炎の女幹部と、冷静な調査
「そこの小娘、何を見ているの。焼き殺されたいのかしら?」
イフリシアが不敵に微笑み、その豊かな胸元を強調するように身体をくねらせる。
揺らめく炎の隙間から、いかがわしいラインがチラチラと見え隠れしていた。
(なんなの、あの体、反則でしょ!集中できないんだけど!)
あたしの視線は、彼女の炎のビキニに、完全に釘付けになっていた。
とは言っても、エッチな意味ではない。
あれ、物理的にどうなってるわけ?
もしかして、炎の下は本当になんにもないの?
(気になる……。すっごい気になるんだけど……)
仕方ないのよ!
現代社会で生活してきたあたしにとって、ファンタジーな法則――つまり、物理法則を無視する、魔法的なものには、つい知的好奇心が勝ってしまうんだもん。
(……ちょっと、確認してみる価値はあるわよね。うん、これは調査よ。調査)
あたしは内心で自分に言い訳をしながら、ちょっとした知的好奇心を満たす決意をした。
「リナ!カイルとレオの目隠しをお願い!」
あたしがリナに指示すると、リナは「承知しました」と小さく応えた。
リナは手際よく、レオ、カイルを回収し、問答無用で後ろ向きに立たせると、あたしに親指を立てた。
(よし、これで心配なく調査できるわ)
あたしは、アイスロッドを握りイメージを膨らませる。
派手な威力は必要ない。
ただ、あの邪魔な炎を「フッ」と消すくらいの、ささやかな冷気をイメージして――。
「えいっ!」
ありったけの好奇心を込めて、あたしはイフリシアに向けて指を弾く。
瞬間、パステルピンクの雪の結晶が舞い、彼女の身体を包んでいた業火をピンポイントで冷却する。
イフリシアが「ひゃんっ」と色っぽい声を上げ、とっさに自分の身体を抱きしめるようにしてうずくまった。
炎が霧散し、蒸気が立ち込める。
(よしっ!さあ、真実を露わにしなさい!)
あたしは期待(?)に胸を膨らませながら、霧の向こうを凝視した。
けれど、そこに現れたのは――。
「……は?」
霧が晴れた先のイフリシアは――バッチリつけていた。
はち切れんほどのバストを隠すには心許ない、赤黒いレザー調の、めちゃくちゃ面積の狭いチューブトップ。
下は、Tバックの水着に近いようなガッツリと食い込んだホットパンツ。
あたしは思わず、指を差して叫んでいた。
「つけてんのかよ!!」
反射的に、心の声がそのまま口から飛び出していた。
(いや、紛らわしいわ!全裸に炎を纏ってるストリップ的な演出かと思ったら、普通に過激な衣装つけてるだけじゃないのよ!期待して損したわ!)
「な、なによ!いきなり炎を消すなんて、なんて破廉恥な女なの?!」
頬を赤く染めて身をよじるイフリシア。
「単なる、消火活動よ。消火活動!」
ビシッと言い切って、あたしの調査は完了した。
(ってか、炎あってもなくてもそんな変わってないでしょ!)
あんだけ、ドンっと出しておいて今更、何を恥ずかしがってるのよ。
こっちまで、恥ずかしくなるじゃない……。
なんだか、あたしがいじめているようで、少しばかり後ろめたさを感じていると、後ろからリナの艶っぽい声が聞こえた。
「――さすが、お嬢様……っ。まさか、敵を辱めることで、精神的な優位に立とうとされるとは……。あぁ……恥ずかしがる相手にも、一切の容赦がないその冷酷な仕打ち……まさに聖域ですわ……」
振り返ると、リナが恍惚とした表情を浮かべていた。
「何言ってるのよ!違うわよ、これは調査よ!!」
あたしは、イタズラがバレた幼子のように両手を振って否定する。
(……ってか、あんたがいつも私にしてることじゃないのよ……)
後ろを向かされているレオは、「一体何をしてるんですか、スズネさん……」と、何が起きているのか見えていないのに、顔を真っ赤にして小さく震えていた。
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