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第2章 デジタル円とMMT

 翌1月21日、世間が〈ナカモトめざめる〉で騒がしいなか、津上は職場の日本銀行本店でじぶんの仕事に集中している。


 チャリーン! とつぜんスマホが鳴る。


 あ、そうだ、すっかり忘れていた。


 津上はスマホを取り出して、あるウォレットアプリを開く。渋沢栄一の肖像のよこに5桁の数字が映し出されている。そう、デジタル円のスマホアプリだ。


 ただいまの津上の所持金は9万1981円である。送受信の履歴を見ると、たったいま1万円を受信した記録が残っている。


 津上はきのう秘書の葉子に壱万円札を手わたして、それとの両替でデジタル円1万円ぶんの送金予約をたのんでいたのだ。それが今になって着金した。


――コンコンコン。


「はい、どうぞ」


 葉子がドアから顔をのぞかせて、「津上さん、届きましたか?」


「うん、いま届いたよ。ありがとう」


「いいえ、どういたまして」


 津上はいすに座ったまま背伸びして、「これでもう、いつでもアプリをローンチできるよ」


「ほんと、実験が成功してよかったですね」そう言って葉子は近づいてくる。


 津上は慌てて所持金の表示をタップし、***で隠す。


「フフフ。べつに見ませんから」葉子はひきかえす。いつもどおりコーヒーを注いでくれただけだった。


 ことし2031年7月からいよいよデジタル円の個人取引が解禁される。デジタル円じたいは2028年7月に導入されたが、現状では日本銀行と市中銀行そして政府とのあいだの取引のみに制限されている。


 政府がこれまでデジタル円の個人取引を解禁してこなかったのは、すでに民間のデジタル決済サービスが群雄割拠するなかで、日本銀行という準公的機関が進出して民業を圧迫するとはいかがなものか、という反対意見が強かったからだ。


 そしてもうひとつ懸念があった。デジタル円に移行するために国民がいっせいに銀行口座から預金を引き出したら、とりつけ騒ぎの電子版である。銀行がバタバタ倒産して、信用創造がいっきに収縮し、日本経済が大打撃をくらうだろう。


 そこで個人取引の解禁にあたっては、ごくごく慎重に、デジタル円の所有金額は1人あたり10万円まで、と上限が定められる予定である。10万円を超えると、ユーザーが登録した銀行口座に自動的に差額が預金される。銀行口座を登録しないばあいは、利用枠が空くか銀行口座を登録するまで差額は凍結される。


 このように日本ではデジタル円の個人取引にはデメリットが大きい。そしてメリットはというと紙資源の節減くらいでほとんどなく、デメリットが上まわる。これは先進国に共通するジレンマだ。


 アメリカも日本と同じ理由でデジタルドルの個人取引には消極的だった。いや、日本以上に障害が大きかった。VISA、MASTERCARD、PAYPALという世界に名だたる決済企業がありながら、どこにデジタルドルが普及する余地が残されていようか?


 2020年10月に世界で初めてデジタル通貨を導入したカンボジアでは、先進国とは事情が異なった。国民のほとんどが銀行口座を持たないため、民間のデジタル決済サービスは普及しておらず、長びくインフレで国民は普段からハンパない量の紙幣を持ち歩いていたので、メリットがデメリットを圧倒的に上まわった。だからカンボジア政府はいち早くバコンを導入できた。


 さらに、2022年2月に中国で導入されたデジタル人民元は、一帯一路構想にそって世界の決済市場へと進出し、その経済圏を拡大している。これまで基軸通貨の米ドル紙幣が支配的に流通していた発展途上国で急速に置き換えが進んでいる。


 そのためアメリカは中国に世界経済の覇権をにぎらせたくない一心で、やむなくアナログからデジタルへ通貨の基本方針を変更した。2024年に新紙幣を導入したばかりだった日本もアメリカに追随し、2026年にデジタル円の導入を決定した。


 しかし津上は、日本銀行でデジタル円の開発責任者を務めていながら、当初はデジタル円の導入に反対していたし、いまでも心のなかでは同意していない。それでも開発に取り組んでいるのは“仕事”だからだ。


 津上がデジタル円に抵抗するのは、民業圧迫や信用収縮のほかにも、悪用すれば、ジョージ・オーウェルの『1984』で描かれた〈ビッグブラザーはあなたを見ている〉的な、監視された通貨システムとなりうる、と本気で心配しているからだ。


 デジタル円のアカウントはマイナンバーとひもづいている。秘密鍵を無くすかもしれない国民のためにバックアップを保存する必要があるからだ。すると、技術的には国家が国民の取引記録を監視できることになる。


 日本政府は、デジタル円の正しい運用によって、国民の隠し資産がなくなれば脱税がなくなります、犯罪者がマネーロンダリングできなくなります、などと利点ばかりを宣伝しているが、それは同時に、政府が国民の取引を統制できるということも意味する。自由で公正な経済活動が委縮して、かえって税収が減るのではないか? とすら津上は恐れている。


 ああ、ナカモトサトシはデジタル通貨をどう想うだろうか!


