強い魔力干渉地帯では使えないこともあるかもだけどね』


「便利ね。……って、ちょっと待って?」

 あたしはふと、とんでもない事実に気づいてしまった。


「それって、あたしのプライベートな時間、ゼロになるんじゃない?」


 いつでもどこでも、この濃いメンツから連絡が来る?

 寝てる時も?

 お風呂に入ってる時も?


『念じると、まずはブレスレットに通知音がなる。着信すると念じてタッチすれば通話が繋がる仕組みだから、プライベートは問題ないと思うよ。マナーモードも設定できるよ』

 アルは、あたしの不安を見透かすようにつづけた。


 マナーモードってなに?

 普通に携帯電話じゃん。

 魔法の要素はどこにあるのよ!


「まあ、便利だし、プライベートが守られるのならいいわ」


 あたしはひとまず、胸を撫で下ろした。


 それから、皆にアルが使い方を説明した。


 現代では幼稚園児でも使えるものだが、みんな、異世界人だ。

 仕組みや概念、通話やマナーモードの使い方などを飲み込むのに、皆かなり苦労していた。

 ただし、リナを除いて。


「素晴らしい機能ですわ、アル様。これなら、離れていてもお嬢様のお声を耳元で愛でられるのですね」

 リナが、ブレスレットを優しく撫でながら、うっとりと呟く。


「いつでもスズネ様の号令が聞けるとは!このカイル、寝る間も惜しんで耳を澄ませておきますぞ!」


「私もです!何かあれば、いえ、何もなくても主様に毎日定時報告をさせていただきます!」


 カイルとセレナもやる気満々だ。


(……終わった。あたしの安眠が、今ここで終わった)


 あたしはガックリとうなだれた。


 便利なのはいいことだ。

 でも、使い方一つで毒にもなるのだ。


「……とりあえず、緊急時以外は極力使わないこと!いいわね!特に夜中は絶対禁止だからね!!」

 あたしは精一杯の抵抗として、ルールを厳命した。


 みんな「はーい」「御意」と返事はいいけれど、その瞳の奥にある、絶対かける気満々な輝きを見て、あたしは早くも胃がキリキリするのを感じた。


 こうして、あたしたちは最強の(そして最悪にウザい)ホットラインを手に入れ、それぞれの旅路へと出発することになったのだった。

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