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【7000PV感謝 & 4章スタート】異世界★魔法少女― 転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます! ―  作者: もりやま みお
第3章 氷の魔女と氷雪の王女 【水の都アクアヴェーネ編】
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氷の街の迎賓館にて

「さあ、まずは体を温めてください。勇者様御一行には一番見晴らしが良く、暖かいお部屋を用意させました」


 ゼノさんに案内されたのは、街の迎賓館だという豪華な建物だった。


 外は地獄のような吹雪だというのに、一歩中に入れば魔法の暖炉がパチパチと音を立て、室内は春のような暖かさに包まれている。


 あたしたちは、そこでゼノさんと一通りの自己紹介を済ませた。

 もちろん、あたしの本当の正体――魔法少女、聖女、女海賊については、墓場まで持っていく勢いで秘密だ。


「スズネ様、女性にこの旅は大変だったでしょう。ゆっくりお身体を温めてください。冷えは女性の敵ですからね」

 ゼノさんはそう言って、あたしの手を優しく取って微笑んだ。


(……なにこの極上スマイル。眩しすぎて直視できないわ)


 カイルの「踏んでください」とか、リナの「悶える姿が聖域」とか、そういう濁りきった視線が一切ない、純度100%の真っ当な優しさだ。


「お気遣い、あ、ありがとうございます……」


 あたしが柄にもなくポッと頬を染めていると、ゼノさんは満足そうに頷き、一歩後ろへ下がった。


「では、私は一度失礼します。皆さんのための夕食を手配してきますので、それまでゆっくりとお寛ぎください。何かあれば、廊下のベルを鳴らしてくださいね」

 最後にもう一度、爽やかな風が吹くような笑顔を残して、ゼノさんは音もなく部屋を出ていった。


(……あぁ、癒やされる)


 あたしの周り、濃いキャラの変態しかいなかったから、あんな真っ当なイケメンが絶滅危惧種に見えるわ。


 あたしが夢見心地でソファに沈み込んでいると、リナが、これまでに見たこともないような、無の表情で割り込んできた。


 彼女は無言のまま、あたしの手をハンカチで執拗に拭き始める。


「ちょっとリナ!何すんのよ!」


「あんな得体の知れない男にベタベタされて、じんましんでも出たらどうするのですか。……ああ、汚らわしい。お嬢様の純潔がピンチですわ」


「なに言ってるのよ、ゼノさんに失礼でしょ!」


 あたしがリナをたしなめていると、リビングのソファでは意外な二人が意気投合していた。


「レオくん。これ、ミリィのしっぽ!さわってもいいよ!」

「わあ、ふわふわだね、ミリィちゃん。……あはは、くすぐったいよ」


 ミリィがレオくんにすっかり懐いて、しっぽをブンブン振り回している。

 レオくんも、勇者なんて重たい肩書きを忘れたみたいに、年相応の少年の顔で笑っていた。


(……うん、この二人は癒やしだわ。このギスギスした主従関係の緩衝材になってほしい)


 あたしがそんな平和な光景を眺めていると、レオがあたしの方を振り返った。


「あ、あの、スズネさん。実は……一つ、お願いがあるのですが……」

「なに?レオくん」

「その……できれば、僕のことは『レオくん』ではなく、『レオ』と呼んでいただけませんか?」


 レオは少し照れくさそうに、でも真っ直ぐな目でそう言った。


「僕にとって、スズネさんは命の恩人ですから。もっと……その、対等な仲間として認めてもらいたいというか。……ダメ、でしょうか?」


(うぅ……そんな可愛い顔で頼まれたら、断れるわけないじゃない)


「わかったわよ、レオ。……改めてよろしくね」

「はい、スズネさん!」


 パァッと顔を輝かせるレオ。


 うん、やっぱりこの子はいい子だわ。

 キャンピングカーではねちゃったのが、ほんとに申し訳なくなる。

 ほんと、ごめんなさい……。


 あたしたちがそんなやり取りで盛り上がっていると、ふと横でリナがクンクンと不自然に鼻を鳴らしているのが目に入った。


「リナ?どうしたのよ、さっきから変な顔して」


「……いえ。少し、鼻に付く匂いがしただけですわ」

 リナは冷ややかな目で、ゼノが去っていったドアの方をじっと見つめている。


 なんだかいつにも増して不機嫌そうだ。

 あたしが他の男に優しくされるのが、そんなに嫌なのかな?


「まあ、嫉妬もほどほどにしときなさいよ?……ほら、せっかくの豪華な部屋なんだから、少しはリラックスしたら?」

 あたしはそう言って、ソファで大きく伸びをする。


「……そうですわね。では、お嬢様から一歩も離れず、片時も目を離さず、全力で貞操を守らせていただきますわ」

 リナは少し硬い表情で、小さく呟いた。


「あんたバカじゃないの?」


 リナの重すぎる視線を受け流しながら、あたしはこれから運ばれてくるであろう豪華な夕食のことだけを考え、幸せな気分で暖炉の火を見つめていた。

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