 ナカモトもまたビッグブラザーを嫌うはずだ、と津上は確信する。ビットコインが取引記録の閲覧を許しているのは、アドレスが個人情報とひもづいておらず、匿名性が保たれているからであり、閲覧の目的は、取引を監視するためではなく、通貨の信用を担保するためである。デジタル円とはまったく逆の設計思想だ。


 津上は小腹がすいて執務室を出たところで、葉子に呼び止められる。「津上さん、ナカモトサトシがどうかしました?」


「えっ、もしかして声に出てた?」


「はい、とても大きな声で叫んでいましたよ」


「うわっ、恥ずかしい」


「わたしがナカモトの代わりに答えてあげますわ」葉子は立ち上がる。「オホン!『津上くん、わたしはデジタル通貨の誕生を喜んでいますよ! 成功を願っています! ところでわたしはきのう姿を見せたように、生きています! 死んでなんかいません、かってに殺さないでください!』」


「ははは」


「どうです、似ていますか? あ、もう少し声が低いほうがよかったかしら。ナカモトはビットコインを開発した当時どんなに若くても、20年以上も経てばもう立派な中年でしょうから」


「そうじゃない」


「ええっ!? そうでしょう? ナカモトはまさか小学校の自由研究でビットコインを発明したとでも言うつもりですか?」


「いや、そのまえにきみが、ナカモトがデジタル通貨の誕生を喜んでいる、と言ったことにたいして、ぼくはそうじゃないって答えたのさ」


 津上は葉子のまえを通りすぎて、置き菓子のポテトチップスの袋を開けながら、「ぼくは逆に、ナカモトはデジタル通貨の誕生を嘆いていると思っているのさ」代金を支払うまえにほおばってしまう。


「ちょ、ちょっと、津上さん! お金はちゃんと食べるまえに支払ってくださいね! 小学校で学びませんでしたか? 次は罰金をとりますよ」葉子は相手が上司だろうが厳しく取り締まる。


「失礼しました。ナカモトのことを考えていたら、つい忘れていた。すぐに支払います」


 津上はスマホのカメラで袋のバーコードを読み取る。自動でデジタル円アプリが開き、そのポテトチップス300円がカートに入っている。販売元のQRコードを読み込むと、決済しますか? と表示される。はいを選択すると、チャリーン。デジタル円の残額が9万1681円になる。うむ。不具合はないようだ。


 このように、津上らが開発したデジタル円アプリは、セルフレジ機能を搭載しており、商品の読み取りにバーコードやQRコードなどのあらゆるコード類と、RFIDタグにも対応している。民間企業より便利なものを開発するな! とさんざん批判を浴びたが、導入するからにはちゃんと普及するよう、あらゆる技術の採用を惜しまなかった。これは新紙幣を製造していた時代の設計思想に似ている――偽札を防止するために、そのときどきの最先端技術を駆使するのだという設計思想に。


 葉子は話を戻す。「ねえ津上さん、どうしてナカモトはデジタル通貨の誕生を嘆いているんですか? ついに日本でもお金が電子化されて、ナカモトはきっとじぶんの悲願が達成されて喜んでいるはずでしょう? 名前のとおり日本人ならなおさら喜びはひとしおでしょう?」


「いや、ナカモトの悲願は貨幣の電子化というより、中央銀行や政府が介入しない、人民のための通貨を作ることにあったのさ」


「へえー、そうなんですね」


「それなのに逆に中央銀行が、ナカモトの技術をかってに改変してデジタル通貨を作ってしまった。だからナカモトはデジタル通貨の誕生を嘆いているはずだとぼくは思うのさ――ナカモトが日本の同胞かどうかはさておき」


「ふーん、わたしたち日本銀行はナカモトから嫌われているのね」


「ナカモトの嘆きは他にもある。ほんらい味方であるはずの暗号通貨の界隈から見かぎられていることだ――プルーフ・オブ・ワークって聞いたことあるかい?」


「うーん、聞いたことあるような気もしますけど、意味は分かりません」


「ビットコインを動かしているしくみのことさ。いち早く計算をこなしてブロックを生成できたマイナーだけが、勝者総取りでマイニング報酬を受け取れるという」


「それがどうかしましたの?」


「すると、競争に敗れたマイナーたちはただ電気を浪費させるだけだから、地球環境にとても悪いだろう? だからプルーフ・オブ・ワークは徹底的に批判されて、現行の暗号通貨でこの方式を採用しているのはビットコインだけになったのさ」


