表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

氷の公爵との再会

リーナは広間の重たい扉の前に立たされていた。


 この館に来てから数時間、何が何だかわからないまま連れてこられたが、やっと面会を許されるのだという。


 扉が軋みを上げて開くと、冷たい空気が流れ込んできた。


 玉座のような椅子に深く座る男の姿があった。


 銀に近い白金の髪と、夜のように暗い瞳。


 冷たく無表情なその瞳が、リーナを捉えた瞬間だけ、微かに揺らいだ。


「……リーナ」


 その声は、驚くほど優しく、低く響いた。


「あなたは……公爵様?」


 彼女が戸惑いの声を上げると、男はゆっくりと立ち上がる。


「久しいな。……ようやく、会えた」


 そう言った彼の瞳は、まるで炎のように熱く、リーナに注がれていた。


(この人、私を……知ってる?)


 胸の奥がざわめく。


 リーナは知らなかった。


 目の前の男が、十年前にただ一度出会ったあの少年だということを。


 そして、その少年が、彼女のたった一度の優しさを胸に、十年という歳月をかけて彼女を探し続けた男――クラウス=ヴァルデンだということを。


 運命が、音を立てて動き出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