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【7600PV感謝 & 4章スタート】異世界★魔法少女― 転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます! ―  作者: もりやま みお
第3章 氷の魔女と氷雪の王女 【水の都アクアヴェーネ編】
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非情なる宣告

 あたしが羞恥で悶絶していると、氷塊の横で膝をついていたイフリシアが、ゆらり、と立ち上がった。


 先ほどまでの侮りの色は消え、むしろ、好敵手と認めたようなギラついた視線で、あたしをにらみつけてきた。


「な、なによ……。まだやる気?」


 あたしはアイスロッドを前に突き出して、精一杯強がってみせた。


 魔法少女のチート的な力で、とりあえずなんとかなっているものの、相手は魔族の幹部だ。

 今のレオでも相手にできないほどの化け物なのだ。

 正直、ロッドを握る手は汗ばみ、膝が笑い出しそうになるのを必死でこらえていた。


「ふっ……。私もそこまで愚かではないわ。今回はただの小娘だと侮ったが、次からはこうはいかない」


(え?次ってなによ)


 嫌な単語に、鼓動が早くなる。


 イフリシアは、燃え盛るような紅蓮の瞳であたしへ、呪いのような宣告を口にした。


「今日この刻をもって、お前は、我らが魔王様の復活における()()()()()と認定された。覚悟することだ。これからお前は、行く先々で命を狙われることになる。もはやお前に、安寧の地などないと思え!」


(ちょ……っ!何さらっと、とんでもないこと言っちゃってるのよ!)


 最大の障害?

 命を狙われる??


 あたしの平穏な日々が、ガラガラと崩れ去っていく音が聞こえた。


「それだけではない。今日仕留めきれなかった勇者と、精霊騎士。それに――他の()()()()たちも同じだ。せいぜい気をつけることね」


「英雄候補……?」


「首を洗って待っていなさい。次は必ず、そのふざけた衣装ごと焼き尽くしてあげるから!」


 イフリシアは、そう捨て台詞を残すと、炎の渦に包まれながら、消えるように姿を消した。

 あとに残されたのは、半壊した中庭と、絶望的な未来を宣告されたあたしだけ。


 あたしはイフリシアの言葉を、混乱する頭の中で必死に整理しようとした。


 命を狙われる?

 レオ達も?

 それに、ほかの英雄候補って……。


(ねえアル!他の英雄候補って何?本来の英雄たちのこと??)


『うん、多分そうだろうね。でも、今はそれどころじゃなさそうだよ?』


 アルが視線を向けた先。

 瓦礫の山と化した屋敷の入り口から、小さな影が飛び出してきた。


「お姉ちゃーん!」

 聞き慣れた、愛らしい声。


「え?ミリィ?どうしてここに?」


 あたしは慌てて駆け寄り、飛び込んできたミリィの勢いを両手で受け止めた。


 小さな体が、あたしの腰にしがみつく。


「お姉ちゃん達が向かった方から、すごい音が聞こえたから……。心配になって、来ちゃったの……。ごめんなさい」


 見上げれば、ミリィの大きな瞳には涙がいっぱいに溜まっている。


「ううん、いいのよ。来てくれてありがとね、ミリィ」


 あたしは安堵で力が抜けそうになりながら、彼女の頭を優しく撫でた。


「それはそうと、お姉ちゃんの今日の衣装。すごく可愛い!!」


 ミリィは涙を引っ込め、キラキラとした瞳で、あたしの全身を見上げてきた。


(嬉しいんだけど、嬉しくないのよ……!)


 純粋な賞賛が、今のあたしには一番の劇薬だ。

 イフリシアの炎よりも熱く、あたしの頬が紅蓮に染まっていく。


 羞恥心で爆発しそうになっていると、ふとミリィが来た方向に一人の男が立っているのに気づいた。


(ゼノさん……)


 爽やかなイケメン自警団長、ゼノさんがそこにいた。


 彼は半壊した中庭と、そこに佇む露出度の高い謎の女(あたし)を見て、完全にフリーズしていた。


「君は……一体……」


 ゼノさんは何が起こったのか、必死で理解しようと眉をひそめている。


 まずい。完全に不審者を見る目だ。


「スズネお姉ちゃんだよ!」

 ミリィが自慢げに胸を張って答えた。


(ちょっ、ミリィ!余計なこと言わないでいいから!)


「……え?……あなたが……、スズネ様……なのですか?」


 ゼノさんの視線が、あたしの顔と、きわどい衣装を往復する。


 必死で理解しようとしているけど、脳の処理が追いつかずに、瞳に不審な色が混じっていくのがわかった。


(あんまり、ジロジロ見ないでえええ)


 あたしの心の叫びを無視するようにミリィが続けた。


「お姉ちゃんは魔法少女だから変身できるんだよ!」


「へ、変身……?」


 ミリィの無邪気な追撃に、ゼノさんは困惑の表情を深めるばかりだ。


 しかし、彼はすぐに気を取り直したように周囲を見渡し、パッと表情を明るくした。


「それはそうと……吹雪が去ったということは、あの忌まわしき氷の魔女を倒したのですね!」


 安堵と、隠しきれない歓喜のような表情を浮かべるゼノさん。


「それは――」


 あたしが口を開こうとした瞬間、後ろからそれを遮るように、凛とした声が放たれた。


「残念だが、私は死んではいない」


 振り返ると、そこにはリナとカイルに肩を借り、よろめきながらもこちらへと歩いてくるセレナの姿があった。


 満身創痍ではあるけれど、その瞳には強い意志の光が宿っている。


「セレナ……。これは一体……」


 ゼノさんは、死んだ亡霊でも見るように目を大きく見開き、驚愕に顔を引きつらせた。

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― 新着の感想 ―
え、ゼノさん!? 喜んでるけど、セレナって呼び捨てなの!? もしかして知り合いとかですか? とても気になります! これからも応援してます!
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