「まあ、かわいそうに、ナカモト!」


「後発の暗号通貨たちは、コインの保有量におうじてブロックを生成しやすくするプルーフ・オブ・ステークという新しい方式に移行して、熾烈なマイニング競争を減らした。ところが、ユーザーからコインを集めてブロックの生成を一手に引き受けるバリデータという業者が現れて、かれらの寄りあいができてしまった。ほら、このしくみって何かに似てないかい?」


「そう言われましても、いま知ったばかりで、見当もつきませんわ」


「ほら、FRBに似ているだろう? アメリカでは国民から預金を集める民間銀行の寄りあいが、中央銀行にあたるFRBになっている」


「は、はあ……」


「つまり後発の暗号通貨たちは、中央銀行からの脱却というナカモトの理想をかなぐり捨てて、現行の金融システムにそっくりの中央集権的なしくみを作ってしまったのさ――これを悲劇と言わずしてなんという?」


 ちなみにデジタル円では、津上ら日本銀行はプルーフ・オブ・オーソリティという方式を採用した。これは特定の業者、すなわち日本の民間銀行にブロックの生成を委託する方式である。


「ねえ、津上さん!」


「ん、どうした?」


「あなたは日本銀行の行員さんですか?」


「ええっ!? そうに決まっているでしょ! どういう意味?」


「ビットコインって日本銀行の敵なんでしょう? それなのに津上さんは、ビットコインを陰ながら応援しているように聞こえますわ。それどころか日本銀行を批判しているようにも」


「ああ、そういうことか。もちろんぼくは日本銀行の行員だし、日本銀行に忠誠を尽くしているよ――ただ、むかし大学院でビットコインについて研究していただけさ」


「ほら、やっぱりビットコインを応援していたじゃないですか」


「いや、日本銀行に入行するとき、ビットコインとは縁を切ったよ。持っていたコインはぜんぶ手放した」


「ええっ!? もったいない! そのまま持ちつづけていたら億り人だったのでは……?」


「うーん、その当時はビットコインに価値があるなんてだれも思っていなかったし、そう思うことは難しかったよ。ぼくが日銀に入行する前年の2010年5月22日に、ビットコインが初めて商取引に使われて、ドミノピザ2枚が1万BTCで購入された。ピザ2枚を5000円とみつもると……ビットコインの単価は50銭/BTCくらいの時代だったからね」


「まあ、1円より下の時代があったなんて! いま、1億円なのに!」


「そのあと同じ年の7月18日にマウントゴックスという取引所が開設されて、ようやくビットコインに価格がつきはじめた。そんな時代にいまの繁栄を予想するなんて、とてもできなかったよ。価格が高騰しはじめたのは、ぼくが日銀に入行した直後の2011年4月からだったんだ」


「そっかあ、津上さん、残念でしたね」


「負け惜しみに聞こえるかもしれないけど、ぼくはべつにちっとも悔しくないよ。むしろビットコインはそのあと投機の性格をおびてきたから、持ちつづけていたらきっと、へたに売買して損していただろうなと思うくらいさ。株式も暗号資産もガチホすればたいてい勝てるけど、そのガチホがいちばん難しいからね。ただ買って待つだけでいいのに、どうしても人間は資産をいじって減らしてしまう」


「ええまあ、そのとおりですよ! ああ、2018年の大暴落で慌てて売っちゃったわたしのイーサリアムちゃん! そのあと数年後には元値に戻して、いまや20倍ちかくになっていて……ああもう、どうしてあのとき売っちゃったんだろう? あああああ、悔しいーーー! って、津上さんのせいでつらく悲しい思い出がよみがえっちゃった! どうしてくれるんですか!」


「うわあ、それはごめん! まさか葉子ちゃんが暗号資産に投資していたなんて、知らなかったよ……」


 そのとき、絶叫がこだまする。「「「みなさん、ご唱和ください! ざいむしょうを、ぶっこわーす! ざいむしょうを、ぶっこわーす!」」」


 街宣車が、日銀本店ちかくの中央通りを大音響で通過する。


「なんだ、なんだ?」


「もしかして、いま話題の衆議院議員候補さんじゃないかしら?」


「「「MMTでみなさんのくらしを豊かにします! どうか、どうか、みなさんの清き一票を、わたしに投じてください! ざいむしょうを、ぶっこわーす!」」」


「ふん! 財務省をぶっこわすだと? ほんと、ふざけた野郎だぜ!」津上は目を細めてかなたの人をさげすむ。


 葉子もとなりに立ってブラインドごしにのぞく。「たしか〈MMTを実現させる党 財政法第5条を改正して〉でしたっけ?」


「ああ」


「はじめ、この長ったらしい党名を聞いたとき、思わず笑っちゃいましたけど、いまあらためて聞くと一周まわって斬新なひびきがしますね」


「そうかあ?」


 葉子が顔を向けて言う。「ねえ津上さん、財政法第5条ってなんですか? それを改正してMMT党はいったいなにをたくらんでいるんですか?」


 津上は答える。「財政法第5条とは、政府が日銀に国債をじかに引き受けさせることを禁じている条文さ。やつらはこれを撤廃して、国債と引き換えに通貨をたんまり手に入れようという魂胆さ」


