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【7200PV感謝 & 4章スタート】異世界★魔法少女― 転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます! ―  作者: もりやま みお
第3章 氷の魔女と氷雪の王女 【水の都アクアヴェーネ編】
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ヘル・プロミネンス

「……よくも、よくもやってくれたわね!乙女の純情を弄んだ報い、その身で受けなさい!」


 顔を真っ赤にして叫ぶイフリシアの全身から、先ほどとは比べ物にならない密度の火柱が噴き上がる。

 先ほどの消火活動で鎮火したはずの炎は、燻っていた怒りとともに、けたたましく燃え上がった


 ビリビリと肌に感じるほどの炎の熱量は、大広場の天井をジリジリと焦がすようだった。


「ちょっと待って!そんなに怒らなくても……。あたしはただ、物理的な興味で――」


 あたしの言い訳が終わる前に、イフリシアは地を蹴ってこちらへと突進してきた。


(え?思ったより早い!)


 とっさに、防御をイメージするが、イフリシアの炎を纏った拳の衝撃に吹き飛ばされる。


 ドォォォォンッ!!


 気がついた時には、あたしは広間の壁まで吹っ飛ばされ、壁の破片と土煙が辺りに激しく飛び散っていた。


 無傷――。

 とはいえ、壁に叩きつけられた衝撃が少しばかり残っていた。


(びっくりしたああああ!一瞬死んだかと思った……。ガード間に合ってよかった……)


 パンパンと、フリルの服についた埃を払いながら、あたしはスッ、と何事もなかったように起き上がった。


 さすが魔族の幹部。

 はっきり言って、今までの雑魚兵士とはレベルが違う。

 あたしは、初めて出会う強敵――魔族の力に驚きを隠せなかった。


(幹部でこれでしょ?魔王とかもっと強いってこと?)


 あたしが頭を抱えていると、煙の中から無傷で出てきたあたしを見て、イフリシアは少し驚いた表情を浮かべていた。


「……あの直撃を受けて無傷だと?では、これはどうかな!?」


 イフリシアの纏う炎がブワッと膨れ上がり、それとともに周囲の空気が揺らぐほどの高温になっていく。


(うわ、熱っ!これ、屋内だとみんな蒸し焼きになっちゃうよ……)


 あたしの焦りを見抜いたように、脳内でアルが淡々と告げた。


『ここで戦うとまずいね。レオにしても、まだ幹部と戦うのは無理だ。加護があるとはいえ、まだまだレベルが届いていないし、このままじゃ、スズネ以外全滅だ』


(全滅って、この幹部そんなに強いの?じゃあどうすればいいのよ?)


『ブレスレットの機能の一つ、空間転移を使うんだ。君とイフリシアだけでも外に出るしかない』


(何よ、その便利機能は!相変わらず後出しが多すぎるでしょ!!)


 文句を言いたいけど、今は緊急事態だ。

 あたしはブレスレットを握りしめ、あたしと目の前の炎女だけを、強制的に移動させるイメージを固めた。


「場所変えるわよっ!転移!!」


 あたしが叫んだ瞬間、世界がピンク色の光に塗り潰された。

 フッと重力が消え、視界が反転する。


 ――ヒュオオオオオオオ……。


 次に視界が開いた時、肌を刺したのは灼熱の炎ではなく、凍てつくような冷気だった。


 転移した先は、屋敷の外――広大な中庭だった。


 セレナによる凍結が止まったとはいえ、地上は未だ深い雪に覆われた銀世界だ。


「……ここは?」

 イフリシアが驚いたような表情で周囲を見渡している。


 吹雪自体は収まっているものの、肌を刺すような冷気が、物理的な圧力を持って打ちつけてくるのがわかった。


(ちょっと……今のあたし、すごい布面積薄いんですけど……!)


 あたしは反射的に身を縮こまらせた。


 今の格好は、ガラスの靴に、肩出し背中出しの薄っぺらなドレス。

 こんな極寒の野外に放り出されたら、三秒で凍死コース確定だ。


「こんな雪の中で、こんな格好じゃ寒……あれ?」

 身構えたあたしは、ふと違和感に気づいて自分の体を見下ろした。


 ――寒くない。

 それどころか、この凍てつく空気が、まるで心地よい春風のように肌に馴染んでいる。


「少しも、寒くないわ……」


 大丈夫。よね?


『君は氷雪の王女だよ?寒さなんて感じるわけないじゃないか』


 どこからともなく、聞き慣れた暢気な声が響いた。

 声のする方を見ると、アルがいつものように、ふわりと宙に浮いている。


(なんであんたがここにいるのよ?あたし、自分とイフリシアしか転移させてないわよ?)


『僕だけ別で転移したに決まってるだろ?僕を誰だと思ってるんだい?』

 アルは鼻をフンと鳴らして、得意げに宙で一回転してみせた。


「まあいいわ!これで消し炭になりなさい!!」


 イフリシアは業火を身にまとい、盛大に火柱を噴き上げた。

 ドォッ!!という爆発音と共に、彼女を中心とした雪景色が一瞬で変貌する。


 降り積もっていた雪が、瞬きする間に蒸発し、視界を真っ白な水蒸気が覆い尽くした。

 足元の雪解け水が沸騰し、泥水となって跳ねる。


 まさに、焦熱地獄。

 人間なら近づくだけで肺が焼けるような熱波が、あたしに向かって一直線に放たれた。


「――地獄の業火(ヘル・プロミネンス)!」


 イフリシアの腕から放たれた極太の火炎放射が、あたしを飲み込み、視界が紅蓮の炎に塗りつぶされる。


「きゃああああああああああ!」


 紅蓮の業火は、瞬く間にあたり一面の雪を蒸発させ、悲鳴ごとあたしを呑み込んでいった――。

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――お知らせ――

新作短編の純愛サスペンス心理ホラー『世界に君だけが残るまで』を公開しました。

10話完結なので是非読んでみてください。

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す、スズネちゃん!?それは.......。 直撃してる!これって大丈夫なんでしょうか.......? 「世界に君だけが残るまで」見ました! 無、無意識って怖いですね....! これって閉じ込められた…
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