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【7000PV感謝 & 4章スタート】異世界★魔法少女― 転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます! ―  作者: もりやま みお
第3章 氷の魔女と氷雪の王女 【水の都アクアヴェーネ編】
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第一回眷属会議(2)

「……ちょっと待って。さっきあんた、本来はレオを含めて5人の英雄だったって言ったわよね?じゃあ、残りの4人は誰なのよ?まさか、その人たちもあたしの眷属になるってわけ?」


 あたしが恐る恐る尋ねると、アルは『当然さ』と言わんばかりに尻尾を揺らした。


『本来の歴史でレオの仲間になるはずだった、残る4人の英雄候補……。彼らもまた、運命の修正力によって、遠からず君のもとへ集うことになるだろうね』


(……えええ。まだ増えるの?このカオスなメンバーだけでも、もうお腹いっぱいなんですけど……)


 あたしの胃痛を知ってか知らずか、アルはもったいぶるように空中で一回転すると、次々とその名を告げた。


『名前だけでも覚えておくといいよ。賢者のルゥ。ドワーフの戦士ガラム。聖女クラリス。そして、エルフの弓使いフィオナ』


「……は?今、さらっと聖女って言わなかった?」


 あたしは聞き捨てならない単語に耳を疑った。


 賢者とかエルフとか、ファンタジーな響きはおいといて。聖女?

 それって、今のあたしのポジションと完全に被ってない?


『言ったよ。本来の歴史における正統なる聖女、クラリスだね』


 本物がいるんじゃない!

 だったらあたしなんて偽物は、さっさと看板を下ろしてお役御免でいいでしょ!


 あたしが心の中で叫ぼうとしたその瞬間、アルがニヤリと口角を吊り上げた。


『ちなみにまだ、彼女は聖女として認定されていなければ、表舞台にも出てきていない、ただの一般人さ』


『ま、楽しみにしておきなよ。みんなもきっと、君の()に当てられて、愉快な仲間になるはずさ』


(毒って言うな!……はぁ。どいつもこいつも、癖が強そうな名前ばっかり……)


 あたしは深くため息をつき、見えない未来の苦労に思いを馳せて、テーブルに突っ伏した。


「さて、お嬢様。次は今後の方針を決めなければなりません」

 リナが、静かに手帳をめくる。


 その言葉を合図に、場がキリッと引き締まった。


「僕はこのまま王都へ向かいます」

 真っ先に手を挙げたのは、レオだった。


 彼は真剣な眼差しで、まっすぐにあたしを見つめてくる。


「今回の件……魔族の幹部が現れたことを国王陛下に報告しなければなりません。それに――」


 レオはそこで言葉を切り、アルの方をチラリと見た。


「アルさんが言っていた、本来の聖女であるクラリスさん。彼女を王都で探してみます。もし見つかれば、スズネさんの負担も減るかもしれませんし」


(レオ……!なんていい子なの!)


 あたしは感動で涙が出そうになった。


 そうなのよ。

 本物が来れば、あたしみたいな偽物は用済みなのよ。

 ぜひともそのクラリスちゃんを見つけ出して、聖女の看板を押し付け……いや、譲渡したい!


「わかったわ。レオ、期待してるからね!絶対に見つけてくるのよ!でも、あたしのことは絶対に言っちゃダメよ!わかった?」


「はい!スズネさんのことは絶対に秘密にします。そして必ずや、クラリスさんを探し出して見せます!」

 レオがキラキラした笑顔で親指を立てた。


(お願い……絶対に秘密にしてよね……)


「私は、この街に残ります」

 続いて口を開いたのは、セレナだった。


 彼女は痛む体をかばいながらも、凛とした表情で窓の外――まだ雪の残る街並みを見つめた。


「私の氷のせいで、この街は深く傷ついてしまいました。ゼノの件も含め、後始末をつけなければなりません。……それに、主様が鎮めてくださったとはいえ、地下の火脈の監視も必要です」


「そうね……。この街には、あなたがいないとダメだわ」


 あたしがうなずくと、セレナは申し訳なさそうに、けれど強い意志を込めてあたしを見た。


「主様のお傍で剣を振るえないのは無念ですが……。必ずこの街を復興させ、いつか主様が訪れた際には、最高の水の都としてお迎えいたします」


「ええ、楽しみにしてるわ。無理しすぎないでね」


(ふぅ……。これで大所帯も少しは解消されるわね)


 レオとセレナ。

 二人とも真面目でいい子だけど、一緒にいると色々とプレッシャーが凄かったから、正直ちょっとホッとした。


「して、スズネ様。我々は、いずこへ?」

 カイルが身を乗り出してくる。


 残ったのは、いつものメンバー。


 変態騎士。

 ドSメイド。

 幼女。

 そして性悪タヌキ。


 ……濃い。

 改めて見ると、このパーティ、成分が濃すぎる。


『次は、東だね』


 アルが地図の上ポンと飛び乗り、前足で東の方角にある山脈を指し示した。


『九英雄の一人、ドワーフの戦士ガラム。彼を探しに行くよ』


「ドワーフ……!」

 あたしはその響きに、少しだけ胸を躍らせた。


 ドワーフといえば、ファンタジーの定番!

 頑固で、酒好きで、髭もじゃで、鍛冶が得意な種族!


(……まともそう。今度こそ、まともな常識人枠なんじゃない!?)


 騎士道(ドM)やメイド道(ドS)に染まっていない、豪快で頼れるおっちゃん。


 そんな理想像を思い浮かべ、あたしは希望に満ちた声を上げた。


「いいじゃない!行きましょう、東の山脈へ!ドワーフのおっちゃんを仲間にするわよ!」


 あたしの威勢のいい掛け声にミリィが首を傾げる。

「お姉ちゃん、どわーふってなに?」


「背が低くて力持ちな、お髭の人よ」


「おひげ!ミリィ、会ってみたい!」

 ミリィが無邪気に目をキラキラさせた。


 よし、方針は決まった。


 あたしたちはこの後、それぞれの目的を胸に、この雪解けのアクアヴェーネから旅立つことになる。


 しかし――この時のあたしは、まだ知らなかった。

 ドワーフの戦士ガラムが、あたしの想像を遥かに超える強烈な個性の持ち主だということを。

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