「なるほど、お金を無限に生み出そうというわけね。なかなか考えるわね」


「おいおい、まさかきみはMMT党に投票するつもりじゃないだろうね?」


 葉子は顔をふる。「いいえ、わたしだって日本銀行に勤めていますから投票はしませんけど、気になってはいました。だってMMT党は予想では複数議席を獲得しそうな勢いですってよ。テレビのニュースで言っていましたわ」


「なんだって!?」


「ええ」


「ほんとうか? 世も末だな……」


「国民は求めているのよ、救世主を。ほら、歩行者がたくさん城山さんに手をふっているわ」


「「「わあー、ありがとうございます、ありがとうございます!」」」城山は沿道の声援に応えている。「「「わたくし城山は全身全霊で、みなさんの生命と財産をお守りすることを……ここに誓います……みなさん、ごいっしょに……ざいむしょうを、ぶっこわーす……」


 街宣車が遠ざかると、とたんに静けさがたちこめる。


 津上は戒めるように言う。「MMTはぜったいに成功しない。かならずやハイパーインフレを引き起こして、日本円を破壊しつくす」


「でもMMTは新しい理論じゃなくて?」葉子はスマホでMMT党の綱領を調べて、「『お札は日銀の負債にあたりますが、日銀は800兆円も資産を保有していますので、お札はいくら刷ってもだいじょうぶです』って、かれらは謳っていますけど?」


「それは誤解さ。銀行券が負債だったのは金本位制の時代で、いまは不換紙幣だから負債ではないんだよ。われわれ日銀は、便宜的に銀行券を貸借対照表で負債に計上しつづけているにすぎない」


「銀行券が負債じゃないなら、なおさら発行していいのでは?」


「それこそ歴史がくりかえしてきた失敗さ。負債ではないから、とめどなく発行できてしまう。葉子ちゃん、大航海時代のスペインを知っているかい?」


「ええ。当時は世界の覇権をにぎっていたんでしょう」


「スペインは南米のポトシで採掘した銀を本国に持ち帰って、銀貨を大量に発行しつづけた。でもインフレして何回も財政破綻した」


「まあ! たくさんお金を稼いだのに破綻したなんて悲惨ね!」


「それから、マリー・アントワネットは知っているかい?」


「ええ。ギロチンで処刑された、悲劇の王妃さまでしょう」


「彼女はぜいたくのためにアッシニア国債を乱発した。それで、王室まわりの経済は一時的に活性化した。でも、ミシシッピ・バブルが到来して、国債がパリで貨幣として流通するようになると、庶民はインフレしたパンの値段に苦しめられた……MMTが正しければフランス革命も起きなかっただろう」


「そうかしら?」


「ああ、きっとそうだよ」


「でも、日本銀行はここ20年くらいのあいだ、MMTが言っているようなことを実践して、長びくデフレ不況から脱却したのではなかったの?」葉子は津上を言いくるめようと躍起になっている。


「うう……それはそうだけど……」


 たしかに葉子の言うとおり、日銀は令和の時代も積極的な貨幣供給を続けてきた。そして2030年には長年の目標だったインフレ率2%をなんとか達成し、ことし31年も継続している。


 津上は意地になって反論する。「いずれにせよ、ぼくが言いたいのは、シニョレッジで貨幣をタダで得ようというMMTの取り組みは、発行する媒体が変わっただけで昔からずっとくりかえされてきた手法であって、たったいちどの成功例もないということさ!」


「だとしても、あの城山さんは、帝都大学の経済学部を首席で卒業して、大学院も出て財務省に入ったエリートなんでしょ? そんな頭のいい人がまちがった理論を唱えるかしら?」


「いやそれが、まちがった理論を唱えているから、問題なんだよ! なにも知らない人々が学歴と職歴にころっと騙されて、虚妄のMMTを信じてしまっている。まったく、帝大も財務省も、地に落ちたものだ!」


「あれっ、そういえば……津上さんは帝大卒で、城山さんと同窓生ですよね?」


「ああ、というか、ぼくとかれは帝大経済学部の同級生だよ」


「ええっ、そうなんですか。知りあいじゃなくて?」


「……いや、ぜんぜん。ひと学年に300人いじょうの学生がいるからね」


「そう、それは残念ですわ。城山さんが学生時代にどんな人だったか聞いてみたかったけれど」


「はあ? 聞いてどうするんだい?」


「政治家は政策より人柄でしょう? わたしは人柄で投票先を決めますわ。だから参考までに聞いてみたかったんです」

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