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【6700PV感謝 & 4章スタート】異世界★魔法少女― 転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます! ―  作者: もりやま みお
第2章 魔法少女は海賊の夢を見るか?【貿易都市ポルターナ編】
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解放の笑顔、そして

(……終わったのね)

 勝利の余韻に浸り、ふっと肩の力を抜いた、その時だった。


「お嬢様、ぼうっとしている時間はございませんわ」

 いつの間にか背後に立っていたリナが、冷徹な事務口調で告げる。


「あっ、そうだった!まずは残った兵士の拘束、それに捕まっている人たちの解放よ!」


 そこからの二人の動きは迅速だった。

 リナが事務的に兵士を縛り上げ、あたしはミリィと一緒に、牢に閉じ込められていた獣人たちを解放していく。


「自由だ……!本当に、本当に助かったんだ……!」

「ありがとうございます、海賊様!一生、このご恩は忘れません!」

 檻が開かれた瞬間、そこには歓喜の奔流が溢れ出した。


 震える足で一歩を踏み出し、地面の感触を確かめるように泣き崩れる大人の男たち。

 ボロボロの服を着た子供たちは、恐怖から解放された反動で、「わーい!」と声を上げながら、あたしの周りをピョンピョンと跳ね回る。


 無邪気な瞳をキラキラ輝かせる子供たちに揉まれ、あたしは少しだけ胸が熱くなるのを感じていた。

 一方で、彼らの親であろう大人たちは、あたしの派手すぎるピンクの海賊服に一瞬戸惑いながらも、深く、深く頭を下げてくる。


 ふっと感慨に浸っていたあたしの裾を、誰かがおずおずと引いた。

 振り返ると、そこにはミリィが立っていた


 まだ震えが止まらない小さな手で、彼女は必死にあたしを見上げている。

 その大きな瞳には、さっきまでの絶望ではなく、キラキラとした憧憬の光が宿っていた。


「ミリィ……怪我はない?怖かったわよね......。ほんと、無事でよかった」

 あたしがしゃがみこんで目線を合わせると、ミリィは堪えきれなくなったようにあたしの首に抱きついてきた。


「う、うわぁぁぁん!こわかった、こわかったよぉ……!

 でも、おねえちゃんが……おねえちゃんが助けにきてくれるって、ずっと信じてたから……っ!」


 小さな体から伝わってくる、熱い体温と嗚咽。

 あたしは、その背中をそっと撫でた。


 あたしの胸に顔を埋めて泣きじゃくっていたミリィが、ふっと顔を上げた。

 真っ赤になった目尻にはまだ涙が溜まっているけれど、その大きな耳が、感情の回復を告げるようにピクピクと元気に揺れる。


「ミリィ……?」

 あたしが問いかけると、彼女は鼻を一つ鳴らし、ゴシゴシと乱暴に袖で涙を拭った。


 そして次の瞬間――。

 パァッ、と。まるでアジトの陰鬱な空気をすべて浄化してしまうような、眩いばかりの笑顔をあたしに向けた。


「えへへ……。おねえちゃん、みんなを助けてくれてありがとう!すっごく、かっこよかった!!」

 その瞳には、さっきまでの恐怖の影なんて一欠片も残っていなかった。

 ただ真っ直ぐに、あたしへの絶対的な信頼と、キラキラした憧れだけが溢れている。


「ミリィも、おねえちゃんみたいになりたいっ!!」

 小さな手が、再びあたしの手を、ぎゅっと握りしめる。


 その笑顔があまりに無垢で、あまりに綺麗で……あたしは、「あたしみたいなのになっちゃだめよ」、って言いかけて、やめた。


「……お嬢様、水を差すようで申し訳ありません。この島から彼らを逃がすための船がございませんわ」

 リナが困ったように首を傾げた、その直後。


「ご心配なく。このカイル、すでに港を制圧し、船数隻を接収してございます」

「おおおっ、やるじゃないカイル!」

 リナに負けず劣らずの手際の良さに、あたしは思わず声を上げた。


「じゃあ、カイルはそのまま船に彼らを誘導してちょうだい!」

「御意!!」


 カイルが颯爽と去っていく中、リナがあたしの開けた「トンネル」の先を指差した。

「お嬢様、あの大穴の先の部屋ですが……位置的に、厳重に封印されているはずの『宝物庫』のようですわね」


「え、宝物庫!?」

 思わず声がうわずった。

 今までの羞恥心と苦労が、一気に「金貨の輝き」という黄金色の希望に塗り替えられていく。


 あたしたちは、意気揚々とアジトのさらに奥へと進んだ。


 そこには、周囲の石壁とは明らかに一線を画す、重厚な一枚の扉が鎮座していた。

 リナの話では、捕らえられていた際、見張りの兵士たちが「この扉の先には莫大な宝があるが、特別な鍵がなければ、いかなる魔法でも開けることはできない」と悔しそうに話しているのを耳にしたのだという。


『……う〜ん。確かにこれは強力な封印だ。この()を物理的に破壊するのはまず無理だろうね』

 浮遊するアルが感心したように呟く。


 だが、あたしはその扉の前に立った瞬間、猛烈な「既視感」に襲われた。

(……ちょっと待って。この扉の紋章、どこかで……)


 あたしは、先ほどまで「不燃ゴミ」だと思ってポケットに突っ込んでいた、あの地下水路で拾った「古い金属の棒」を思い出した。

 そして、ポケットから取り出した古びた鍵を差し込むと、カチャリ、と小気味よい音がして封印が解けた。


 ……うん、そんな予感がしてた。


 封印の解けた扉がゆっくりと開く。


 扉が開いた瞬間に頬を撫でたのは、伝説の秘宝の輝き……ではなく、あたしが右拳で開通させた『トンネル』から入り込む、やけに清々しい海風だった


「……ねえ、リナ。これ、鍵開ける必要あった?」

「さあ......?ですがお嬢様、正面から入るのがレディーの嗜みというものですわ」


 なるほど。さすがはリナ、言い回しが洒落ておる。


 あたしは、無駄に感心しながら、伝説の女海賊の「宝物庫」に足を踏み入れた。

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