幕間:運の尽き
見てしまったが最後、のハズ。
〜現場検証中・ビルの入口〜
───なんだこれは。ビルの入口におびただしい量の血が付いてる。それに黒塗りの高級車が止まってる。
私、中村遥は今の状況が分からなかった。
「はあ?なにこれ?」
脳が理解を拒む。
「警察案件だな」
そして私の親友、佐久間優は動じることなく血を見つめていた。
いや優、冷静に分析してる場合じゃないでしょが。ビルの中から血の匂いがする。君子危うきに近寄らずだ。
バチバチッ!
「………!?優!?………うっ!」
背後から聞こえたスタンガンの音を最後に、私たちの意識は途絶えた。
〜???〜
バシャア!という音と共に目が覚めた。水をぶっかけられて肌寒い。ずた袋を被せられて前が見えないが、私は両手を鎖に繋がれて拘束されてるようだ。
隣からジャラジャラ音が聞こえる。どうやら優も一緒のようだ。
「優!?無事なの!?」
こもった声で優に呼びかける。
「とりあえず生きてる」
安堵………していいのかわからないが、生きてることに安心はした。
───コツコツ。
複数の足音が聞こえてくる。こちらに来てる。
「ぷはっ!」
「ぬぐっ!」
乱暴にずた袋を外されて目に映ったのは、何処かの地下室。無機質な部屋だ。
ガチャガチャ!
黒服たちからいきなり頭に銃を突きつけられた。ショットガンだ。
弾を見せてきた。
そして、それを銃に装填し、持ち手部分を後ろにスライドした。
下手に抵抗すれば殺されてしまう。というのだけは分かった。
しばらくすると奥から女が現れた。一言で言えばたおやかな人だが、目が笑っていない。
「初めまして、私は神楽恵美です」
いきなりの自己紹介を始めた。神楽………一度聞いたら忘れられない名前だ。
「はあ?神楽恵美?」
優が驚いたように彼女の名前を復唱する。
「中村さんに佐久間さん、あの現場を見た以上、生きては帰しませんが、貴女達には特別にもう1つの選択肢があります」
優の言葉を遮るように神楽は私達の名前を発する。
「ッ!?どこで私達の名前を!?」
驚いてる私達を見て、目の前の女はこちらを射殺すような視線で見つめてくる。
「ここで死ぬか、それとも私に従うか。どちらか選ばせてあげます」
「神楽恵美………もしかして!“今元就”の神楽恵美か!?」
優のその言葉に私も驚きを隠せなかった。優から話には聞いていたあの“謀神”が目の前の少女だということに驚いた。
「流石は佐久間優さん、よくぞご存知で」
「それで、従います?死にます?どちらを選びますか?」
黒服にショットガンを突きつけられ、逃げられない。十中八九あのビルのことに関する口封じが目的だ。
「従うよ。煮るなり焼くなり好きにしろ」
「同上よ」
優の吐き捨てるような服従宣言に私も続くように吐き捨てる。
私達は平穏な日常と決別を余儀なくされた。
「“同胞”として、貴女達を歓迎します」
同胞?一体どういう事なの?
あとは亀更新になるかと。