表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界★魔法少女― 転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます ―  作者: もりやま みお
第1章 ごめんで済んだら聖女はいらない【ディスカール伯爵領編】
15/21

15 - 殺しの許可証

夜の闇に沈んだ子爵ヴォルガスの執務室は、冷ややかな高揚感に満ちていた。

卓上で揺れる蝋燭の炎が、届いたばかりの書状を不気味に照らし出している。

教会の紋章が刻まれたその紙には、たった一行、無慈悲な事実が記されていた。


「……『保留』、か。くく、あの老いぼれも、実に食えないことをする」


ヴォルガスは口角を歪め、琥珀色の酒をゆっくりと喉に流し込んだ。

彼の正面には、顔を深いフードで隠した三人の男たちが、気配を消して直立している。

ただの兵士ではない。ヴォルガスが私財を投じ、暗殺ギルドから呼び寄せたその道のプロたちだ。


「聖女とも魔女とも断じず、庇護も与えぬ。それはつまり、あの小娘が今夜この地で無様に首を跳ねられたとしても、教会は『預かり知らぬこと』と平然と白を切るという公式な声明だ」


ヴォルガスはグラスを卓上に叩きつけた。

氷のぶつかる鋭い音が、静まり返った室内に響く。


「教会はメンツを守り、私は目障りな小娘を排除できる。……あの大司教、私に『殺せ』と合図を送ってきたわけだ。この上ない殺しの許可証を添えてな」


彼は立ち上がり、背後の壁に掲げられた領地の地図を指差した。

その先にあるのは、スズネたちの身を寄せる伯爵邸だ。


「よいか。相手は正体不明の術を使う。だが、所詮は年端もいかぬ小娘だ。教会という後ろ盾を失い、恐怖に震えている今こそが好機だ」

ヴォルガスの瞳に、どろりとした憎悪が宿る。


「行け。一人も生かして帰すな。あの小生意気な奇跡ごと、跡形もなく闇に葬り去れ。……死体すら残す必要はない。夜明けと共に、あの小娘が存在した痕跡をこの世から消し去るのだ」


「御意」

フードの男たちが一斉に膝をつき、次の瞬間には影が壁に溶けるようにして姿を消した。


ヴォルガスは再び酒を注ぎ、窓の外、伯爵邸のある方角を見つめて低く笑う。

「……せいぜい、死ぬ間際までキラキラと着飾っているがいい。お前の神話は、今夜ここで終わるのだから」


冷たい風が吹き抜け、蝋燭の火が消えた。

伯爵邸が、ヴォルガスの放った「剥き出しの殺意」に包囲されるまで、もはや一刻の猶予も残されていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